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待っている間も、しなければならないことがある

LINEの通知が届いている。ロック画面で確認すると、それが個人からではなく、企業やニュースサイトからのもの。

「なーんだ」と言うがっかりの気持ちと同時に、どこか安心している。なにもない、起きていない、ということに、ホッとする。そして、ちょっと落ち着かなくなる。

午後イチ、母からある連絡が来た。けれどそれに対して、(電車で2時間ほどとは言え)離れている分、すぐになにかできるわけではなかった。「続報を待て」という状態で、とにかく待つことしかできない。

原稿を打つ。しばらくすると落ち着かなくなって、たまに関連のキーワードを検索しては、その結果に目を通す。特に軽口を叩ける相手が近くにいないと、すぐにインターネットに潜り込もうとしてしまう。心ここにあらず、といった状態で、無意味にスクロールを繰り返して、別のウインドウに移動する。文字を打つ。夕飯は炒飯にしようかなとか考えてしまう。

ちょうど昨日読み終わった、三浦しをんの「ののはな通信」を思い出す。主人公は、「のの」と「はな」という女性2人。作中、この2人の往復書簡のみで話は進んでいく。後半、40代になった2人による電子メールでのやりとりで、ののがただひたすら、はなからの返事を待つしかない状況になる。

ののははなからの返事を待ちながらも、時折はなのことを忘れてしまいながら、ただ淡々と、日々やるべきことをやっていくしかない、といったことを話す。

本当は一日中、はなのことを考えていたい。でも、それでは日常が成り立たないでしょう? ご飯を食べたり、為五郎の相手をしたり、トイレに入ったり、仕事をしたり、いろいろとしなければならないことがある。大半の時間、私はあなたを忘れている気もします。けれど、空気が泡となって水面に顔を出すように、ふとした瞬間、あなたを思うのです。

ののはな通信(三浦しをん)

なんだか今日は、そのシーン、ののの胸中を何度も思い出した。ページも確認した。烏滸がましいようにも感じるけれど、わたしの今と、ちょっと似ている、と思った。

今日のヘッダーは、メルボルンで撮影したもの


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