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雲、取りに参る!(後編)

ミルフィーユ山々、そしてヘリポート

「山頂が近いような雰囲気」を感じ取った分岐を進むと、道の広さも相まって視界が広がり、雪に覆われた、上りのある原っぱのような場所が現れた。

『富士山』の前に連なる山々の見え方が、今まで見たどんな状況よりも『ミルフィーユ』のように重なり合い、引き立てる。見事な景色の多かった『雲取山』の中でも、この『ミルフィーユ山々』にはここから先、いたく感動し続けたようで、おびただしい数の写真がスマホに残っている。

目の前、そして少し斜め前に見える山々に「これが山頂かな、あれだったらきついな、いやでも6時間かかるというしな」などとつぶやく。この時点でまだ3時間かかっていなかった。少し進むと、『雲取山ヘリポート』の看板が現れた。これは、山頂は近い!

テンション潰しのレプリカ連坂

終わりが見え、テンションが上がってはいたものの、山も一気に高度を上げてくる。しかも、繰り返しだ。年始に『鷹ノ巣山』に登ったが、ヘリポートのあたりからの雰囲気はあの頂上付近にとても似ている。『鷹ノ巣山』は一発だけだが......。

私からしてみれば『鷹ノ巣レプリカ』だが、向うが『雲取レプリカ』ともいえるだろうし、似ているがまた異なるともいえるだらう。ただ似ている景色には、安心感や親しみのようなものを覚える。それ故にこんなことを考えていたのだ。

だが、これがなかなか山頂にはたどり着かない。「ここか!ここを乗り切ればゴールか!?」と何度か思い、そのつどその坂の頂で「うへぇまだある!」となるのだ。しかし、その時は訪れた!何か小屋が見える!

この坂をこえたら

少し進んだ先ですれ違った気持ちの良い挨拶をくれたおじさんに「あの小屋がピークですか?」と尋ねると、「そう!山頂はちょっと右側ね!すぐだよ!」と返ってきた。この道、そしてあの坂を越えれば頂上だ。

静寂の中、樹々から落ちゆく雪が、氷のようなガラガラとした音を立てる。雑音といえば雑音だが、どちらかというと心地の良い音だ。

この坂をこえればゴールだ。時間にして登山道から約2時間半、厳密にバス停から数えても3時間未満程度というところだ。決して悪いペースではなかった。そして......。山頂からの一周動画もあるので、後ほどYouTubeにアップする。

屍をこえてゆく

登頂感は意外とあっけない。思っていたよりも素直で誠実な山すぎて、理不尽さを感じることもなかった。登ってきた山々と同じ、単なる通過点の一つに過ぎないものとなってしまった。

登山や自転車での旅には、料理に対する後片付けや皿洗いと同じように、侮れない復路がある。来ただけ、戻る。『秩父』に抜けて帰るルートもいいなとは思っていたが、今回は最も手堅く来た道をそのまま戻る「ピストン」をすることにした。

今まで登ってきた道が、すごくあっけないものに感じる。下るペースが早いのもあるのだろうが、一度通ったことで脳が知ったものと理解しているのか、肉体的にも、精神的にもラクなのだ。

キツイのはむしろ終盤の杉林のような「単調さ」だろう。これだけは、脳的には慣れているのに、魂が慣れない。慣れなくても、帰りたければ下らなければならない。

トータル5時間程度で登山道の入り口に帰還した。想定の半分だったが、拍子抜けではない。とてもいい山だった!


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