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ボードゲームの説明書に学ぶ、「伝わる」引き継ぎ資料の作りかた 実践編

引継ぎ資料を作るときには、ボードゲームの説明書の作り方を真似しましょう。すると誰でも分かりやすい資料ができて、後任の人がハッピーになって、感謝されて、あなたもハッピー。

本noteでは、そんなハッピーを生み出すために、ボードゲームの説明書の構造 & 引き継ぎ資料への作り方を解説していきます。ゲームを作る方なら、説明書をデザインするときも参考になるかもしれません。

まずは実際の説明書を見てみましょう。

下記の画像は、僕が以前つくった「切り裂きジャックは誰?」というゲームの説明書です。「B51枚に収める & フォントは最低でも7pt」という制約のため詰め込み気味ですが、内容は結構わかりやすくなっているかと思います。

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これを踏まえて、各項目について解説していきます。

1.ゲームの名前

おそらくどんな説明書でも、最初に書かれているのはそのゲームの名前ではないでしょうか。

引き継ぎ資料も同様に、最初はその仕事の名前を書くといいと思います。許されるなら、楽しそうな名前にしたいですね。

2.内容物

そのゲームのパッケージに何がどれだけ入っているのかを書いてあります。それはつまり、「そのゲームを遊ぶために、何がどれだけ必要なのか」を示しています。

引き継ぎ資料では、その仕事をするのに必要なものが何なのか、それがどこにあるのか等を書いてあげるといいと思います。WEBなら、リンク集でも。

大塚商会の調査によると、サラリーマンは年間150時間も「探す時間」に費やしてるそうです。「どこにあるのか」も意外とバカにならない情報です。

3.ストーリー

ゲームのストーリーが書いてあります。このゲームの場合は、「1888年8月31 日、ロンドン…」というところから切り裂きジャック事件のあらましと、僕がねつ造したエピソードがミックスされています。

これを読んだプレイヤーに、「なるほど、だから我々は○○するのか」とゲームでの動作の意味を理解・納得してもらうのが目的です。

引き継ぎ資料でも、「なぜその仕事があるのか」のストーリーを共有するのが重要です。それがないと後任者は、「なんでその仕事をやっているのかわからない」状態になってしまうかもしれません。

前にその仕事をやっていた身からすると自明かもしれませんが、ここはしっかり言語化すべきだと思います。

4.ゲームの概要

ゲームの始まりから終わりまでをざっくり説明しています。

この後の部分で詳細な流れを説明するのですが、その前に全体像を把握しておいてもらうためです。いきなり「○○します」などと書いてあっても、プレイヤーはその動作をなんのためにするのかわかりません。

引き継ぎ資料も同様に、いきなり仕事の手順を書くのではなく、最初にざっくりとした全体像を書いてあげるといいと思います。いわば「その仕事の目次」でしょうか。

5.ゲームの決着

どうすれば勝ち or 負けなのか、あるいは何が目的なのか、といったことを示します。

それが最初にハッキリ示されていると、ダラダラしがちなゲームの流れの説明も、ゴールを意識しながら理解していくことができます。
そこに向かっていけばいいのね」と理解しているのとしないのでは、過程の説明の理解度が全然違います。

引き継ぎ資料でいうなれば、その仕事はどこまでやれば完了なのか、という説明になると思います。大抵の仕事は、もっと大きな仕事のいち過程ですが、その人の持ち分というものはあるはずです。

綺麗に「完了」とはならない場合は、次のパートの仕事の導入を示すのもいいかもしれません。

6.ゲームの準備

どういうふうにコマやボードを配置すればいいのか、どうやって順番を決めておけばいいのかといった、ゲームで遊ぶ前にやっておきたいことを示します。

ここで誤解があると、ゲーム開始前から冷めるという事態が発生するため、かなり気をつかって書く部分です。

たとえば「役割カード配付」。人狼ゲームなど正体隠匿系に慣れている人なら、自分に配られた役割カードを他人に見せないのなんて当たり前ですが、そうでない人もいるかもしれません。
だから上の説明書では、「配られたカードは他の人に見えないよう、自分の前に伏せて置く」とまで書いておきました。

引き継ぎ資料でも同じように気を付けるべきところでしょう。後任者が、自分と同じ背景をもっていると思うべきではありません。

あやふやな表現だと、確実に迷います。量が決まっているなら数字で示し、別の解釈がありうる場合は補足して潰しましょう。

まっさらな状態で読んで、間違えないか。これはボードゲームの説明書でも引き継ぎ資料でも、同様に大事です。

7.人物トークンの使い方

ここだけちょっと他と毛色が違いますが、「人物トークン」とは、このゲームで使用する人型のコンポーネントです。その動き方や効果の説明が、コンポーネント上に載せきれるものではなかったので、こちらで説明しています。

引き継ぎ資料にもこうした「専門用語の解説」が入っていると親切かもしれません。資料の作り手としても、仕事の流れを記載するときにそうした言葉が使えると楽になると思います。
逆に、解説もしていない専門用語が突然出てくることがないように気を付けましょう。

またジャックがパスをできるという「例外処理」もここに書いています。例外処理を書く位置には議論があると思うんですが、僕は発生頻度に応じて調整するのがいいかなと思っています。

よくある場合は今回のように必須説明の途中に、滅多にない場合は最後にFAQ的なものを設けてそこに入れるとスッキリすると思います。丁寧に説明するのも大事ですが、それはそれで情報過多になってしまうので優先順位付けが必要になります。

8.ゲームの流れ

説明書の本領です。前回も触れたように、ボードゲームは非電源ゆえ、コンポーネントはプレイヤー自身がすべて動かさなくてはなりません。
その「動かし方」を記載するこの部分も、間違いや他の解釈が可能な部分を徹底的に排除することが求められます。

「切り裂きジャックは誰?」の説明書では、人物トークンを、「移動」させるのか「配置」するのか、どちらの言葉を使うかで悩んだりしました。

結果、「配置」にしました。このゲームでは人物トークンは結構自由に動けるのですが、「移動」だと近くの場所にしか動けないと思われるのでは、というのが理由です。

引き継ぎ資料も同様でしょう。ここはいわば、準備から決着までの間を埋める部分です。きちんと準備から出発して、迷うことなく決着にたどりつく、地図を描くイメージです。

9.ヒント

おまけ的部分です。上記までの記載でカバーしきれなかった部分、あるいはレイアウトの都合上で削った部分などを入れてあります。テストプレイでよく出た質問に対する回答(FAQ)などもここ。

引き継ぎ資料なら、前任者ならではのコツなどを書いてあげるといいんじゃないでしょうか。

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というわけで以上、「ボードゲームの説明書に学ぶ、「伝わる」引き継ぎ資料の作りかた」でした。

これから引き継ぎ資料を作るかもしれない方・ゲームを作るかもしれない方のお役に立てれば幸いです。ルールづくりのお手伝いしてほしいよ!という方はこちらからご連絡ください。

★本noteから読まれた方は、前編の「理論編」も合わせてどうぞ!



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