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鬼化粧 色のある風景

最近の流行にはついていけない。
若者たちの化粧が根本的に変わってしまった。
分かりやすく言うと、若者たちのほとんどの顔が鬼に変わってしまったのだ。
顔の色が、赤、黄、青、緑、白、黒etc.。
まるで12色クレヨンの見本だよ。

最近では様々な年代で、若者文化を追従する者たちが現れ始めた。
SNSは鬼たちで溢れかえっている。なんという世の中だ!

うちの孫たちも赤鬼、青鬼。紫鬼になってしまった。
そして、この私にも鬼化粧を施すように勧めてくる。

「ね、おばあちゃんはピンクの鬼化粧が似合うと思うの」
紫鬼が囁く。
「あたしゃ、ピンクはいやだよ。黒っぽい色で年齢を隠したいからね」
つい、言ってしまった。

「は~い、おばあちゃんは濃い色に決まりよ~!」

嫌も応もない。三人がかり、いや、三匹がかりでは手も足も出ない。私は孫たちに鬼にされてしまった。
「『鬼ばあ茶』のできあがりー」
青鬼が叫んだ。
「うぁお!おばあちゃん似合ってるよ!」
赤鬼も、手鏡を渡してくれた。
恐る恐る鏡を覗いた。
茶色の鬼そのものだ。そのものずばりで逆に怖い。

私は三匹の鬼を傍らに呼び寄せた。

良い機会だ。彼らに私の秘密を見せておくことにした。
髪の毛の中に、長い間隠していたものをね。


了 

三羽 烏さん
「色のある風景」に参加させていただきますね。
よろしくお願いいたします。


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#ショートストーリー