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ぼくをみて

売野機子先生の『インターネット・ラヴ!』を読んだ。買ったその日に、3~4回繰り返し繰り返し目を通した。

ネイリストの青年・天馬は、偶然SNSで見つけた韓国男子・ウノに惹かれ、5年間毎日欠かさず彼の投稿をチェックしている。同僚や常連客には「ネトスト」とまで言われてしまうが、天馬はどこ吹く風。けれどウノのある投稿をきっかけに、天馬の「ハッピーネトストライフ」は一変する。

何度も読んでしまうくらい、おもしろい作品でした!と言ってしまえば、そこまでなんだけど、もう少しだけ何が自分の琴線に触れたか考えてみる。

まずわたし自身が、いわゆる「ハッピーエンド」が好きだということ。読後、幸福感にひたひたに浸れるから。『インターネット・ラヴ!』は、あとがきで売野先生が「ただの幸せなハッピーカップルちゃんをいつか描きたいと思っていた」と書いてくれていているように、正真正銘のハッピーエンドを迎える。

あとはそう、ウノの独白シーンのセリフが、とても印象的だった。SNS中毒の自分を、一人見つめながらの言葉。特にここを繰り返し読んでいた。

僕を見て
深夜の恥ずかしい長文も
それを打ち消すたくさんの言い訳も
要求は肥大する
僕を春夏秋冬に振り分けないで
アルファベット4文字から溢れる部分を見て
神様じゃ足りない
それは どこかの誰か 人でなければならないのだ

『インターネット・ラブ!』より

なんだか胸がきゅうっとした。それは自分にもどこか身に覚えがあるからだろうし、SNS依存症は良いこととは言えないんだけど、「僕を見て」という純粋なウノの要求になんだか感傷的な心地になる。

パーソナルカラー診断とか、MBTI診断とか、あとは何だろう、ストレングスファインダーとか(一部は自分も受けているんだけど)。そういう「枠」から「溢れる部分を見て」という願望は、とても健全なことだと思う。

そういう溢れた部分を受け止めてもらえた時、安心を覚えるのかな。そういう関係性を、すごくかわいらしく、ポップにこの作品は描いてくれているのだと思う。

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