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SECIモデルで知財を分析

日本が誇る経営学の理論であるSECIモデルを知財に当てはめてみたいと思います。ナレッジマネジメントって流行ったんですが今の人はお呼びで無いかなぁ?

SECIモデルとは、野中郁次郎教授(元一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)と竹内弘高教授(元ハーバード大学経営大学院教授)が提唱した、知識創造活動に注目した、ナレッジ・マネジメントの枠組み。個人が持つ暗黙的な知識(暗黙知)は、「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「連結化」(Combination)、「内面化」(Internalization)という4つの変換プロセスを経る。

もう少し詳しく説明すると、

「共同化」とは、経験の共有によって、人から人へと暗黙知を移転することである。

「表出化」は、暗黙知を言葉に表現して参加メンバーで共有化することである。

「連結化」は、言葉に置き換えられた知を組み合わせたり再配置したりして、新しい知を創造することである。

「内面化」は、表出化された知や連結化した知を、自らのノウハウあるいはスキルとして体得することである。

言葉よりイメージモデルを見てください。

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野中郁次郎先生の授業を受けたことがあるのは1万人はくだらないと思うんですがその一人として、世界で通用する理論が日本初というのは誇らしいです。

学生当時、加護野忠雄先生、伊丹 敬之先生が3巨頭だったので、それぞれ受講しに行きました。1990年代のことですが、バブル経済のときジャパン・アズ・No.1だった時代の日本の経営学は世界からもその理論体系を注目されていたので、経営学者も今の方々よりスケールが大きな方々でした。

戻ってSECIモデルでは、知識変換モードを上記の4つのフェーズに分けて考え、何回転もスパイラルさせて組織として知識を創造し、マネジメントすることを目指しています。

野中先生のケーススタディの題材となった開発に関わった方に話を聞いたこともあるのでここでは知財との関係で述べていきます。

なお、暗黙知とはノウハウや考え方など言葉に表しきれない知です。形式知はそれに対する言葉で言語化できた知になります。よくこのメタファーとして氷河の一角として海面に表れているのが形式知で埋もれているのが暗黙知であるといわれています。

【共同化】Socializaiton

暗黙知から暗黙知へ

共同化とは、ある人の暗黙知をその集団のメンバーが経験を共有することによって、メンタルモデル(認知的=精神的暗黙知)や技能(技術的=身体的暗黙知)などの暗黙知までも共有することです。

実際に使われている現場に乗り込んで一緒に経験することは、言葉に表せない膨大な経験を積むことになります。経験しているときにはその濁流に流されるだけですが、血肉となっていて、ふとした判断に活かせると言っていました。知財担当は経費の関係で同席することが難しい場合もありますが、初期の段階で同じ釜の飯を食う経験はした方がスムーズに事が進むのは当然です。

新人にカバン持ちをさせる、教育係が教えるのは言語化されたものを超えた共感を得たいと言えると思います。

【表出化】Externalization

暗黙知から形式知へ

表出化とは、暗黙知を表層化して表すプロセスです。これは集団の中で暗黙知がメタファー、アナロジーなどの近しいものでたとえて共有することで生まれる。また小さな種はコンセプト、仮説、モデルなどの形をとりながら次第に形式知として明示的になっていくプロセスとも言えそうです。野中先生は、このプロセスは知識創造の真髄であるとしています。表出化は、帰納法や演繹法といった論理思考なども用いて対話(ダイアローグ)・共同思考によって引き起こされます。

前回の記事のデザインシンキングなどもその表出化をスムーズ行う方法論のひとつと言えそうです。

この混沌とした状況を言語化するお手伝いは実は知財担当が得意です。暗喩でなんとか表すときの手助けや図面や写真などを通して言いたいことを言語化し、特許化する定常業務を上手く活かすことで役立つことができます。ハッと気づくアハ体験、いつも裏方の知財担当が縦横無尽に動けると良いですね。

【連結化】Combination

形式知から形式知へ

連結化とは、形式知同士を組み合わせてひとつの知識体系を作り出すプロセスです。異なった形式知を組み合わせて新たな形式知を作り出します。ひとつストーリーとして紡ぎだす、カスタマージャーニーのような体系化を行います。

それまで個別に格納されていた知識をマニュアルにするなどデータベースに格納するとき、

生まれた知恵を言語化出来たらそれを体系化し、ポートフォリオの形で体系化することを知財担当は行います。これにより抜け漏れがあったり、強化するポイントを設定したりと見える化することにより顕在化させます。

【内面化】Internalization

形式知から暗黙知へ

内面化とは、形式知を再度、腹落ちして暗黙知へ身体化するプロセスです。OJTなど行動による学習と密接に関連したプロセスです。形式化されたナレッジが、新たな個人へと内面化されることで、その個人と所属する組織の知的資産となります。

体系化された知識はそれを個人が取り込む中で新たな暗黙知を作ることがあります。量をこなすと質も向上すると言うのはよく聞く話ですが、作業・業務を考えながら行わないと内面化は起こりません。真剣に悩んで真剣に取り組んで、全身全霊で行った時に新たに生まれる知があると信じて日々の業務を行いたいですね。

野中先生の書籍のSECI

野中先生に関わった人のあるあるかもしれませんが、野中さんは書籍の原稿もSECIで書かれている?

一緒に過ごす中で野中先生の中の暗黙知を、共願者が形式化し示す。

これを見た野中先生の膨大なバックボーンから体系化して最終的に書籍化が行われる。

読者はそれを読む中でそれそれ、と納得し、

その中で選ばれた経営トップなどと再度、野中先生とお話をされる中で野中先生に新たな暗黙知ができる

というスパイラルを何人もの共願者とおこなっていると外からは見えます。

共願者は特許用語ですね。共著者です。。。

後知恵であそこで生まれた!って話は判るのですが、それを能動的に作るための準備が、

場の考え方です。遠方のホテルに缶詰になって携帯電話使用禁止。

語らいながら、飲みながら、どんな商品にするべきか、青臭い議論も吹っ掛けて

まとまって言葉にしたのは、傍目から見たら如何にも普通の言葉に見えるんですが、作っている過程で共通認識になるのが強みでした。

追記:withコロナ時代のセキ

コロナにより全く知らない人たちと濃厚接触する事を自粛されている状態です。

同じ場に居て、出来事を共有する共同化や表出化が出来ません。

つまりWeb表出化を仕掛けて行かないとセキは回りません。

テレビ会議システムには荷が重いので、x Rと融合してなのか創れないですか?

この数年は間違い無く、移動が制限され、Webシステムには比較的使われる可能性が高い好機です。

無知ぶりですが、遠隔地と繋ぎセキを回す仕掛け作り、面白いと思うんだけどなぁ~

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