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抵当物件

G監督の親子映画もクランクアップし、続いて別の監督さんから声がかかりまた出かけて行ったが、すぐに帰ってきた。

監督さんと意見が合わなかったらしい。


もう実家住まいでもなく家賃も払わなければならない。

私も1歳過ぎたばかりの娘を連れて働ける所をさがした。

当時住んでいた鎌倉の老舗喫茶店のママさんが、開店前のお店のお掃除に子供も連れていらっしゃいと言ってくれた。

そのおかげで保育園にも入れた。


その後、鎌倉の隣の逗子にある一軒家に住んで欲しい、勿論家賃は不要。助監督の後輩で当時金融業をしていた方からの話に飛びついて転居。

喫茶店のママさんには快く了承して頂き、その後も自宅でできる宛名書きの内職を紹介して下さったりおつき合いは続いた。


その頃から夫はテレビの15分番組をレギュラーで演出する事になり、生活も安定したので第2子にも恵まれた。

毎日子ども達を連れて歩いて5〜6分の逗子の海へ、有り難い日々だった。


その家が、抵当物件で、居住権の為に住まわされていたのは後で知った。

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