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「人の顔と名前が覚えられない問題」へのゲーム的アプローチ

人の顔と名前が一致しません。

いただいた名刺に特徴を書いておくなどの工夫をすれば、少しはマシになるのかもしれません。ですがそういう細やかなことができない、ズボラな性格なのです。

「他人に興味を持て」と言われたらそれまでなのですが、僕はこの課題を、ゲームを起点にして解決できないかと考えてみました。

それでもポケモンの顔と名前は覚えられる

ゲームは現実のシミュレーターです。ゲームでうまくいったことは、現実でもうまくいきます。

そこで、ゲームで顔と名前を覚えられたという成功体験を見つけて紐解き、その仕組みを応用できれば、現実でもきっと覚えられます。

そして見つけた成功体験が『ポケモン』でした。

最近はもうわかりませんが、僕は『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』シリーズのところまで、すべてのポケモンの名前を覚えられていました。

顔を見れば名前がわかり、名前が分かれば顔が分かる。まごうことなき、顔と名前の一致です。

今調べてみたら、当時のポケモンは全部で500種くらいいたそうです。Facebookの友達の数もだいたいそれくらいいますが、そちらは正直、全員覚えているかと問われると怪しいものがあります(ごめんなさい)。

しかし、ポケモンなら覚えられる。ここに人の顔と名前を覚えるためのヒントがあるのではないでしょうか。

ポケモンの名前が覚えられる理由を人間に応用する

なぜポケモンの顔と名前は覚えられるのか。その理由はいくつかは考えられます。

・名前が5文字以内である(音の長さに想像がつきやすい)
・名前がカタカナである(読み方が分からないことがない)
・登場時は顔と名前がセット(ビジュアルの横に名前が表示される)
・接触回数が多い(たいていのポケモンとは、短期間で複数回出会う)
・名前と顔(ビジュアル)に関連性(ハリが生えてるハリーセンなど)
・見た目が色彩豊かである(赤、青、黄など見た目の区別がつきやすい)
・興味深いタグがついている(ほのおタイプ、強い技を覚える、など)
・対戦に勝つために頭が必死に覚える(相手に効果的な攻撃をするため)

他にもあるかもしれませんが、とりあえず思いついたものと、人に教えてもらったアイデアが上記です。こう考えると、ポケモンって本当によくできていますね。

これらの中から、人にも応用・方法化できそうなものを抽出・検討してみましょう。

1.名前が5文字以内である
→文字数の少ないあだ名を付ける
2.登場時は顔と名前がセット
→いつも名札を付けてもらう
3.接触回数が多い
→短期間で何回も会う
4.興味深いタグがついている
→自分の興味を引くタグを見つける
5.対戦に勝つために頭が必死に覚える
→覚えることにインセンティブをつける

このうち、ちょっと無理があるのが、2の「いつも名札を付けてもらう」でしょうか。

ちなみに、他人に自分を覚えてもらうためにこのアイデアを実行している人もいます。たとえば代議士の方々です。

彼らは、自分の顔と名前がセットで登場するようにしています。街頭に立つときは名前が書かれたノボリを立て、看板に貼るポスターには必ず、顔と名前が描かれています。

名前を書いてもらわないと商売にならない方々は、それだけのことをやっているというわけです。でも、みんながそれをやるのは無理ですよね。

対して、すぐに実行できそうなのは1の「文字数の少ないあだ名をつける」です。名前を聞いたらとりあえず、心の中で5文字以内のあだ名をつけるのです(例:ジャイアン)。

というわけで僕もやってみたのですが、正直、あまりお勧めできません。

第一にクリエイティビティが要求されること(すぐネタ切れする。ポケモンの名前を考えるのは大変そう)。
第二に、ともすれば容姿や趣味を揶揄するようなものになってしまうこと(僕の性格が悪いのかもしれません)。
そして最後に、つけたあだ名を忘れることです。また、逆に何かの拍子に口に出しちゃったら気まずくなりそうでリスク大です。

3の「短期間で何回も会う」は、そもそも矛盾をはらんでいる施策です。3回くらい会えばさすがに僕も自然に覚えるのですが、困っているのは2回目に会った人の顔と名前が一致しないことだからです。

言い換えると、求められているのは、1回目に会った人の顔と名前を「覚え続ける」ことです。

よって使えそうなのは、残されている4の「自分の興味を引くタグを見つける」と、5の「覚えることにインセンティブをつける」になります。これらを活用すれば、人の顔と名前を覚えられるのではないでしょうか。

人の顔と名前を覚えるゲームを考える

残ったふたつのうち、「覚えることにインセンティブをつける」というのは、ゲーム的で有効に思えます。人は仕事と言われると腰が重くなりますが、ゲームだと喜んでやります。

というわけで、人の顔と名前を覚えることにインセンティブがあるゲームを作ってしまえばいいのです。

そのとき、もう一方の「自分の興味を引くタグを見つける」ことは、要件かつインセンティブになりうると思います。

他人の顔と名前を覚えられないことを課題に感じている人は、できることならそれを覚えたい人であるはずです。そういう人はきっと、知らなかった人と知り合いになって、新しいモノの見方や考え方を知るのにワクワクするんじゃないでしょうか。

ここまで書いてみて気づいたのですが、もしかしたら僕をふくむ「他人に興味を持てない」とされている人は、正確には「”他人がもっているはずの、自分が興味をもつ何か”を見つけるのが下手」なのかもしれません。

少なくとも僕は一般的にプロフィールとして聞き出されるような、出身地や好きな食べ物についてはあまり興味がないようです。それらを聞いてみたところで、相手を覚えるのにつながらないのです。

よって、本ゲームでは「“他人がもっているはずの、自分が興味をもつ何か”を見つける」という体験ができるようにしたいと思います。そうすれば、結果的に相手の名前と顔は忘れられないものになるのではないでしょうか。

ちなみに前提として、ゲームといっても、たとえば『人生ゲーム』のように場所を取る・コンポーネントが多い・時間がかかる・持ち運びが大変なものは望ましくありません。

仮に人の名前が完璧に覚えられるとしても、1m四方のスペースが必要で、遊ぶのに1時間もかかるゲームでは意味がありません。求められるのは質的にも時間的にも、手軽さです。

出てきた条件をまとめてみましょう。以前に書いたnote「ボードゲームってどうやって作るの? ゼロから販売まで、全部解説。」でご紹介したフレームワークに沿ってみます。

『人の顔と名前を覚えるゲーム(仮)』企画

企画
・ワクワク … 知らなかった人と知り合って、新しいモノの見方・考え方を知る
・体験   … “他人がもっているはずの、自分が興味をもつ何か”を見つける
・ルール  … 未定

制作
・コンポーネント…なし、あるいはポケットからすぐ出せるようなもの
・ルールブック …なし、で済むレベルが望ましい
・パッケージ  …なし、で済むレベルが望ましい

販売
・誰でも遊べるよう、オープンソース化したい

骨子の部分は見えてきた気がするので、次はこのワクワクと体験を再現するシステムである、ゲームのルールを考えるフェーズに入ります。

つづきます。

「自分も顔と名前覚えられない…」「そんなゲームをやってみたい」と思った人にスキやシェアをいただけると、企画を進めるモチベーションになります。コメントでのご意見も歓迎です!

次回は、具体的なルールの検討やプロトタイピングに入ります。

ナイスプレー!