「四月になれば彼女は」
「四月になれば彼女は」川村元気
ずっと気になっていた小説で、映画を先に観てから読んだ。
(改変がたくさんあったから映画が先で本当によかった笑。)
「愛」は捉えることのできないもので、不確定なもので、いつ壊れるのかわからない脆いもので。
それらを探してもがいている登場人物たちが、すごく人間味があるというか、読んでてもどかしい気持ちに何度もなったけれど、でも愛おしくて。
小さい頃憧れていたキラキラした恋愛では決してない。けれど深みがあり温度感すら感じられる恋愛小説だった。たしか中学生くらいから本屋で見かけて気になっていたけど、その時だったら全然理解できなかったかも。今は、まだちょっとだけわかる気がした。
好きって気持ちは永遠じゃない。
好きなものや本が年齢とともに変わっていくように、愛する気持ちもいつか消えてしまうのかも。
「夫婦だから」という事実だけが残ってしまうのかな…。
もし自分に愛する人ができたとしても、何年か先にこういうことを思ってしまうのだろうか。そう考えるとちょっと怖い。
映画で何度も出てきたこのフレーズ。
確かになと思う。何かを手に入れるより、それを追い求めているときのほうが楽しかったりする。
行けなかったけど行きたかった場所、言いたかったけど言えなかった言葉、読みたいと思っててまだ手をつけてない本たち。そういうもののほうが記憶に残りやすい気もする。
それはそれで素敵なことかもしれないなぁ。
なんて話を友達にすると、「でもそれだと何も始まらないよね」と言われた。
まだ私には難しい。
その一瞬を共有できるなんてきっと奇跡なんだろう。私の人生があって、相手の人生があって、お互いの愛が重なり合う。もし気持ちが変わってしまっても、そんな瞬間があったことは忘れたくない。
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