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はじめてのゲームは、小さな企画と厳しい〆切でつくる

桜井政博さんのYoutubeチャンネル"桜井政博のゲーム作るには"が面白くて、お昼ご飯を食べるときにいつも観ています。

その中の「ゲーム作りで食っていくには」という動画で、ゲーム業界に入る最短の道は、自分でゲームを作ってみることだという話がありました。

この意見には僕も完全に同意で、僕が今たまたまゲームで食っていけてるのは、最初にこれができたからだと考えています。

ただ、初めての人にじゃあ作ってみろというのは厳しすぎるかもしれません。そこで、自分の時のことを思い出してみて、最初にゲームをつくるなら小さな企画と厳しい〆切でゲームをつくってみることがいいんじゃないかと思い至ったので、その時のことを書いてみます。

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ぼくがはじめて作ったゲームは『カルテカ』というタイトルでした。東京ゲームメイカーズで出展した、2017年の東京ボードゲームコレクションが初出。

カルテカ

『カルテカ』は、1〜6の数字が4スートで24枚のカードであそぶ、変則的なポーカーです。配られた手札を1枚ずつ出して役をつくって、強い方が勝ち。ユニークなのは、役作りを2人チームになって、お互いの手札を見せない&しゃべらない状態でおこなうという点です。だから、4人専用の2対2のゲームになります。

カードが並んでいく様子

設定は、宇宙空間で言葉が通じない状態でのコミュニケーション。相方がこのカードを出したってことは、次のこれを出してほしいってことだよな?など推理したり、期待したり。気持ちをアップダウンさせて遊べるゲームです。今でも、けっこう面白いと思ってます。

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ただ内容はともかく、はじめてのゲーム作りでカード24枚というスケール感でできたのが一番の正解だったと考えています。

おそらく多くのはじめてゲームを作りたいと考えた人は、作りたいものをつくろうとするんじゃないでしょうか。でもそれをやろうとすると、入れたい要素がありすぎて収拾つかない大作プロジェクトになることがあります。

収拾つかなくなる一番のデメリットは、完成までの期間が長くなることです。要素同士の複雑な絡み合いでバランスがとりにくくなり、ゲームとして成立させるのが難しくなります。そのうちに熱意が失われ、プロジェクトは空中分解し、「ゲームが作れなかった」という体験が残ってしまいます。すると次にゲームづくりをするために、余分に大きなエネルギーが必要になります。

『カルテカ』は当時参加していたボードゲームをつくるワークショップで、「宇宙」をテーマに決められ、そこから考えたゲームでした。僕は宇宙のことをめっちゃ好きでなわけでもありませんでしたが、与えられたテーマだったからこそ、こだわりすぎずにいられました(でももちろん、ちゃんと完成させられるなら本当は作りたいものをつくるのが一番だと思いますよ)。

また、もう一つ良かったのはそのワークショップの〆切が厳しかったことです。メンバー内でプレゼンするまでにモノができてないと、ボロカス言われる感じでした。途中でほとんどの人は脱落してましたし、講師の人間性は今でもどうかと思っていますが、締切が明確だったのはいいことでした。期間内に完成できるスケールで作ることに自然とフォーカスした気がします。

それでも結局『カルテカ』は完成まで半年くらいかかってますが、とにかく「ゲームつくりたい!」という熱意が絶えないうちに仕上げることができました。

そして完成させるといいのは、他人に見てもらったり遊んでもらい、反応がいただけることです。しかもイベントに出れば買ってもらえるかもしれません。こればかりはやってみないとわからないことなのですが、この体験ができるかどうかで、次のゲームをつくろうと思えるかが決まると思います。

それを素早くするためにも、はじめてのゲームづくりには小さな企画と厳しい〆切が有効だと思います。ちなみに〆切の設定方法に関しては理不尽な講師ではなく、出展したいイベントの日程がおすすめです。

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ちなみにオチとして、なぜ『カルテカ』はよくできてたと思ったのにその後、増産しなかったのかの話。察しの良い方は気づかれていたかもしれませんが、1〜6の4スートだけ使うということは、トランプでも遊べるんですよね。もちろん世界観を表現するデザインが入っているという点では厳密には違うとも言えますが、オペレーション的には完璧に再現できてしまいます。

というわけで、せっかくなので、供養としてルールをこちらに置いておきます。気になった方は4人で集まった時にトランプで遊んでみてください。


ナイスプレー!