音楽に救われた話


楽園の君/österreich - 水槽 (Arrange cover)


自分が一番辛かった時、行き場を絶たれて涙腺から溢れ出る報われない感情たちを止めることができずにいて、どんな小さな光でも傷口に触れてしまいそうで怯えながら世界から心を閉ざしたその日、唯一傍にいることを許したのはこの曲だった。

号泣する事以外本当に何もできなくて、動けなくて、無理をしたら自傷行為に走ってしまいそうで、自分の感情ののしかかる重さに殺されそうになりながら、なぜかこの曲だけをループで流すためにYoutubeを開いた。この曲だけが、当時の自分に残された僅かな心の破片を受け止めてくれるような気持ちだった。

もちろん、自分の人生エピソードにそんな不思議なハマり方をした曲はそれ以前もそれ以降も2度はなかった。

そして今考えたら、自分は本当にこの曲に救われたんだと思う。歌唱・アレンジをされた水槽様ご本人からしたら、この曲を聴いた自分が自分自身を救おうとして救われただけだと言うかもしれないが、もしこの曲に出会わなかったらあの時自分は本当に線を超えてしまったんだと思う。

今もこの曲を聴くと、あの日を思い出す。辛い記憶のはずなのに、音楽は人を救える事、そして自分の中には自分自身を救おうとする自分がまだ残されている事を教えてくれた日だという事だけが蘇る。一番辛い時に寄り添ってくれて、自分の一部になったぐらいの距離感で今もよく愛おしく聴いている。

良き出会いに感謝。

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