ジコマンキング
ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第五十一話〜

ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第五十一話〜

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前回のあらすじ

鉞(まさかり)と対峙するジコマンキング達。一方ロッフに置き去りにされたシドはとてつもなくイラついていたのである。


シドは公園で暴れていたプレイヤー達を正座させていた。

「諸君、俺はTGFの者だ。人数はざっと、7人か。こんな夜分に仮面をつけて暴れ回ったらご近所迷惑だ。ドンパチは街の外れでやってもらおうか?次街中でやったら骨がなくなると思え!!わかったらとっとと仮面を置いて消え失せろタコども!!」

仮面使い達はシドに恐れをなして仮面を置いて逃げていく。シドはそれを拾い集め、ベンチに座りタバコを吸い始める。

「あのメガネの小僧はどこいった?俺はこの辺詳しくないから1人じゃ帰れないだろうが!しかし、仮面は集まっても使い手不足は深刻だな。良さげなプレイヤーは現れないものかねぇ。」

その時シドの目の前に2人の少年が現れる。恐らく中学生くらいだろう。緑色のレベル2とオレンジ色レベル3の仮面をつけている。仮面はお互い鱗の様な模様が描かれていた。姿も人型であるが何かが違う。洋服を着ているが体もまた鱗に覆われていた。魔法界百戦錬磨のシドはすぐに理解した。

「(へぇ、竜人になれる仮面もあるのか。まぁ不思議じゃないか。背丈からして中学生だな。どれ、様子見でからかってやるか。)」 

シドはタバコをポケット灰皿に入れて立ち上がる。

「よぉ、どこのおチビちゃんだ?こんな夜中にガキ2人で出歩いたら危ないぞ。」

「ヘン!おじさんこそひとりで危ないんじゃない?」

「ライト兄ちゃん!こいつ仮面沢山持ってるぜ!おじさん、それ寄越せよ!痛い目見たくないだろ!」

「(おじさん?なんか腹立ったな。緑色のやつは盾、オレンジ色の奴は剣を持ってる。兄弟らしいな、2人で行動しているところから察するに、守備役と攻撃役を分けているタイプか。さすがガキだ、わかってねぇな。しょうがない、ちょいと遊んでやるか。)おいガキども、腕に自信があるならゲームをしようか。訳あって俺はプレイヤーとして登録されてない。仮にお前らが俺を倒せてもスコアは増えんだろう。だから、俺に一撃を与える度に仮面を1枚くれてやる。仮面は7枚、流石の俺もそれだけ攻撃を受ければぶっ倒れる。どうだ?」

兄弟は一瞬顔を合わせて武器を構える。

「「後悔すんなよおっさん!!」」

シドは特別武器を持たず軽く身構えた。

「(本来ならこれくらいのガキでも容赦ない事で有名な俺様だが、TGFならそれは許さんだろうな。なら、ぶちのめす以外の戦いも練習しておいた方が良さそうだ。次に鉞と戦う時に役立つかも知れんからな。今でも手加減出来ますように。)」

レベル2の仮面の少年は早速盾を持ってシドに突っ込む。

「(緑が前、その後ろをオレンジが走ってくる!なら、最善の行動はこれだ!)」

レベル2の仮面の少年は盾を何度も前に出し攻撃しようとするが、シドは半歩ずつ後ろに下がり回避する。

「た、盾の突きが当たらない!」

シドは思い切りしゃがみレベル2の仮面の少年を足で転ばせる。レベル3の仮面の少年は驚き後ろに下がった。

「ば、馬鹿!レイト!早く立て!」

「(やっぱりなぁ。緑が守りながらの攻撃をして、オレンジが緑の肩を踏み台にガラ空きの頭上を叩くつもりだったか。たしかに、役割分担はよく出来てるし、戦い慣れているのもわかる。だが、所詮は素人。マサムネやサカグチに比べたら大したことはないな。何より、野良プレイヤーを相手してるとわかる。いかにTGFの連中や相棒が仮面使いとの戦いに慣れているか。)」

そう考えながら、シドは2人の猛攻をかわしていく。

「どうした、ライト君にレイト君!おじさんそんなんじゃお菓子もあげられないな!あ?」

兄弟はいきなり後ろに下がる。シドは少し警戒する。

「(なんだ?逃げる訳じゃ無さそうだな。)」

「おじさんプレイヤーじゃないんだよね。」

「なら僕たちの事も能力も知らないよね。」

「俺たちはドラゴン兄弟。強敵が相手ならこいつで勝負だ!」

兄弟が並んで手を繋ぐと、体はひとつになり盾と剣を持ち、鎧を身に纏う竜戦士が誕生した。仮面のレベルは5。色は茶色と黒を基調としたカラーリング、おまけに体も成人と同じ程に成長した。

「何!?仮面は合体も出来るのか!!いや、あの仮面が特殊なものなのか!」

竜戦士はまるで2名の声が合わさったかの様な声質になる。

「「おじさん、もう俺たちには素手じゃ勝てないよ。なぜなら、こんな事も出来るからさ!」」

竜戦士は口から火を吹きシドを焼き払おうとする。

「(ちっ!流石にきついか!)」

シドは魔法の力で岩のハンマーを作り身構える。

「クソガキが!原理は知らんがかなりのパワーだ!お前らがその気ならこっちも本気でいくぞオラァ!」

シドは岩のハンマーを何発か竜戦士に当てようとするが、盾に阻まれ逆に斬りつけられそうになる。

「(そこそこ強めにやったんだがな、、、!合体したからパワーと技術も2倍という訳か!なら!)」

シドは岩のハンマーを魔法の力で砂状にし竜戦士にそれを吹き付けた。竜戦士は目に砂が入りたじろぐ。

「「わ!卑怯だぞ!」」

「じゃかしい!合体の方がチートだろうが!秘技、跳び膝蹴り!」

シドは単純な膝蹴りで竜戦士の腹を攻撃し、竜騎士は倒れる。

「こういう時、仮面って便利だなぁ。強化魔法なしでこの威力、、、。あん?」

竜騎士は立ち上がり武器を構える。

「ちっ、あんまり効いてないか。鉞に比べてパワーは低いが、竜の鱗がある分ディフェンスに長けてるってわけか。」

「「許さないぞお前!こうなったらさらに本気で、、、!」」

その瞬間、2人の合体は解けて呆然としてしまう。

「兄ちゃん!合体解除されちゃったよ!」

「なんでだ!?まだ時間制限はあったのに!」

「なんだ制限付きかよ。どうやら膝蹴りのダメージが別に働いた様だな。」

シドは仮面を外し看板を手に取る。看板にはTGFメンバー募集の文字が書かれていた。シドは2人に近づき飴玉を手渡す。

「いいかガキども。俺は正直、お前らの年頃のやつとは戦いたくないんだ。(あくまでTGFとしてだが。普段ならボッコボコだぜ。)てことでよ、お前らもTGFに協力する気はないか?見たところお前らは純粋なプレイヤー、悪さをするタイプの奴らじゃないのはわかった。だが、こんな不毛なゲームは誰かが傷つくだけだ、俺たちの手で早く終わらせようじゃないか?まぁお前らがTGFメンバーになれるかはフレイちゃんの判断だけどな。どうだ、メンバーになれば美味しい賄い付きだぞ。唐揚げなんてどうだ?」

「え、唐揚げ!?僕大好き!」

レイトが目を輝かせるとライトは肘でレイトを小突き、飴玉をもらい2人で食べる。

「(所詮ガキだな。とりあえずこいつらを懐柔すればゲーム的には上位ランキングプレイヤーを独占状態出来るからな。ピアニスト、夜の皇帝、炎の女神、そしてクリエイト仮面。ここにドラゴン兄弟が加わればTGFはゲーム界の最強勢力として一種の抑止力になる。そうなれば運営も黙っちゃいないから来たところを全力で潰す!相棒、お前の為の作戦なんだぜこの看板は!)」

すると2人は仮面を外し、ライトは少し潤んだ目で訴えてくる。

「おじさんごめんなさい。俺たち貧乏だからお金がほしくてゲームしてたんだ。でもご飯食べさせてくれるならいいよ。これ、仲間の印にあげるよ。」

「お、わかってくれたか!よしよし、何をくれるんだ?」

ライトがシドに手渡したものは、閃光弾でした。

「おわ!マジかよ!」

シドは眩い光に包まれ、兄弟に逃げられてしまった。

「クソ!あのガキどもぉ!大人をなめやがってぇ!次にあったら眉毛全部剃り落としてやるぅ!とりあえず、今日はこの辺で撤退だな。仮面は、、、。」

シドは先程仮面を置いていたベンチ付近を探すが、仮面は見当たりませんでした。

「怒りで鼻血が出そうだ、、、。あのガキども、仮面まで、、、。まつ毛も一本一本全て抜き取ってやろうかぁ、、、。」

シドの怒りをなだめるものはそこになく、ただ夜の街が照らすのみであった。


ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第五十一話〜

第五十二話に続く


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お洒落とファンタジーを創造するクリエイターとして活動中👑普段はSUZURIで商品を販売していますが、noteでは短編小説やコラムを書いております! SUZURI→https://suzuri.jp/zikomanking