見出し画像

けもフレ3のシヴァテリウムについて考える


ここから先には
シヴァテリウムのフレンズストーリー、ワイルドフォト、仲良しlv10称号、拠点セリフ
シバテリウムのホームセリフ
などのネタバレが含まれます。



今から話すのは、シヴァテリウムについて。
鮮新世に生き、首を伸ばす進化を選ばなかった、2対の大きなツノをふりかざすキリン科最大級の獣…の、フレンズ。

けもフレ3の世界に生き、スラっとしていないことを気にする、頭のツノが可愛いあの子について考えたい。


動物のシヴァテリウムも素晴らしいので
興味があれば調べて欲しい。


今回はシヴァテリウムを構成する二つの部分をテーマに、シヴァテリウムの置かれた境遇や性格への影響についてを話す。
先に断っておくが、ここから下に書かれるすべては考察というより私の妄想に近いものだ。捻った解釈をしているところも多くあるため、こんなこと妄想してるやつがいるんだな、程度にとらえてほしい。



1.相反する願望

前提知識として、シヴァテリウムの性格や特徴を軽くおさらいしよう。

  • シヴァテリウムシヴァの獣という名前に負けている気がして、自分に自信がない(シヴァとは、ヒンドゥー教の最高神の一人、シヴァ神のこと)

  • 首の長いキリン達に憧れを抱いている

  • 戦闘能力はかなり高い

まず、シヴァテリウムの2つのセリフを見てほしい。

名前に負けない…!

シヴァテリウム 仲良しlv10称号

勝てた、けど…暴れすぎて、引かれてないかな…?

シヴァテリウム クエストクリアセリフ

この2つ、前者と後者で内容が真逆になっているのがわかるだろうか。
前者は特別な存在を冠した名前に見合う存在になりたいという内容。
後者は戦闘でやりすぎていないか心配という内容。

もし名前に見合う存在になりたいのであれば、戦闘で目立つのはシヴァの名前にふさわしいことであるからむしろ誇っても良さそうなものだ。
もし普通の子でありたいなら、名前を気にすることはあれど名前に負けない…!とは思わないだろう。

このままではシヴァテリウムは名前に見合う特別な存在になりたいと同時に特別な存在であることを拒んでいるという事になる。これは少なからず矛盾をはらむ。
ここからはこの矛盾を解明していきたい。

2.シヴァテリウムを構成する要素

まずは、シヴァテリウムのアニマルガールが何によって構成されているかを整理する。
ここでいう「構成」とは体内プラズム濃度とかそういう物質的な構成のことを言っているのではなく、シヴァテリウムというアニマルガールの外見、精神、能力を決定づけている要素の構成のことだ。

結論から言えば、シヴァテリウムの外見、精神、能力を構成する要素は以下の3つだと考えている。尚、ここから先はアニマルガールのシヴァテリウムと混同しないように動物のシヴァテリウムをsivatheriumと表記する。

  1. sivatheriumに人間が与えた名前

  2. sivatheriumに人間が抱くイメージ

  3. sivatheriumの名前に人間が抱くイメージ

2と3の反映される比率やその内容は各世代によって異なるが、基本的にこれらの要素によってシヴァテリウムは構成されている。
また、人間のイメージを介さないで作用している「4.sivatheriumの生態的特徴」は存在するかもしれないが、それを2の要素と区別することはできないので今回は2に含めることにする。
具体的な外見と能力がどの要素によって構成されているか書き出してみよう。1の要素は名前しか含まないから、名前以外は2の要素と3の要素のどちらかに分類できる。

2の要素:ツノ、けもみみ、しっぽ、服の模様、髪の茶色と黄色の模様、武器の先端の部分

3の要素:髪の青い模様 、ヘビのマフラー 、月の耳飾り 、トリシューラ を模した武器、鼓、雷を操る特殊能力、高い戦闘能力

では、シヴァテリウムの精神(自我)はどちらの要素が元となっているだろうか。

私は、シヴァテリウムの自我は2の要素、sivatheriumに人間が抱くイメージによってのみ構成されていると主張したい。それだけでなく、その自我は2の要素によって構成された部分とそれ以外の部分を区別できてさえいる。

ちなみに3の要素を構成要素に持つアニマルガールの全員がシヴァテリウムのように自身の要素を区別できるわけではない。また、3の要素が精神の一部を構成しているものもいる。
例えばインドゾウやインドオオカミのダンスとかヨガとかそういった行動は名前の“インド”からきている3の要素だが、本人たちはそこに疑問を持っていない。

シヴァテリウムはsivatheriumのイメージで構成された部分が本来の自分だと思っていて、名前やシヴァの獣のイメージで構成された部分を自分と切り離して認識している
但しシヴァテリウムは自身を構成する2の要素と1,3の要素を区別できてはいるが、それが人間のイメージを介しているものであるかどうかは認識できていない。その根拠は後述するとして、シヴァテリウムの視点で見たときの自身の構成を改めてまとめるとこうなる。

sivatherium部分:ツノ、けもみみ、しっぽ、服の模様、髪の茶色と黄色の模様、武器の先端の部分、自分

シヴァの獣部分:髪の青い模様 、ヘビのマフラー 、月の耳飾り 、トリシューラ を模した武器、鼓、雷を操る特殊能力、高い戦闘能力、自分の名前

3.sivatherium部分とシヴァの獣部分

先ほど書いたように「シヴァテリウムは自分がsivatherium部分とシヴァの獣部分の二つで構成されていて、且つシヴァの獣部分は自分ではないと認識している」という仮説を立てた。非常にわかりにくいが、こう考えるとあの二面性を持った発言に説明がつくのだ。
この仮説を踏まえて、もう一度シヴァテリウムの発言の意味を読み解いていこう。

最初に矛盾していると言ったシヴァテリウムの2つの発言の内容はこうだ。

  1. 私は名前に負けていて、追いつきたい。

  2. 力をあまり振るいたくない

やはりぱっと見では矛盾しているが、「私」「名前」「力」がsivatherium部分とシヴァの獣部分のどちらなのかを考えると答えが見えてくる。
先ほど書いた通り、私はsivatherium部分で、名前と力はシヴァの獣部分だ。
どちらの部分かを示してみるとこうなる。

  1. 私(sivatherium部分)は名前(シヴァの獣部分)に負けていて、追いつきたい。

  2. 力(シヴァの獣部分)をあまり振るいたくない。

つまりシヴァテリウムの望みはsivatherium部分の向上だったのだ。それなら力(シヴァの獣部分)を誇示することはなんの意味も持たない。むしろ私(sivatherium部分)と名前(シヴァの獣部分)の差を広げるだけである。
これで、一見矛盾した二つの発言は矛盾しなくなった。

4.キリン達への憧れ

シヴァテリウムが力を誇示したくない理由をもう少し考えてみたい。

ところで、自分とは何によって決定されるだろうか。ここで話したいのは哲学で定義されるような難しい話ではない。もっと感覚的な、あなたは普段何を元に自分を形成しているかという話だ。

例えばあなたが自身の社会的地位に即したふるまいを行うとき、それは他者に与えられた人格と言える。社会それ自体があなたの作ったシステムではないし、他者に認められていなければ役職に意味はない。他人がいなければ成立しないものに従ってあなたは自分を形成している。
私が言いたいのは、他人にどうみられるかは、自分とは何かという問いに深くかかわっている、ということだ。

そして、他者に自分の存在を認められないことはそれだけで自分の喪失にもなりうる。それがシヴァテリウムに起こっていることだ。

シヴァテリウムが力を振るったとき、シヴァテリウムのどちらの部分が強調されるだろうか。当然、シヴァの獣部分を行使したのだからその姿を見たものはシヴァテリウムに対してシヴァの獣部分の印象を強く持つだろう。
ただでさえシヴァテリウムの外見の半分以上はシヴァの獣部分が占めているのだ。それにプラスして、力強いフレンズなどという印象を持たれれば、他者の認めるシヴァテリウムはほとんどシヴァの獣部分だけになってしまいかねない。自分をsivatherium部分に持つ彼女にとって、これは自分の存在が認められていないことを意味する。しかし、シヴァテリウムという名前自体がシヴァの獣部分である。その外見ももはや変えることはできない。だからせめて彼女は力を見せないようにしてシヴァの獣部分の印象の強さを抑えようとしているのではないだろうか。

シヴァテリウムの抱えるもう一つの問題「自分が認められないこと」はシヴァテリウムがキリン達と仲良くなりたがる理由につながってくる。彼女がキリン達との関係にこだわるのは、それがsivatherium部分での関りになるからだ。
キリンである特徴を理由に関りを持つということは、相手にキリンである自分(sivatherium部分)を認めてもらうということであり、それは直接自分を認めてもらうことになる。もちろんキリンに憧れるのはキリン科なのに首が短いというコンプレックスから来ている部分もあるだろうが、キリンたちとの関りは彼女の抱える問題を解決する手段でもあるのだ。


ちなみに、シヴァテリウムが「キリンなのに首が短い」と自認しているのは2の要素「シヴァテリウムに人間が抱くイメージ」からきている。
なぜなら、「キリンなのに」という言葉は「キリンは首が長い」という前提的な感覚を持ったうえで首の短いキリンを見た時に出てくる言葉であるからだ。sivatheriumの生きた時代にはまだ首の短いキリンが多くいたし、そもそも動物の段階で分類的に自分と近い種を認識しているはずもない。
しかしシヴァテリウムは自分の悩みが人のイメージによって造られたものだとは気づいていない。これが後述するといっていたシヴァテリウムが人のイメージの仲介を認識できていないことの根拠である。

5.悩みの解決

シヴァテリウムの抱える二つの悩みはどのように解決されるのかを考えよう。ここで扱うシヴァテリウムの悩みは次の二つである。

  1. 私(sivatherium部分)がシヴァの獣部分に劣っていること。

  2. シヴァの獣部分ばかり強調されて私(sivatherium部分)が他人に認めてもらえないこと。

フレンズストーリーでシヴァテリウムと付き添いのオカピは、ゴールデンタビータイガーとケツァールの二人から似た悩みを克服した体験談を聞く。

ただし、厳密にいえば彼女たち二人を構成する要素はシヴァテリウムの要素とは異なる。そのため悩みの性質もシヴァテリウムとは少し違う。具体的にどこが違うのか書いているとあまりに長くなるため省くが、これが彼女たちの言っていた「あなたと全く同じ悩みではない」という言葉のゆえんかもしれない。

ゴールデンタビータイガーの体験談からシヴァテリウムが得た解決法は「私は私」
シヴァテリウムにあてはめるなら「フレンズとなった今では、シヴァの獣部分もまた自分である」となる。これがゴールデンタビータイガー的な解決法だった。

ケツァールの体験談からシヴァテリウムが得た解決法は「自分を磨いて特別に」
シヴァテリウムに当てはめるなら、「sivatherium部分を向上させてシヴァの獣部分に追いつかせる」になる。現状シヴァテリウムの解決法と近いのはこれである。

ところで、ケツァールとゴールデンタビータイガーの話には共通点がある。解決のきっかけとなってくれた仲間の存在である。
そしてケツァールによってシヴァテリウムの仲間の存在が示される。それがオカピだった。

シヴァテリウムの悩みに気づき、それを解決するために協力してくれたオカピ。シヴァテリウムはフレンズストーリーの最後、オカピを守るためにセルリアンと戦う。自らに不釣り合いなシヴァの獣部分を、仲間のために振るうのだ。そして戦闘後、オカピに戦闘を誉められ、照れる。これはただ可愛いとかではなく(かわいいのは事実なのだが)なかなかに重要なシーンで、シヴァの獣部分を誉められることをうれしく思っている
ゴールデンタビータイガーから得た解決法であった、「シヴァの獣部分もまた自分」というとらえ方ができていることを意味している。

ケツァールに仲間の存在を教えられ、ゴールデンタビータイガーのおかげで自分に与えられた力も少し受け入れられるようになった。そして目の前の仲間のために戦うという経験をした。実は、シヴァテリウムは結果的に一つ目の悩みと二つ目の悩みの解決に同時に近づくことに成功している。

なぜならシヴァの獣部分の存在を受け入れることは自分を拡大すること。それによって私(sivatherium部分)は私(sivatherium部分+シヴァの獣部分)になり、私を認識してもらえないという悩みを解決できる
さらに仲間を護るという行為を行うのは私(sivatherium部分)であるため、仲間を護る決意とそのために武器を持つ誇りはsivatherium部分の向上である。これによってシヴァテリウムはsivatherium部分に自信を持てるようになる

こうして、シヴァテリウムのフレンズストーリーはシヴァテリウムの抱える問題の解決の道を示して終わるのだった。
もちろんアミメキリンと話す機会を得たことも進展の一つだが、こうした内面的な成長も描かれていたように思う。

ちなみにオカピとシヴァテリウムが絡んでいるのは間違いなくオカピがシヴァテリウムと同じ首の短いキリンだからなのだが、それはフレンズストーリーで一切触れられていない。
オカピがキリン科であることを2人が認識してるかも不明である。しかし、それは大した問題ではない。本当に重要なのは自分を見てくれる相手なのであって、それが満たせるのなら相手がキリンかどうかは関係ないからだ。その点において言えば、オカピは間違いなくシヴァテリウムにとっての最高の仲間だろう。

6.シバテリウムの救済

ネクソン時代、リデザイン前の存在であるシバテリウムとシヴァテリウムの関係について少しだけ話しておきたい。

前提として私は「大幅なリデザイン=世代交代」説をとっている。例外といえるのはヤマタノオロチくらいで、彼女にはわざわざ「イメチェン」という説明がなされた。

さて、まずはシバテリウムとシヴァテリウムの違いについてみていこう。
シバテリウムは、彼女を構成する要素の中でも3の要素「名前に人間が抱くイメージ」の占める割合が低い。外見に3の要素はほとんどなく、彼女の持つシヴァの獣部分は名前だけだ。

しかし彼女は、その分というべきかシヴァテリウムよりもずっと自らの名前のことを気にかけていた

今日こそ、我が名前に追いつきたいものだ

シバテリウム ホームセリフ

シバテリウムってかっこいい名前と言われた。……嬉しいような、悲しいような

シバテリウム ホームセリフ

この二つからわかるように、彼女も

  1. 私(sivatherium部分)がシヴァの獣部分に劣っていること。

  2. 名前(シヴァの獣部分)ばかり強調されて私(sivatherium部分)が他人に認めてもらえないこと。

のシヴァテリウムに似た二つの悩みを持っていたことがわかる。

しかし、悲しいことにネクソン版では、初登場のイベント以降出番はなく、この悩みは解決されることなくリデザイン=世代交代をしてしまった。
もちろん語られていないだけで解決できた可能性もあるが、それでも描かれていないのは事実である。

ところで私は、同種のアニマルガールは精神の深層のどこかでつながっていると考えている。けものフレンズアニメ版でのサーバルなどを見るとわかりやすい。
そしてシヴァテリウムはシバテリウムと同じ悩みを持って生まれてきた。その口調や性格は大きく異なるのにも関わらず。

つまり、私が言いたいのはシヴァテリウムはシバテリウムの願いを受け継いで生まれてきたのではないかということだ。
自身の向上という願いが受継がれたということは、逆に言えばやはりシバテリウムは生前その悲願を達成できなかったのかもしれない。
しかし、シヴァテリウムはシバテリウムと同じ悩みを持って生まれ、シバテリウムのころ描かれなかったその解決に進み始めた。これは描かれなかったシバテリウムへの世代を超えた救済になりうるのではないかと私は思う。

7.最後に

シヴァテリウムとはsivatherium部分とシヴァの獣部分の二つの部分を持つフレンズだった。そして、その二つの部分によって引き起こされる二つの悩みがあった。
シヴァテリウムは、似た悩みを持ったフレンズの体験談と、そしてオカピという仲間によって解決の道を進みだした。
これはシヴァテリウムの前の世代、シバテリウムの救済であった。

ざっくりまとめるとこんなものである。私が今までシヴァテリウムを見て漠然と思い描いていたものを言語化した結果、ここまで長くなってしまった。
何度も言うが、これは私の妄想に近いものであり無理のある解釈が目立っていたと思う。ただ、シヴァテリウムに存在する可能性の一つとして大目に見てもらいたい。

シヴァテリウムは魅力に絶えない存在だ。最初は全ての魅力をここに書こうとも思ったのだが、あまりに長くなってしまうのでやめた。また次の機会に話すとしよう。

以上でこの考察は終わりだ。
これでシヴァテリウムというフレンズの持つ魅力が少しでも伝わったなら、それほど嬉しいことはない。

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?