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変化招来・熊野本宮大社②【和歌山】

熊野本宮大社から歩いて5分ほどのところに、旧社地である大斎原(おおゆのはら)があります。
ちょうど実りの季節を迎え、大鳥居は黄金の中に浮かぶよう。風が吹くと稲穂がざわめき、ほのかな光が渡ってゆきます。

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もともと「熊野坐(くまのにます)神社」と呼ばれていた熊野本宮大社は、かつてこの熊野川の中州の地にあり、多くの壮麗な社殿が建てられていたそうです。
ところが明治時代に大洪水が発生。ほとんどの社殿は流され、その後、辛うじて高台に遷されたのが現在の熊野本宮大社だということです。

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大斎原を守っている大鳥居は高さ約34m・幅約42m。真下まで来ると、身を反らせて見上げなくてはならないほど巨大な鳥居です。
お社はなく、広々とした社殿跡に石造りの祠だけが祀られていました。(神域は撮影禁止です)

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針葉樹に囲まれた参道を抜けると、すぐ目の前に熊野川の流れが。
手を浸すと水は冷たく、指のまわりにメダカほどの子魚が2匹、ゆらゆらと近づいてきました。半透明な体に頭の先だけがちょっと赤く、水の中を離れたり寄ってきたり。長い間、可愛い姿を見せてくれました。

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ところで三年ほど前、幼馴染のEちゃんと大斎原を訪れた際、ちょっと不思議なことがありました。
10月の初旬、穏やかに晴れた日だったのですが、二人でこの河原まで歩いてきたところ、急に強い風が吹き、膝くらいの高さの竜巻が二つ、くるくると秋草を巻き上げ、私たちの前を走り去っていったのです。
続けて、ご祈祷の時のような大きな太鼓の音がしばらく響き、遠くから法螺貝の太い音色が。
「社殿跡で何か祭祀が始まったのかな?」
と、Eちゃんと来た道を戻ったのですが、神域には数人の参拝者がいるだけで、太鼓も何も見つけることはできませんでした。結局、音の出どころはわからないまま。
今でも二人で、
「あれは何だったんだろうね」
と首をかしげている出来事です。

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大斎原は第十代崇神(すじん)天皇の世に、三体の月【家都美御子大神(けつみみこおおかみ)・熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)・速玉之男大神(はやたまのおのおおかみ)】が降臨したとも伝えられている地。
何か、目に見えないものの世界に触れられたのだったなら、とても嬉しく思います。

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さて、夫と参拝した日はかなり暑さが厳しく、大斎原まで往復しただけで、熱中症が心配なくらい汗だくになってしまいました。
そんな時に効くのは、甘くて冷たいかき氷!
熊野本宮大社のすぐ横にある「茶房珍重庵」さんで水餅入りの抹茶かき氷と、お抹茶に銘菓「もうで餅」「水もうで」がついた甘味セットをいただきました。(どちらも550円。お財布にやさしいお値段です。)
歩き疲れた体に沁みわたる、かき氷の冷たさ……。
「もうで餅」も「水もうで」も程よいもっちり感、玄米粉の香ばしさが甘さを引き立て、お抹茶と共にさっぱり美味しくいただきました。

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こちらは授与所でいただいた8月限定の特別御朱印です。精霊萬燈祭の風景に八咫風鈴があしらわれています。
八咫烏ファンの私にとっては、大切なお宝となりました。

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こちらは八咫烏の「カラス文字」で描かれた「熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)」。印刷ではなく木版のようで、裏に墨がにじんでいます。
デザインは古くから伝わる熊野本宮大社固有のもの。厄除け等、さまざまなご利益のある護符です。

以前「和樂web」にて「熊野牛王神符」の記事を書かせていただきました。歴史や護符の意味の変遷等、かなり詳しくご紹介しています。ご興味のある方はご覧くださいね。

今回、御社殿のすぐ横に駐車場を見つけました。こちらからだと長い石段を上ることなく参拝できますので、体調のすぐれない方や車椅子の方は、熊野本宮大社にお問い合わせくださいね。
偶然、行きついただけなので、上手く説明ができず、申し訳ありません……。

熊野本宮大社への参拝、最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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