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受け入れの方法とスキル 第4段階  その7

 掃除の時間です。みーちゃんは、今はクラスの掃除をしていません。支援学級に帰ってきて、伊藤先生とともに「ほうき」の練習をしています。

先生「みーちゃん、ほうきを持ってみて。」

 みーちゃんは持つには持ちましたが、手のひらが同じ方向を向いています。

先生「ちょっと違いますね。先生の持ち方を見てください。左手が上で右手
  が下しょう。これは、みーちゃんも合っているね(「共感」)。でも、
  先生の手のひらは向かい合っているでしょう(「覚えて」)。みーちゃ
  んのは、同じ方を向いているね、左手が反対だからだね。」 

   注)視覚情報を提示しながら、聴覚情報も同時に話しています。
     このように、情報は、視覚と聴覚を同時に示すことが大切です。    

持ち方は、これでいいの?

 みーちゃんは上の左手を持ち替えました。

先生「それで正解です(「共感」)。じゃ、ここを掃いてみようか。先生が
  まずはいてみせるから、先生を見ててよ。…このようにほうきをやや床
  に押し付けて、右手で押すようにするのよ。これを『ほうきで、はく』
  と言うんですよ(「覚えて」)。覚えてね。」

みー「はく。」

先生「そうです。ここを、ほうきではきます。ほら見て、先生は、塗り絵を
  塗るときみたいに、隙間なくはいてるのが分かる(「覚えて」)?隙間
  がないでしょ。・・・では、やてみましょう。」

 みーちゃんは、先生のマネをしてはいていますが、ほうきが床に触れていません。でも、やり方が合っているので、伊藤先生は「今日はこれくらいでいいか」と思いながら、褒めました。
 そのあとは、ちりとりを先生が持って、そこにゴミを入れる練習をしました。ゴミは、先生が作ったティッシュの塊です。

先生「ほら、大きなゴミが4つも、ちりとりに入ったね(「共感」)。ちり
  とりってゴミ取りに便利だね(「覚えて」)。ちりとりだよ。」

みー「ちりとり。」

先生「そう、ちりとり。みーちゃんは最近、たくさんの言葉をすぐに覚える
  ね。偉いよ(「共感」)。」

 その後、しばらく、みーちゃんは、ほうきを持って支援学級を掃除しまくっていました。

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