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やさしいガーベラ

※スキズ記事ではありません。


むしゃくしゃしている。

むしゃくしゃ、ってどんな意味だろうと調べたら、
「1.不愉快で、腹立たしい様子。」
「2.乱れて整理がつかないさま。」
と出た。
忙しいときの部屋みたいに心が散らかって、訳も分からぬまま腹を立てている感覚。

また女性ホルモンの仕業か、それとも昨日眠れなかったからか。
心配事や緊張する予定が翌日にあると目が冴えてしまうわたし。遠足の前ももちろん楽しみで眠れない子どもだった。
でもこの2ヶ月くらいで気付いたのは、眠らないと途端に心が病んでしまうことだった。

これは食事も運動も気を付けて、PMS対策に漢方も飲んで、自分へのご機嫌取りを万全にしていたから気付けたことだ。気付いたからには、今年は睡眠に全力投球しようと決めた。

今日は晴れやかな日曜日。
4月の上旬なのにもう桜が散っている暑い東京に慄きながら、
韓国語の試験に向かった。

試験が終わって本屋で本の海を泳ぎながら、「買う本を選ぶときが1番楽しい」という一定の共通認識を思い出す。
同じ要領で、試験終わりは新しく何を学ぶかが無限に選択できる感覚が増して、楽しい。

楽しみにしていたくどうれいんちゃんの新作を2冊とも買う。1冊はサイン本。れいんちゃんの文章を読むと、不思議と自分も書きたくなる。だからこうして久しぶりに、noteを開いた。

観る予定だった映画は時間帯が微妙だったから、今日はカフェだけ寄って、帰って近所でまったり過ごすことにした。

1年都内に住んでみても、やっぱり渋谷は苦手なままだった。
イヤフォンをして、両耳から流れるStrayKidsで身体が安堵して、やっと呼吸ができる。大学受験で初めて他県へ1人で向かったときから何も変わっていない。

忙しなく回転するカフェで、スーツのおじさまがぴんと背筋を伸ばして、ひとりで、美味しそうにソフトクリームを食べていた。
背中しか見えていなかったけど、あれは、確実に美味しそうに食べていた。

一瞬視界に入っただけのその姿がどうにも印象的で、わたしも一人で美味しそうにソフトクリームを食べてやった。

東京は完成されたものが多くて、完璧なものが多くて、わたしには息が詰まるのかもしれない。社会人2年目、実家に帰る頻度がほんの少し増えた。

でも、本屋も映画館もコンサートも、欲しいものはいつでも手に入って、そのたびに「東京はいいな」と思うわたしが顔を出す。
そして田舎に帰りたがるわたしと喧嘩を始める。
言ってることが違うじゃん!どっちもわたしのくせに!

帰り道。
オールブラックでかっこよく決めた兄ちゃんが持っているのが、ミッフィーの茶色い犬(スナッフィーと言うらしい)のエコバッグだった。そういうちぐはぐさに、ものすごく救われた。

本やらカフェやら、幸せへの課金をしたくせにどうにもむしゃくしゃして、今日はビールだ!と思いながらつかつか歩く。
運動終わりや温泉帰りに飲むと格別なように、疲労した自分にもちょっと身体に悪い心の栄養をくれてやる。

ガーベラを3本買った。
桃色と、目に優しい黄色と、純白。
本当は燃え盛る赤いバラとか、何ものにも染まらない真っ青なデルフィニウムとかそんな気分だったけど、
明日のわたしが優しい気持ちになれますようにって願掛けで選んだ。



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