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二冊目のノート。

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    地下を歩いた天使の足音と言葉を辿る散歩の記録

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この季節の緑の、激しさと静寂と。 春が、その悲しみの中で尽きるとき。

    • 雨の夜や冬の夜に、人は想い出話をしたくなったり、するらしい。遠い日や遠い夜の話を。

      • 24/05/2024

        夜、映画館に行くので、そして今夜は愉しげな映画を選んだのでそれなら持って行こうかと、ポップコーンを作る。雨が上がりかける、金曜日の夕方。 こうやって台所で一人もそもそとポップコーンを作っていると、バルセロナのアパートで夜中にポップコーンを作っていたら、とうもろこしが弾ける音が台所の窓を開けたところの吹き抜けから他の階の台所にまで響き渡っていたらしく、音に驚いて下の階の住人が上がってきたことがあったことを思い出す。 そのころ、もう面識があったのかどうか、よく覚えていない。呼

        • 港の人々は、内側に触れるには、触れてもらうには、どこまでもやわらかくならないとならない、ということをきっととてもよく知っているのだと、そんなことを思う。それであの、輪郭が解けていくような二人称であり、指先で言葉の肌に触れていくような、コルタサルの文体なのだと、

        この季節の緑の、激しさと静寂と。 春が、その悲しみの中で尽きるとき。

        • 雨の夜や冬の夜に、人は想い出話をしたくなったり、するらしい。遠い日や遠い夜の話を。

        • 24/05/2024

        • 港の人々は、内側に触れるには、触れてもらうには、どこまでもやわらかくならないとならない、ということをきっととてもよく知っているのだと、そんなことを思う。それであの、輪郭が解けていくような二人称であり、指先で言葉の肌に触れていくような、コルタサルの文体なのだと、

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        記事

          もうすっかり慣れている筈の距離が難しい、そんなときがこのところあり過ぎるのは季節の曲がり角に、いるからかしら。たとえば、今日、乾いた午後から雨までの距離。

          もうすっかり慣れている筈の距離が難しい、そんなときがこのところあり過ぎるのは季節の曲がり角に、いるからかしら。たとえば、今日、乾いた午後から雨までの距離。

          12/05/2024 // それはもう頑なに、

          (それはもう頑なに、)閉じるのだと思う。 だいたいいつも寂しいので、 ほうっておくと、開いていってしまう。 口が開いて、言葉が漏れ出す、 ・・・ 手が開いて、ほどけた指先が探す、 例えば、いつか遠い日に触れたことがあったかもしれない温かい場所。 心が開いて、 書かれないまま箱の中にしまってあった詩を差し出す。 だから閉じるときは、 (それはもう頑なに、)閉じるのだと思う。

          12/05/2024 // それはもう頑なに、

          あの古いテーブルに頬杖をついてあなたをじっと見つめている間に、その間、何か話をしていてくれたり、黙ってそこにいてくれたり、珈琲を飲んだり、そのうち朝がお昼になって、午後の陽が傾いて夕刻が来て、そして一緒に夜に溶け込んでいくなら、それはなんてしあわせな一日だっだだろう、と思う

          あの古いテーブルに頬杖をついてあなたをじっと見つめている間に、その間、何か話をしていてくれたり、黙ってそこにいてくれたり、珈琲を飲んだり、そのうち朝がお昼になって、午後の陽が傾いて夕刻が来て、そして一緒に夜に溶け込んでいくなら、それはなんてしあわせな一日だっだだろう、と思う

          出会ったから、寂しいので、出会わなかったら寂しくはないのだろうかといったら、寂しくなかったら出会わなかったのだろうから、どっちにしてもやっぱり寂しいのだと思う。それならやっぱり、出会った方がよかったのだ、きっと / “All of Us Strangers”

          出会ったから、寂しいので、出会わなかったら寂しくはないのだろうかといったら、寂しくなかったら出会わなかったのだろうから、どっちにしてもやっぱり寂しいのだと思う。それならやっぱり、出会った方がよかったのだ、きっと / “All of Us Strangers”

          (それは)情熱であり平熱、のようなこと。もうすぐ訪れる五月の緑の、鮮やかさと静けさのように。

          (それは)情熱であり平熱、のようなこと。もうすぐ訪れる五月の緑の、鮮やかさと静けさのように。

          あたたかく湿っていて寂しくて、冷たく青い夜の淵をずっと歩いていたような気がする、昨日の夜本を閉じて明かりを消したときから、ではなくて、もう随分と長い間。それは雨なのかもしれなくて、それなら、雨の話をすることと愛の話をすることはそんなに離れていることかしら、などと思う。

          あたたかく湿っていて寂しくて、冷たく青い夜の淵をずっと歩いていたような気がする、昨日の夜本を閉じて明かりを消したときから、ではなくて、もう随分と長い間。それは雨なのかもしれなくて、それなら、雨の話をすることと愛の話をすることはそんなに離れていることかしら、などと思う。

          まだ見えない朝が近づいてくる音を聴きながらその残りを、眠りたいような夜もあって、窓を開ける。それはもしかしたら、鳥の声。それはもしかしたらこれから降る、雨の匂い // 夜の終わりに

          まだ見えない朝が近づいてくる音を聴きながらその残りを、眠りたいような夜もあって、窓を開ける。それはもしかしたら、鳥の声。それはもしかしたらこれから降る、雨の匂い // 夜の終わりに

          起きたこともこれから起こることも、何一つ奇しくはないということが奇しくて、でもそれは最初の一度だけ、だったのだと思う。答え合わせのようだけど答え合わせのようにつまらないことではなくて、偶然と偶然、必然と必然、または偶然と必然あるいはその逆の出会い(の連続)。毎回同じで毎回新しい。

          起きたこともこれから起こることも、何一つ奇しくはないということが奇しくて、でもそれは最初の一度だけ、だったのだと思う。答え合わせのようだけど答え合わせのようにつまらないことではなくて、偶然と偶然、必然と必然、または偶然と必然あるいはその逆の出会い(の連続)。毎回同じで毎回新しい。

          昼間外に出たらいたるところに明るい緑が溢れていてそれがもう「五月の緑」なことに衝撃を受けた。ついこの間まで入口を探していた春の、もう出口のあたりにいるらしい。入口と出口しかないような空虚な春の白く乾いた光の下で途方にくれる、昼下がりの歩道で、(四月七日)

          昼間外に出たらいたるところに明るい緑が溢れていてそれがもう「五月の緑」なことに衝撃を受けた。ついこの間まで入口を探していた春の、もう出口のあたりにいるらしい。入口と出口しかないような空虚な春の白く乾いた光の下で途方にくれる、昼下がりの歩道で、(四月七日)

          冷たく甘い/香りだけがまるく残っていた/木蓮の樹の下/雨の跡 // 散歩

          冷たく甘い/香りだけがまるく残っていた/木蓮の樹の下/雨の跡 // 散歩

          薄曇りの春の夕方。なま温かな弱い風の中に遠くの街の匂いを探す。「離れていても寂しくないよ」っていつか言える日が、来るのかな。荷物はいつだって少ない方で今も鞄の半分は空っぽだけれど、それは二つの故郷の街への距離がいつもそこに、入っているから、かもしれない、かもしれない。

          薄曇りの春の夕方。なま温かな弱い風の中に遠くの街の匂いを探す。「離れていても寂しくないよ」っていつか言える日が、来るのかな。荷物はいつだって少ない方で今も鞄の半分は空っぽだけれど、それは二つの故郷の街への距離がいつもそこに、入っているから、かもしれない、かもしれない。

          約束はしない、という(最)上級の約束。

          約束はしない、という(最)上級の約束。