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美術館考5 変動費からの分析

美術館の会計報告(損益計算書や貸借対照表)を敢えて見たことはないが、資金繰りがつくので運営できるのであろう。単純に理解できるのは、来館者一人当たりの変動費がほぼ0円であることであり、収支を改善するには来館者を増やすことがもっとも手っ取り早いように思われる。

厚かましい考え方かもしれないが、入館料の支払いは単純にサービスへの対価としての支払いではなく、芸術文化への支援、公共への投資、社会貢献などの性質があるように思われる。変動費がほぼ0円なので、その思いを強くしている。入館料の数百円の違いに拘泥することなく、社会貢献の一環と割り切っている。

変動費とは、売上1単位が増えることによって増加する費用(原価)のことであるが、美術館の場合、私一人が入館したところで、光熱費や人件費が増えることはない。(せいぜいパンフレット代の数円であろうか。)私の支払った入館料が、私のために消費されることはない。なんとなく美術館への貢献っぽいところがないだろうか。(飲食店であれば支払った代金の何割かは、変動費の食材費として消費され、自分のお腹の中に戻っている。)

納税と献血以外に、大した社会貢献を行うことができていない。美術館や博物館を訪ねることを、もっとも簡単な文化支援・社会貢献と定義することは、厚かましいであろうか。少なくとも会計学的には、文化支援になっていると言えるような気がする。

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