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日本酒でいう「変態」。褒め言葉だと言われるがそれは本当にそうなのか?

近年様々な味わいが登場している日本酒。

仕込み方・造りなどで味わいが大きく変わり、多くの地酒ファンを楽しませている光景を飲食店を中心によく見かけることでしょう。

さっぱり、フルーティー、甘酸っぱい、しっかり……

それを表現する言葉も多様で、ワインのソムリエを思わせるようなコメントを残す人も。

そんな中、時折聞かれる単語があります。

「変態」

あまりポジティブな印象の単語ではありませんが、日本酒界隈ではしばしば褒め言葉として扱われます。

それはかなり尖ったものに対して。


飲食店に対しては、トレンドに流されないで独自の方向性をもってひたすらに突き進むお店に。

蔵元さんに対しては、数ある個性派の中でもかなり尖った香味を造る蔵元に。


そもそも変態とは何か。

・変態(へんたい)とは、形を変えること。また標準的なものから変異した状態。また派生的に変態性欲、変態性欲者のことをいう。さらに派生して精神性、行動、スタイルなどが異様で突飛なことを指すこともある。
・一般常識を超える技術や性能、もしくはそれらを備えた人物や工業製品などを指すスラング。変態性欲が非常識なものとされることから転じたものであるが、賞賛と困惑が入り乱れる文脈で使われる事が多い。 
ーWikipediaより

常識の範疇を超えて飛び抜けたことをしているものに対して贈られる言葉、として受け取っていいでしょう。

言い換えるならば「マニアック」

そういったもの。

ただし
常識の範疇から見た場合



日本酒界隈で常識ってなんなのでしょうか。



そもそも決まったものって無いんでしょうね。


よく言われる事柄に関しては、代々お酒が好きなおじさまの方々が語り継いできたような事柄が、かりそめの常識のようなものとして存在するのでしょう。

日本酒は辛口の方が良いものだ
米どころの日本酒が美味しいんだ
熱燗は悪酔いする
などなど・・・

日本酒はこういうものだ、という固定観念のようなもの

または最近のトレンドに乗っているような、新政さんや仙禽さん、十四代さん、の知識が常識なのか
昔ながらの菊正宗さんや白鶴さん、月桂冠さんのような大手酒造メーカーの情報が常識なのか

そういうことにこだわり始めたらそれはすでにマニアックと言われても仕方がないかもしれませんが。

いずれにしても、日本酒を多少なり飲み比べた方々のセリフがノイジーマイノリティに近い形で広められているといってもいいのでは。

それはある意味では十四代に代表される、プレミア銘柄こそが上質・真に美味しい日本酒なのだ、といった信仰にも繋がるものになりえるのでしょう。

嗜好品とはいえ、急激に変化している現在で一般的に広く知れ渡っているような事柄はほぼ無いので、日本酒界に常識なんてものは最早存在しないのだ、と思うのですがいかがでしょうか。


さて。

日本酒界の変態について。

飲食店に対しては全然いいと思います。
その店を運営する店主の好みがトレンドではないある方向に特化していることで、「このお店はマニアックだ、店主は変態だ」と評価される。
これは褒め言葉といっても差し支えないでしょう。

問題はお酒そのものや蔵元さんに対して

今まで私が遭遇してきた「変態」と呼ばれる日本酒に対してのセリフ。

その大半が、濃醇で旨味や酸味などキャラクターの強い、特徴的な味わいのお酒に対して贈られる言葉でした。

奈良県 花巴
千葉県 木戸泉
千葉県 五人娘
など・・・

強い旨味や酸味、時には熟成による味わいの急激な変化など…

お酒好きな方でも人を選ぶと評価されるようなお酒たち。

確かに個性的な味わいではありますが、これは「変態」と呼ぶべきなのでしょうか・・・


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