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修行期間0年、それでも職人と呼ばれるワケ

富山県で餅屋を営む現在30歳男子です。
コロナ禍の中、会社倒産確定の崖っぷちの渦中、決死の覚悟で起業しました。
その様子は前回の記事でまとめております。

そんな私のもう1つのエピソードを今回はまとめてみたいと思います。

堅苦しく、職人気質で口数が少ないイメージの和菓子職人さん。
そんなイメージとは程遠い私。
私は和菓子職人の元で修行をしたことはありません。
修行期間0年。ろくにあんこも炊けません。
「そんなんでよく職人なんて名乗れるな」と聞こえてきそうですが、世間的には立派に餅職人として認知されるようになりました。

それもそのはずで、実際にものづくりをしているのは私です。
実際に年間85000個売れるモナカを作りました。
勿論、だれかに委託してレシピをもらったりはしていません。
あくまでもオリジナル、自分でものづくりをしています。

職人になるために修行は必要なんじゃないのか?
ある程度修行しないとできないんじゃないの?

・・・できるんです。
その秘密を書いていきます。

前半では考え方について
後半では人に頼ることについて書いていきます。

今回も最後までお付き合いをお願い致します。



問いをつくり、解を出す

早速ですが、モナカをイメージしていただきたいです。
どのような食べ物ですか?

・四角形のモナカに黒っぽい餡子が入っている
・口に入れると上顎にくっつく
・一掴みで食べれるサイズ

こんな感じでしょうか。
様々なイメージが湧いてきたと思います。


このイメージが重要です。
ものづくりをする際に頭にあるイメージを何度も、何種類も考えます。
それを何日かに分け、その中で普遍的に変わらないものが本来のイメージだと認識してから、ものづくりのネタを作り始めます。


では、次に先ほどのイメージと反対のイメージを思い浮かべてみてください。

・様々な形のモナカにカラフルな餡子が入っている
・口に入れてもくっつかない
・一口で食べきれないサイズ

いかがでしょう。
このような特徴のモナカがあったら新しいと思いませんか?

→イメージ
→真逆のイメージ
→新しいもののイメージ
このように組み立てるようにしています。

更に深掘りをしていくと、、、

なぜモナカは四角形なのか?
なぜ餡子は黒か白ばかりなのか?
なぜしっとりしたモナカが多いのか?
いろんな形だと何が良いのか?
カラフルな餡子だとどういう色味が良いのか?
サクサクモナカにするとどんな効果があるだろうか?

一つ一つ浮かんだ疑問に丁寧に答え、深堀し、これだ!という答えを自分なりに導き出す。
そして、その中で実現したら最も価値のある部分に目を向けてカタチにする。

イメージを自分なりに解釈し、再編集してカタチにする
これが私が考える、ものづくりの考えのベースになります。

問いを作り、解を出す。
数学のような考え方ですが、答えは無限の数あります。
しかも正解は無く、難しい問題を作ることも、簡単な問題を作ることも自由です。
限りなく自由で、限りなく自分らしいものづくり。

それが私のものづくりです。
ガチガチに作り方や手順を教えこまれていたらもちもなかという商品はこの世に生まれてきていません。


オリジナリティの正体

世の中には既にたくさんの物がありますよね。
その中で皆が皆、必死に差別化を訴えて新たなモノを作っています。
ここで一旦、オリジナリティについて考えていきましょう。

一台の自転車があります。
この自転車にオリジナリティを加えるにはどうしたら良いでしょうか?

大きなコストをかけて出すオリジナリティもあれば、
小さなコストで出せるオリジナリティもあります。
ここでいくつかまとめてみましょう。

・革新的なデザイン
・レアな金属を使用
・最新のIT技術を搭載
このように、外観、見た目、機能などは大きなコストをかければ差別化が容易にできます。
では、小さなコストで出せるオリジナリティにはどのようなものがあるでしょう
か?

例えば限定という方法があります。
・使用されるシーンが限定される(ビーチ専用自転車)
・一定の人の為のもの(体重100キロ対応自転車)
などなど。
ある一定の条件を満たすことでのみ価値が上がるというもの。

他にも数量限定生産背景が見えるものづくり。
情報開示による安全を伝えたものづくり。
既存の客層から遠いところへ向けたものづくりなど。

差別化はいくらでもできるものです。
ただし、これら全ては真似することもできてしまうのが厄介なところ。
オリジナリティとは差別化だけでは語れない、というのが私の見解です。

差別化の種類はたくさんあります。
組み合わせることでより大きく差別化することもできるでしょう。
しかし、いつの間にか似たようなサービス、商品は追いかけてきます。

オリジナリティの正体とは一体なんなのでしょうか?

ただ差別化しただけではまだ甘い。
本当の意味での独自性を創る。これこそが重要です。
自分たちの言語、考えでものづくりをする。
自分たちの言葉、イメージを具現化する。
自分たちの物語、見方を持つ。
自ら生み出したものが唯一無二のオリジナリティとなります。

次は組み立て方について整理していきたいと思います。


見方を変えれば、そのモノが変わる

具体的な思考の組み立てについて。
手順は以下の通りです。

①今あるものの逆のイメージを書き出す
②できたら良いなと思う部分を書き出す
③自分の言葉で思いついた強みを自分語に置き換える
④強みにたどり着くまでの道順を物語に変換する
⑤味、デザインに落とし込み、具現化する

当店のもちもなかを例にあげます。
①逆のイメージ
・様々な形のモナカにカラフルな餡子が入っている
・口に入れてもくっつかない
・一口で食べきれないサイズ

②できたら良いな
サクサクでカラフルで食べ応えのあるモナカを手軽に

③自分の言葉
今までのモナカのイメージを覆す新食感もちもなか!
彩り鮮やかでポップ。こんなモナカがあったなんて・・・!

④物語をつくる
これまでのモナカはもたついて野暮ったいものしかなかった。
そんな野暮ったさは私たちには必要ないのだ。
食べた瞬間から軽快なモナカ、いや、見た瞬間から軽やかなモナカ。
そんな新しいモナカを私たちは創るのだ。

⑤具現化する
ここについてはこの後に書いていきます。


このような流れで私はものづくりを考えてます。
いかがでしょうか。

どのように組み立て、どうやってオリジナリティを形成していくのか。
この手順を繰り返すことでより具体的且つ、説得力のあるものづくりができます。
身近にあるものでどんどん試してみてください。
新たなモノの見方が身についていきますよ。



限りなくリアルなイメージを想像する

さて、先程のイメージの組み立てが商品づくりの基礎となっていますが、次は具体的な作り方について書いてみたいと思います。

最初に書いたように、私は修行歴0年の型無し人間です。
具現化するスキルは持ち合わせておりません。
経験も無ければ、実績も無い。
あるのはイメージと作りたいという願望だけ。
そんな私がどのようにして商品作りをしていったのか、、?

その答えは、人に頼る、です。

人に頼る。
人に任せる、とは違います。
しっかりとしたイメージを持ち、具現化する為に人に頼るのです。

例えば、インテリアを選びに家具屋へ行ったとして、
具体的なイメージが無ければいつまでも家具が決まりません。
いくら店員さんが親切でも自分がどんな家具を探しているのか分からなければ専門家の意見は頭に入ってきませんよね。
この状態で店員さんに頼ったところで良い物選びはできそうにないです。

具体的なイメージを持つことが大切です。

逆を返せば、イメージが無ければ何も作れません。
偶然というのは、たくさんの試行錯誤の連続の中で初めて生まれるものです。
まずはイメージを持つことから始めましょう。
具体的なイメージを持てば後は形にするだけです。

幸い、この時代はあらゆるところで技術が公開されています。
Instagram、YouTube、 cookpad、本屋に行けば専門書も沢山並んでいます。
長い時間をかけて技術を習得する必要は無くなった。
勿論、極めるという道を選ぶのであればきっちりとした修行も必要かと思います。
しかし、何をもってして極めているのか?という部分を考えれば、この修行も必要では無いと私は思う。

和菓子作りを極める・・・一体どういう状態でしょうか。
それこそイメージの中だけの話で、実態の無いモノだとは思いませんか?
極めたと思えば次の目標も出てくるし、更に上の高みにいる方もそのうち見つかるでしょう。
常に自分は進み続けているかと思えば、進んでいないのかもしれない。
どこを切り取るかで意味合いも変化していく。


自分はどんな状態を目指しているのか?
どこに向かっているのか?
オリジナルの道を極めるという手段がこの時代には合っています。
誰かと比べることもなく、自分にしか無いストーリーを作り、イメージし、具現化していく。

情報は常に広がり続けています。
プロ、アマの垣根は無くなり、モノはどんどん増えていきます。
オリジナリティを持ち、イメージを具現化して唯一無二のものづくりをする。


どこかの情報に頼ってもいい。
あなたが信用できる人の言葉を信じてもいい。
自分が持つイメージを具現化させる為のパーツはどこにでも転がっています。

あとはイメージをカタチに変えるだけ。



こうしてものづくりに向き合い、1年で餅職人と呼ばれるようになりました。
私は餅のニュースタンダードを創るプロとして、これまでやってきました。
道は無数に創れるし、自分がつくった道ならばいつだって一番になれます。

今回はここまでです。


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今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
読み終わったらスキ!してくださいねー!

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