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12星座もしもシリーズ62「学園祭準備編3」

学園祭でバザーが開かれる、という情報はあっという間に広がった。
思ったよりも好評で生徒会メンバーが考えていた簡単な物とは、いささか様相が変わって来ていた。

天秤「文化祭は普段来ない外部の人や、中等部や小等部関係の人も集まるから、押さえておきたい所だよね。」
双子「バザーも、こっちでまとめないで店をそれぞれ出させた方が良いのかな?」

乙女「思ったよりも、バザーに出品したい方が多いようです。」
牡牛「生徒会で仕切ると、売れ残りがあった時の対処とかも考えないと、ですぅ~」

水瓶「個々でバザーに出品するんでも、あらかじめアプリで出品するものとか値段が分かってると良いかな?」
天秤「それ、良いな。目当ての物がどこにあるか分かるって、良いよ。」

乙女「そうですね、生徒会に持ち込んで貰って、生徒会で代理販売ってレベルじゃないくらい、売りたい物がある人が多いようです・・・。」
牡牛「大切な物なら、オークションとかで競って欲しいですぅ~~。」

双子「それだ!!牡牛さん、めっちゃ良い案だわ、それ!」
水瓶「全部オークション、じゃなくてもいいかな?」
天秤「それも、イベントとしては面白いね。体育館でのイベントが意外と少なくて、午前で終わらせる?とか思ってたんだけど。」

乙女「オークションって、なんだかワクワクしますね!」
牡牛「そうなると、自分も出品したくなりますぅ~~!」

といった感じで、午後からの催し物は生徒会によるオークションということになった。

山羊「オークション、先生達からも許可もらえましたよ!」

生徒会全員「やった~~!」

牡牛「ですが、これっていつの間にか生徒会のイベントになっちゃってますぅ~~。」
乙女「ですよね、漫研的にはどうします?」

水瓶「どっちでもいいんじゃね?」
双子「だよな~~。クラスでの催し物もあるし。」
天秤「そもそも、漫研的な事、全然やれてない俺たちだしね。」

牡牛「うぅ~~( ノД`)シクシク…」
乙女「・・・。漫研とオカ研がコラボってどうです?」

山羊「向こう次第じゃない?案的には良いかもですが。」
天秤「具体的にどうするかは決まってるの?」
乙女「実は、リサーチ済みなんです^^ね、牡牛さん」
牡牛「ですですぅ~~!」



ばば~ん!

牡羊「ちゃ~~!!」
元気よくオカヒロ研部室ドアを開ける牡羊。
まだ誰もいないようだった。

でも、新学期からこの部室に来ていなかった牡羊にとって、この部屋は自分を拒絶している感じがした。
牡羊「だよなぁ~~!俺が始めたのに、投げ出してごめん!!!」
深々と部室に頭を下げる牡羊。

いきなり、その頭をぐりぐりする二つの手。
射手「ったくぅ!お前がやらなきゃ誰がやるんだ?」
獅子「はいはい、土下座!(笑)」

牡羊「獅子、射手!」
久しぶりに、二人と向き合った、と感じた牡羊だった。

パン!パン!パン!
しっとりとした三人だったが、突然手を打つ音で顔を上げた。

部室前には三人の人影が。

蟹「はいは~~い、熱い友情はそこまでね~~。」
蠍「いいとこ、中断してごめんね!」
魚「ぷぷっ!」なにやら一人で笑っている魚。

全員で部室に入る。
以前とは少しだけ、空気は違ってはいるものの、ここが古巣だったんだ、と感じていた牡羊だった。

蟹「文化祭の事なんですが、漫研&生徒会とコラボ案が出されたの。検討して貰えない?」

まぁ、言っちゃえば乙女、水瓶が占いカフェの補佐をやり、牡羊、獅子はバザーの手伝い、って話だった。

獅子「なんで水瓶が占いカフェ手伝うんだ??」
蠍「だって、水瓶君のシフォンケーキ美味しいのよ!」
魚「乙女さんが入れるハーブティーとも相性バッチリなセット作ってるんだよ!」
射手「それ、楽しみだね!」

獅子「ま、バザーって暇そうだし、お茶のみにこっちに回ってくるわ!」
牡羊「万が一を考えて、水瓶と乙女さんに俺たちの分のケーキとお茶、寄せておいてもらおう。」

以前とは少し違った空気だけれど、居心地の悪さはなくなっていた。
魚『夏休み、まっすぐ寮に戻ってきて良かった!水瓶君と話せて良かった!!』
そう思いつつ、ちらっと牡羊を見る魚。

・・・・。
何故か牡羊と目が合う。
少し、照れた感じを見せながらも、牡羊は満面の笑顔とピースサインを魚に送った。
魚も少し照れながらも、牡羊に小さくピースサインを送ったのだった。


ピロポロリン♪
水瓶のLUINにメッセージが入った。
百合子「約束通り、ポロシャツ渡すから放課後、体育館裏に来い!」

水瓶『なんか、果たし状みたいでイヤ~~な感じ・・・。無視すっかw』

ピロポロリン
百合子「来なかったら、補習で全裸逆立ちグランド10周」
水瓶「それ、パワハラなんで、警察いきます。」
百合子「wやめて~~!感謝の気持ちだから、受け取って!!」

な~~んか、心は重いのだけれど百合子の気持ちも考えれば、無下にも出来ないかな?なんて思い体育館裏に行った水瓶。
百合子「水瓶君!!!今回は牡羊のために骨を折ってくれてありがとう!!」
いきなり土下座し始めた百合子。
水瓶「土下座ってwてか、俺、魚ちゃんに何か言ったとかじゃないから、ポロシャツもらえない。」
百合子「??魚さんに直接聞いたら、牡羊と友達になれたのは水瓶君と話せたおかげって言ってたぞ??」
水瓶「ほえ???」

なんだか良くわからぬまま、ポロシャツを受け取って来た水瓶。
そのまま、生徒会室へと向かう。

がらがらがら~~。
生徒会室に入ると、珍しく他のメンバーが全員いて、楽しそうに話をしている。
天秤「お、水瓶遅かったな、今、文化祭の事話してたんだけど。」

水瓶「ごめん、ちょい山羊に用事。」
山羊「どうしました?」
水瓶「これ」と言って、山羊にネコステポロシャツを渡す。
山羊「あら?これは、あの幻のネコステ限定ポロシャツ!?何故?」
水瓶「魚ちゃんの事で手伝ってもらったお礼。」

にやにやする乙女と牡牛。
納得顔の双子と天秤。

納得顔の山羊はポロシャツを受け取り「では、文化祭の話、進めましょう。」
一人、水瓶だけが納得しきれない顔で議題に参加する事となった。

水瓶「え?俺だけ分かってない?」

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