【SF連載小説】 GHOST DANCE 20章
20 希望
それから数日が過ぎた。その間、稲垣博士も涼一郎も顔を見せない。見知らぬ看護師が無愛想に餌を運ぶのみの、息詰まる家畜生活である。美也子のみならず、刑天のことが冬吉には気懸かりであった。判ったつもりの、何がチェリオだ。テロリストと自称するからには、いのちを賭した自爆に違いない。来世を夢と開き直っての無責任か。友よと信頼され、あたかもヒロイックのひとつまみを共有したごとく感じたはなんたる愚かさだろう。しかし、俺に何ができる。友よ。その響きが罪の烙印