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【ZweiLance】フルパワーシータバーンメア 解説

◇はじめに

こんにちは、ZweiLanceです。

競技プレイヤーを離れ、早いもので一か月半。
日々のCS結果をまとめサイトで眺め、指をくわえる生活が始まるかと思いきや、昨今のコロナウイルス問題で大会はほとんど開かれておらず、自分自身も大会を開催できない、そんな刺激のない日々が続いています。

3月頭に控えていた全国大会の調整も、2019年度全国ランキングの結末も、不完全燃焼のままです。
そんなわけで、競技の沼に片足を突っ込んだまま、どこか気の抜けない、ふわふわとした日々を過ごしています。

とは言え、今はそれどころではないことは重々承知しており、各CS主催者様、参加者様にも、CSの自粛をお願いしたいというのが本心です。
「カードゲームの大会、集団感染」なんて見出しが付いた日には、本当に今だけの問題じゃなくなってしまうかもしれません。

新弾が発売し、いよいよ新しい環境で思いっきり遊べるはずだった今。
辛い時期ではありますが、動画やSNSを通して少しでも皆さんのTCGライフのお役に立てたらと思っております。共に乗り越えていきましょう。


さて、こんな前置きを書いておいてなんですが、今回は自分が全国大会の候補にもしていたデッキの有料解説記事になります。
大会で使っていただく機会は少ないと思いますし、結果に繋がらない、売れない時期であることは承知の上です。
それでも今回、デスザーク以来の「書きたい!」がきたので、思いのままに筆を執ってみました。

デッキ自体は暫くして陳腐化するでしょうし、なんなら環境トップのデイヤーの方が総合力はずっと高いと思います。その上「すぐ勝てる!」みたいな即効薬的な記事でもありません。

なので、今回はどなたにでも楽しんで頂けるよう、特に「何故」の部分を掘り下げて書いてみました。
この記事の内容は、環境やデッキは変われど、勝利への一アプローチとしては普遍的なものであるはずです。
自称「ZweiLanceフルパワー構築論」がこれでもかとつまった記事になっておりますので、「へぇ、最近はこんなこと考えて構築しているんだ」とか、「いやいや、それはやり過ぎだからここは違うだろ!」とか、そんな風に突っ込んだら参考にして頂いたりしながら、楽しんでいて頂けたらと思います。

シータバーンメア 解説

バーンメア・ザ・シルバー_オラオラ・スラッシュ

戦績
2/23 シーガル名取CS 優勝
3/30 某オンライン大会 準優勝
4/7 某オンライン大会 優勝

◇デッキ概要

シータバーンメア

デイヤーループと並ぶ2大環境トップとして、新年から活躍していたデッキタイプです。

最大の特徴として、『J-SHOCKER』がGRゾーンを主体とするあらゆるデッキの動きを封殺し、シャッフやお清めシャラップ、ゼンノーといった各種メタ要素を含むカードで相手の動きを牽制しつつ、中速ビートダウンを狙います。

上記の要素に加え、デッキパワーを損なわずとも元々受けが強いこと、キルターンが最速4ターンであることから、攻守ともに優れているデッキタイプといえます。


◇既存の構築が抱える問題 245

少し遡って2月中旬の話。
当時、多くの構築には『ドンドン吸い込むナウ』あるいは『知識と流転と時空の決断』が採用されていました。

知識と流転と時空の決断

ドンドン吸い込むナウ

どちらも2ターン目のブーストから繋いでリソースとなり得るカードです。

結論から言うと、僕がこのデッキを触り始めたのは「これら2種のカードが、使われる側としてあまりにも弱過ぎる」と感じたからです。

前者は受けのかさ増しに加え、灰になるほどヒートやバーンメア・サ・シルバーといった、4ターン目のバーンメア(エモG)やグレープ・ダール着地に必要なカードを探しつつ、相手のテンポを遅らせる役割があります。

後者は条件付きではありますが終盤以降強力な受けとして機能し、序盤はドローとGR召喚の効果を状況に合わせて組み合わせることで、4ターン目のビートダウンをより確実なものにします。
中盤以降は、エモGがいる状態でGR召喚することで、疑似バーンメアを作ってビートダウンを決めたりもできます。

たしかに、どちらのカードも綺麗に245のマナカーブを実現してはくれるのですが、

「このデッキ、6マナが無い状態でGR召喚しても不安定過ぎる」

マリゴルドⅢ

ダダダチッコ・ダッチー


この前提を意識せず構築すると、GRゾーンの1/3が死滅してしまうと言っても過言ではありません。


◇245は人を殺すマナカーブなり得るか

この245のマナカーブでマナドライブ6を達成するには、ダールの着地が必須になります。
ただし、ダールのJチェンジを即時発動するためには、相手の場に攻撃先の的がある必要があります。

デイヤーで言えばその的がデドダムだったりするんですが、競技シーンで活躍しているプレイヤーであれば、よほど代わりにの動きがないとき以外セオリーとして出してこず、基本的には場に残らない2コスブーストや、解罪あたりを優先してきます。

同型戦も同様で、基本的にはドローかマナ加速をしてきますし、カリヤドネみたいなそもそも場でゲームをしないような対面も少なくはありません。

そうなってくるとダールは選択肢としては優秀ではありますが、依存することは難しく、やっぱりエモGやバーンメアからゲームを作っていくのが現実的です。
とは言えそのためには、それ+灰ヒートが必要であり、それをプレイするための赤マナが必要であり、加えて有効打となるGRを捲る必要に迫られます。

この245のマナカーブで有効打となるGRというのが、ダッチー&マリゴルド&ゼンノーを除く、カンちゃん&ダンダルダ&SHOCKERなのですが、全リソースを注いでこの動きを狙うも、組み合わせが悪いと何も起きなかったり、大きなリスクを背負った上で攻め込まないといけなかったりするわけです。

これを恐れてキルターンを遅らせたりしていては、もはやこのデッキを使う意義といいますか、「同じキルターンだったらより安定したデイヤーでいいような...」となってしまったのが当時の自分の率直な感想でした。


◇これもまた、マナドライブ6のデッキ

だとすると、このデッキが全体的に見てデイヤーに劣ると言われる要因はここにあるのではないか。

当たり前に入っているこの青の4群。
色バランスにしてもマナカーブにしても違和感がないので、流行りの構築がここにまとまるのも納得がいきました。

そこで、どうにかならないものかと考えた結果、

逆に考えれば、先ほどハズレに並べたダダダチッコ・ダッチー、マリゴルドⅢ。
これらがフル活躍するような構築にすることができれば、対面を問わずデッキの出力を大幅に向上させることができるのではないか。という仮説に辿り着きました。

要するには245ではなく、246ということです。

このデッキを使われていて一番強いと感じるGRは間違いなくダダダチッコ・ダッチーでした。次点でマリゴルドⅢ。

バーンメア、エモG、ダール、ジューサー、シャッフという、ダッチー範囲内のパワーカードがなんとデッキの半分を占めており、全盛期のシータミッツァイルとほど、いやそれ以上の殺傷力を感じました。

マリゴルドに関しても、マナからジョーカーズを引っ張り出してJトルネードを有効にしたり、メタカードを添えてビートダウンをより確実なものにしたり、何よりダールで墓地にナンバーや灰ヒートを落としたりと。

これらの可能性を軽視しがちな既存の構築とは違う、言うなればフルパワーのシータバーンメア基盤。ここから、それを満たすカードを探しはじめます。


◇スーパーウルトラハイパーパミラクルパーフェクトウォーター

CSで勝っているリストに一通り目を通し、まず目に付いたのがスペルブック・チャージャー。

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これは青の枚数を確保しつつ、バーンメア、灰ヒートのどちらも手札に加えることができる優れものです。
ライフプランでは緑過多青不足となるし、このチョイスは大変参考になりました。

続いて、2コストブーストの増量

2、2、6と動くことで、リソースに不安こそあれど、6マナ状態の作りやすさは格段に上がります。
ただやはりデッキパワーの減少と、先にも述べた緑過多青不足が気になり、これは没に。

やっぱり青の4かなぁと考えていると、自ずと目が合ってしまうのがこのカード。

ガチャマリン・チャージャー

本記事の主役にあたる、私が考えるシータバーンメアとはガチャマリン4投バーンメアのことです。

ドロー、ブースト、GR召喚を一枚でこなす、アドバンテージの塊みたいなカード。このカードを常に主軸として考え続けてきました。

スペルブックと比べると確認できる枚数はだいぶ少ないことになりますが、手札の総数自体は変わらない。質こそ劣れど、アドバンテージ自体の量は同じです。
それに加えてGR召喚が付いている。

SHOCKER、カンちゃん、ダンダルダは次ターンのバーンメアを見越すと先に出ていて嬉しいもの。特に強いのがSHOCKERで、バーンメアに限らずとも、ジューサー召喚なんかでもGR召喚を継続的に止めにいけます。
ゼンノーは各種ビートに捲れば一気に相手のペースが崩れ、4コストのジョーカーズというのも良い。

反対にこのタイミングで1/3で捲れるダッチー、マリゴルドは腐ってしまうことになりますが、次ターン以降の展開がより強力なものになる上、腐っても打点なので、リターンの方が大きいです。

ここで獲得したアドバンテージにより、仮にバーンメア自体が引けておらずとも、元からいる盤面+マナドライブ6達成によりバリューが跳ね上がった、エモGやジューサーからでも十分にゲームを作ることができるようになりました。

特に昨今のデイヤーはカットや解罪が主流で、ハンデスによる1アドバンテージ差でゲームが決まったりするし、
カリヤドネに対してもただマナを伸ばしたりシャッフで濁すより、シャッフをマリゴルドで構えつつ、盤面+バーンメアの3回のGRで詰めに行く動きを狙った方が、ずっと勝ちやすいです。

同型戦の後手に関しては一概にそうも言えず、先手では無類の強さを誇るもの、先ほど述べたダールの的になるリスクは否定できません。
とは言え、こちらもゼンノーを捲れば相手のプランを全て崩したり、後手で1枚多い手札で普通に緑のマナ加速をプレイするでもいいし、使い分けることで十分に戦うことが可能です。


◇2019年度最後のCS優勝へ

そしてこの理論が通用するか試すべく、2019年度最後に臨んだシーガル名取CSで、見事優勝することができました。
終始ガチャマリンチャージャーのアドバンテージがゲームを有利に進め、ダッチーとマリゴルドで暴れまくっての勝利。

当時の構築がこちら

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246のマナカーブを最大現実現しつつ、墓地メタも兼ねたステゴロに加え、初動の安定を狙う2コストブーストの9枚目も採用しています。
※この9枚目に関しては、ダッチーやマリゴルドで奇跡が起きる可能性があるジャスミンの方が、後々好みになります...。

特筆すべきはメガ・マナロック・ドラゴンでしょうか。

メガ・マナロック・ドラゴン


このカードが246のマナカーブで時としてバーンメアをより強力で、最大3ターン以上稼ぎながら盤面展開ができる優れものです。

シータバーンメアとカリヤドネには3マナ、デイヤーには最大4マナ止めつつ、なんとダッチーから出る(優勝した日は2回捲った、流石に運も良い)

灰ヒートもバーンメアをもマナに率先して置きたいカードではなく、13枚目の赤として、そして、バーンメアに次ぐ、時にバーンメア以上の選択肢として採用しています。
かなりおススメできる1枠で、最近では赤緑バーンメアなんかにも同様の理論で試したりしていました。
特に相手がGRメタカードをプレイした返しに出せると、真価を発揮します。

◇そして現在 某オンライン大会で優勝

現在の構築がこちら

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暫くしてデイヤーの高速化が進み、センノーを入れた構築を愛用していましたが、ただでさえ色配分がシビアなデッキにも関わらず無色クリーチャーであることがデッキの安定性を阻害。

洗脳センノー

とは言え先手のマリゴルドや後手のブーストに添える動き自体は非常に強力だなぁと思っていたところ、待望のU・S・A・BRELLA登場。

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赤であり、より強力なGRメタであり、このデッキに関して言えばセンノーの完全上位互換と言っても過言ではありません。

この枠は、出力がバーンメアと比べて劣るエモGを1枚減らし、安定を図っていた2コスブーストを1枚減らすことで捻出しました。

あとは変わらずですが、候補を挙げるとしたら『生命と大地と轟破の決断』あたりも汎用性に長け、デッキとの相性も良いです。

生命と大地と轟破の決断


決して弱いカードではないのですが、結局このカードを使うことでマナが減り、本来の動きが阻害されてしまうことと、ダールを出すにもダールを普通に召喚した方が良いことが多く、またメタクリーチャーを出すにも、マリゴルドで狙った方が良いことが多く、現在は採用を見送っています。

アンタップキラー効果が強力で、同型戦で盤面を取ったり、覇道のオニカマスみたいなカードを叩いたりと、選択肢が広がるカードです。環境次第で枠が余った際に、1枚入れると良い感じです。

地元で散見された『フェアリー・ギフト』に関しては、これまでも述べたように、マナの伸びてない状態のGR召喚は不安定です。

フェアリー・ギフト


たまに赤白のプーンギを無理やり貫通したり、マナロックを早期着地させたりみたいなミラクルはありますが、殿堂カードの割には出力がブレるし、色も緑とイマイチなので、なかなか採用されていません。

◇プレイングのこととか、現環境のこととか

プレイングと言っても、基本的にはマナを伸ばしつつ、GR召喚系のカードで展開し、各種メタカードで相手の反撃をケアしながら殴る、というざっくりしたものになります。
デスザークと違って、この対面にはこう、という大きな分岐が少ないのは特徴かもしれません。

『シータバーンメア』という太い道筋を一つおさえれば、あとは引いたカードで効率良くゲームを作ることを意識してみて欲しいです。

ガチャマリンは3ターン目以外も当然便利で、例えばエモGの次のターンにはガチャマリン×2で動けば実質パーフェクトウォーターになるし、そこにシャッフやナンバー、オーバーロードを添えることもできます。

シャッフのクリティカルな宣言と、あとは勝ち筋が細いときにどこまで踏み込むか、その辺りの判断は要練習です。

印象に残っている具体例として、実際にCSで、
盤面がエモG+カンちゃんだけの状態から、返しのターンが来ないことを見越し、ダッチーとマリゴルドを連鎖させて強引に勝利したこともあります。

そうやって可能性を広げられるのが、マナドライブ6の特徴です。堅実なジョーカーズ系GRとは異なり、爆発力があります。


現環境のことでいえば、相変わらずデイヤーが環境トップで、そこに対してはウサブレラが入った分取れるゲームが増えた感はあります。
しかしながら、デイヤー側もウサブレラの登場に対抗するように、『絶望と反魂と滅殺の決断』が入った形が主流になりつつあります。

絶望と反魂と滅殺の決断


ハンデス+ウサブレラ破壊というアドバンテージの稼ぎ方をされるが、やっぱりこれに関しても、ガチャマリンで獲得したアドバンテージの方が一枚分上手で、それを突破してくれています。

また、ダークネスの影響もあって、シータがセンノーの存在によって苦手とする赤緑バーンメアが若干の減少傾向にある。というか、センノーよりウサブレラを入れた形に移行しつつあります。
相手のウサブレラは灰ヒートやダールである程度対策できるため、そういう意味でも追い風なのかもしれません。

おまけ

新たに出てきたダッカルパラノーマルは回るとどうしようもないですが、SHOCKERで4を戻すとそもそもダッカルが出ないので、先回りして動けると戦いやすいです。
ザボンバを採用した赤白バイクに対しては、赤白GRの頃と変わらず後手は厳しく先手は楽、の構図です。

いずれもプレイの分岐は少なく、環境での、今後どう構築が洗練されていくかによりそうです。

◇おわりに

もしもコロナが蔓延せず全国大会があったら、正直、このデッキを使っていたと思います。
それで「やっぱりデイヤーが最強かー」なんて嘆いていたかもしれませんが、短い間ではありましたが、デスザークと同じくらい「相棒」なシータバーンメアのお話でした。

他とは違ったアプローチで、そして結果を残すことができ、その理論をこうして皆さんに共有することで、
この情勢が改善され、いざ競技DM環境が復活した際には「あの記事の理屈だとどんなカードが入るだろう」と思い返して頂けたら、そしてそれが皆さんの勝利のお役に立てたなら、これほどまでに嬉しいことはありません。

この記事の他に、

・パーソナルジムに30万かけてトレーニングしたレポート
・2019年度競技人生総まとめ

を制作中です。
ジムの方は4月末から5月頭くらいに公開予定。

競技人生の方は、情勢が情勢なので何とも言えませんが、落ち着くころに書くことになるかもしれません。完全に出遅れました...。
データ自体はまとめてあるので、今年度に良い機会があれば、ですかね。

その他にも、動画以外に文章でアウトプットできる機会を増やしていけたらと思います。
喋るのはあんまりですけど、書くのは大好きなので、また別の機会にも読んでいてだけたら幸いです。

普段はサブ垢で思考のアウトプットを行っています。勝負哲学とか、人生哲学とか、何気ない日常の気付きとか、雑ですが無料ですので、よろしければどうぞ。

本記事は以上となります。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

ZweiLance



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