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国民皆保険制度がなくなると?

少し体調が悪いから病院に行ってきた。
喉が痛いから、花粉症の薬が欲しいから。
重傷ではないけど体がだるいし病院に行こう。
気軽に受診できるのも、医療費が一部負担で済む「国民皆保険制度」のおかげです。

日本で当たり前にある国民皆保険制度。
{実は、最近まで海外も国民皆保険制度だと思い込んでいました・・・・。)

以前、国民皆保険制度を廃止するかどうか話題になったことがあります。
議題だけ出て終わった様ですが、もし国民皆保険制度が廃止になったらどうなるのでしょう。
気になったのでまとめてみました。


【簡単解説】国民皆保険制度とは


「国民皆保険制度」とは、1961年に導入された日本の国民全員が加入する公的医療保険制度のことをいいます。

日本の主な公的医療保険制度は次の通りです。

健康保険組合(組合健保):主に大企業などの従業員とその家族が加入

全国健康保険協会(協会けんぽ):組合健保のない中小企業の従業員とその家族が加入

共済組合(共済):公務員とその家族が加入する医療保険。「国家公務員共済組合」「地方公務員共済組合」など

国民健康保険(国保):自営業者とその家族など、上記の健康保険の加入者以外の人が加入

後期高齢者医療制度:75歳以上の人

https://hoken-all.co.jp/hoken/kokuminkaihokenseido/

日本の加入率は100%で、保険証を確認すればどの保険か書いてあるのですぐに分かります。
病院の支払いが1~3割負担で済むのは、全員が保険料を支払うことでお互いの医療費の負担を軽減しているからなのですね。

国民皆保険制度のメリット

なんといっても医療費の負担軽減により、誰でも少ない負担で治療を受けることができる点です。頻回の受診や入院など比較的高額になってしまう場合でも、負担を減らす高額療養費制度などの給付制度も充実しています。

また、診療行為の内容を細かく決め、値段を設定していることも国民皆保険制度の特徴です。公平でアクセスしやすい日本の国民皆保険制度は世界的にも高い評価を受けています。

国民皆保険制度のデメリット

少子高齢化により、若い世代の保険料納付の負担の増大が危ぶまれていることです。また、現役世代の納税者が減ることにより、国民皆保険制度の財源の維持も危惧されています。

海外の保険制度は?

日本の国民皆保険制度と比べて海外はどのような制度があるのでしょうか。

アメリカを例に挙げてみると、公的な保険制度と民間の保険制度の2つが存在しています。

【公的医療保険制度】
メディケア・メディケイトと呼ばれ高齢者や障害者、低所得者のみが加入できる限定的な保険制度です。

【民間保険制度】
個人で民間の保険を選んで加入するか、職場や所属団体の提供する団体保険に加入するのが一般的になっています。

アメリカの場合、保険は個人の責任であり病院に受診する際は自分の加入している保険制度を利用しての支払いになります。また、日本の国民皆保険制度とは違い、無保険者も10%弱存在し、医療への平等なアクセスができないことが問題にもなっています。

【どうなる?】国民皆保険制度が廃止されたら

日本の国民皆保険制度が廃止されたらいったいどうなるのでしょうか。

病院を受診した場合、全額自己負担で支払いをするか、個人で民間もしくは団体の保険制度に加入し、医療費を支払う形になるでしょう。

ただし、加入している保険によって保障内容が異なってくるので、保険でカバーできる治療内容かどうかも気にしなくてはなりません。充実な保障内容の保険プランはその分高額になるので、一部の高所得者しか満足な医療を受けることができなくなります。

また、病院側も診療内容の料金を個々で設定できるようになるので、利益を上げるためにも高額な請求になってしまいがちです。

高所得者は充実した医療を受けることができるいっぽう、低所得者や社会的弱者は思い通りの治療を受けることができず、格差が広がっていくことでしょう。

まとめ

気軽に病院を受診できるのも国民皆保険制度のおかげです。国民皆保険制度が崩壊してしまうと受診を控えたり、高額な医療費で満足な医療が受けられなかったりで重症化してしまう場合もあるでしょう。完全に自己責任になってしまい、格差はどんどん広がっていきます。

現在でも自分を含め、家族である子どもや高齢者の受診で国民皆保険制度の恩恵を受けているなと感じます。保険料の負担や少子高齢化の問題は山積みですが、この制度が続いて欲しいと心から思います。



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