映画マニアを名乗りた〜い!(6) ジメジメchop

まえがき ─ 希死

おっす。ずっちゃんだよ。
前回とうとうハートが1つも付かず、いよいよ誰も読んでないですねという感じですが、構わず行きます。これが男塾名物 直進行軍である
6月なので、梅雨なので、ジメジメしてたり鬱屈したような映画ばかりを見ました。毎月見てるような気はするが。
続けてそういうのばっか見たのでいい感じに死にたくなりました。感想どうぞ。

葛城事件

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息子が通り魔で死刑確定したし活動家の女と獄中結婚した

初っ端から非常に非常に重たく苦しい映画でした。
120分ずーーっと苦しい。主要人物は誰一人として善人も被害者もおらず、ただただ最悪の顛末を見せられる映画でした。
重たいの好きなんですけど流石にこう…リアリティが強すぎてしんどかったです。
何より三浦友和のクソ父親の芝居が凄い。決して稀代の極悪人ではない、日本中に山程いる、旧制度的父親モデルに縛られたおじさん。丁度いいと言うとあれかもしれないけど、リアルすぎる嫌悪感を完璧に纏ってて、名優にも程があるだろと思いました。
そして食事シーンがかなり多いのに手料理が一切出て来ないのは多少あざとさすら覚える良い演出ですね。はあ家庭家庭。
あと個人的な話、通り魔になるまでの息子の状況がかなり自分と近くて、ああ俺はそういう所まで来ているんだなって実感して怖かった。そんなことはどうでもいいですね。
とにかく何も救いがない、物凄く厭な映画でした。良い意味で。
体調が頗る快調な時に見てください。

MOTHER マザー

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自堕落で身勝手な母親と彼女から離れられない子供の顛末

クソ父親の次はクソ母親です。あんま続けて見るものではありませんでした。
長澤まさみのプロモーションビデオかな?ってくらい彼女の女優としてのパワーが全面に押し出されてましたね。凄かった。
ただそのぶん構造というか、感情の流れみたいなものが「葛城事件」よりも単純で、ちょっと面白みに欠けた気はします。
親子という関係性に宿る気持ちだけでここまでのことになるか?と思ってしまいました。僕が親とそんなに深く関わってないからなのもあるんでしょうけど。
あと母親はともかく周りもクソすぎるだろってのが気になりました。通報の概念が存在しない世界か?って感じで。でも実際そんなもんなのかもな。人間は遍く愚かです。

時計じかけのオレンジ

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殺人で捕まった非行少年を洗脳して更生させよう

キューブリック映画を初めて見ました。抜群にセンスが良いですね。中高生くらいの時に見てたら色々危なかったと思います。
音楽も画面も台詞回しもとんでもなく洒落てて、何だか解らないままに惹き込まれてしまいました。これ50年近く前の映画なのやべー。
少年が人を殺す話が3連続しましたが、前2作とアプローチが全然違って面白いですね。アーティスティックでスタイリッシュですらある殺人シーン、とても好きです。もちろん創作物においてね。
あとよくある最後の一言で色々考えさせて終わるやつ、これも好きだ。あの台詞はいったいどういう意味での言葉でしょうかね〜って。
でもあんまテーマ性とか問題提起とかそういう感じでもなさそうな気もする。
ので好みは分かれそう。僕はかなり刺さりました。ほんとサブカル好きね。

最悪の選択

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旧友と狩りに出掛けたら最悪すぎる展開が待っていた

シンプルすぎるタイトル。内容もそのまんま、ただ2人でバッド選択肢を選び続ける話。
尺も90分ちょいだし、何か凄くあっさりしてて、物足りないような気もするしこれが良いような気もします。
でもやっぱ何かもうちょっと罪とか業とかドロドロ描いてくれた方が好みですかね。ただ導入の急展開がBGMもなしにサラッと来るのは良かった。
あと全然違法なことする所から始まるから「どうしてこうなった」的な苦しさが少ないのもいまいちハマらなかった原因かも。もっと理不尽なのが良いな〜と思いました。いや良いことはないけど。
2人の関係性をもっと掘り下げるとかもあったらラストの悲哀がもっと深かったよな〜とか、色々惜しいような感じがする映画でした。面白かったけど。

ノクターン

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同じ音楽高校に通う双子の姉は将来有望な天才、悪魔の力で引きずり降ろせ

ネトフリオリジナルの次はアマプラオリジナルです。
双子の片っぽだけ才能あって嫉妬で諸々起こる話ってド定番ですね。あんま変に裏切りとかもなく王道に進んでいくので非常に見やすい。尺も長過ぎないし。
でもその定番で王道な流れの中でもカットの入り方とか画面の感じとか結構独特でオシャレで好きでした。題材が音楽だけあって劇伴も素敵。
悪魔の力が強大すぎて…系だったらエクソシスト的なホラーあんま惹かれないので嫌だな〜と思ってたんですけど、人間の嫉妬とか野心とかの醜い部分を描くのがメインな感じだったので良かった。
何でも才能やら機会の有無のせいにしちゃいけないね〜って。ほんとに。

紙の月

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銀行勤務の女が不倫相手のために横領に手を染める

とてもよく出来てて面白かったです。
誰かのために何かをすることや感謝されることの麻薬的な魅力とそれに纏わる危うさ、或いは自由とは何か、というテーマをめちゃくちゃしっかり描いてて、良作だと思います。
ただちょっと登場人物のキャラクターがテンプレートすぎるというか、こういう性格でこういう働きをするキャラですよ〜ってのが分かりやすすぎて生きてる感じがしなかったのが少しばかり残念。
それと何より劇伴がクソダサい!!!犯行シーンのやつとか世界仰天ニュースかよって感じでびっくりした。他はちゃんと良いのにどうしたんだろう。俺の感性の問題なんかな。
でもまあそういうのを除けばほんとめちゃくちゃ綺麗に丁寧に作られた映画で一見の価値はあると思います。←何様?
あと別にそんなジメジメしてなかったっすねこれ。テーマからは逸脱したかも。

孤狼の血

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大卒エリートが組んだ激ヤバ破天荒刑事はヤクザの抗争を止めたい

2ヶ月連続で白石監督ヤクザ映画です。そして「渇き。」ぶりの役所広司パワー全開映画です。
うーーんでもあんまり好きじゃなかったです。
単なるヤクザものからちょっと捻ったりはしてるんだろうけど、やっぱりどうもこういうケンケンした暑苦しい感じが苦手。
「ヤクザと家族」はそれが前フリでそこからの転落を描いていたので良かったんだけどね〜。
でも松坂桃李の目を死なせる技術が存分に光っていたし、濃いおじさんたちも群雄割拠って感じで、お芝居の面はとても良かったです。ヤクザものって演じててめちゃくちゃ楽しそうですよね。
グロい演出も邦画らしい気味悪さで良し。開始数秒で豚の脱糞が映るの凄すぎる。
ジャンル自体が好みじゃないだけでとても良い映画だとは思いました。多分。

友罪

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ある罪悪感を抱える元記者、新たな職場で出来た友人は少年A?

これはかなり良かったです。
瑛太&生田斗真のW主演が何より素晴らしい。
ラストシーンの対比とかあざといくらい上手かった。
罪を償うとはどういうことか、罪を犯した人間はどう生きるべきか、人類の至上のテーマとも言える題材にしっかり向き合ったストーリーも完璧。ちょっとだけわかりやすすぎる感じもしたけどそれは俺が捻くれてるせい。
「そういうの」って言葉がよく出て来たのが印象的です。今まで色んな人が語り交わしてきたテーマだからこそ形成された「そういうの」に対する想いとか、深いところまで描いてくれてめちゃくちゃ良かった。
やかましい演出やら劇伴やらも無くてそういう良いものたちがスッと入ってくるのも非常にグッドです。
大変良い苦しさでした。拍手。

はい。わりとマジで精神的ダメージが甚大でした。続けて見るもんじゃないですね。
あ、あと久しぶりに映画館にも映画を見に行きました。「映画大好きポンポさん」。これもめちゃくちゃめちゃくちゃ良かったです。最高。
来月は特に理由はないですがタイトルだけ知っている映画を色々見てみようと思います。
それでは、また。(なすなかにしの漫才の締め)


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