2022年の日記集:忘れてもいいように。

【3月9日】

2月末の帰省。
ヘアメイクリハーサル、レストランと当日メニューについての打ち合わせ、ドレス探し、お花屋さんとの打ち合わせ。

式場での式・披露宴ではなく、自分たちで場所を借り、フリーランスのプランナーさんとの二人三脚で手作りすることにした私たち夫婦はドタバタとしていた。


ゆっくりする暇もなく、朝から晩までバタバタとした1泊2日。それぞれ実家へ帰り、合間を縫って自分の小さい頃の写真探し。

「出しておくの忘れてた、取ってくる」

深夜、そう言った母がトランクルームから戻ってこない。
心配になって、見に行く。

沢山の段ボールをひっくり返している。
ウチは物が多い。ようやく3箱の段ボールを見つけ出し、部屋へ運ぶ。

...

私が写っている写真を母が抜き出し、私がスマホで写真を撮る。
流れ作業のよう...にはいかなかった。

「○○くんと連弾したときのピアノの発表会やね」
そんなんあったっけ…。暗記科目だけは点数の良かった私からも、記憶が抜け落ちている。

「幼稚園に、出張動物園が毎年来てたやんか」
そんなんあったっけ...。

「お父さんの会社の人たちとお出かけしたときのやね」
そんなんあったっけ...。

記憶にない記録が山のように出てくる。
でもまあ、これだけあれば十分や、そろそろ寝たい…。

「ほら、まだあるよ」

母は楽しそうだった。
私は愛されていたんだなあと、心の中でつぶやく。

いや、愛されて"いる"んだな。
気づけないくらいに、当たり前だったのだ。

...

今の自分をみつめてみる。

モノは少なく整理整頓、定物定位。

母に反面教師にした部分が多いような気がしていたけれど。

明日着るものは、前日に用意しておく。
出かける前に、地図を事前に確認しておく。
宿題は母に言われる前に済ましておく。(授業中に済ましていたのは、よくなかった)
新しいことを始めるときは、やるべきことを済ましてから。
何か始めたら、片付けまできちんとやること。

自分の中には、母のエッセンスばかりが宿っていると気づく。
そして、それを嬉しく思う。

...

しまった、今この瞬間、二人で選別作業しているときの写真も撮っておくべきだった。 忘れてもいいように。

※この記事は、過去にメンバーシップ内の掲示板に投稿していたものを再編集したものです。

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