ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第二十九話〜

ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第二十九話〜

ルードロンとの激闘の後、ジコマンキングはゲーム主催トップであるウイルドと荒武者であるマサムネと出会いゲームを止める為戦うが敢えなく撃破される。その後ゲームにてランキング制度が確立し、ジコマンキングもクリエイト仮面の名で10位にランクイン。このランキング制度が悲劇の始まりであった。


食い過ぎた。あの後ランキング入りを祝してパーティをしたが、まさかパトロールに駆り出されるとは。私とロッフは夜、街の交差点周囲を仮面をつけて見回りしていた。

「こんなど真ん中でもパトロールか。プレイヤーって奴はここでも戦闘するものなのか?」

ロッフは分析の仮面をつけて周囲を見回していた。

「大事な事ですよ。むしろこういった場所で戦闘になれば大惨事ですよ。」

「しかし、本当に人がいないんだな。」

「この時間帯は、ゲームが始まる前は賑やかでしたよ。でも、夜活動するプレイヤーが多い為出歩く人は次々消えて、店も開かなくなってるのが現状です。皆んな怖いんですよ、得体の知れない化け物がうろついてるようなものですから。参加者もジコキンさんの様に途中参加もあり得るとなると、以前よりもプレイヤーが増えているかもしれません。」

「終わりが見えないな。ん?」

私とロッフはドシンドシンという早い足音に気づく。振り向くとそこにはクマの様な姿をしたプレイヤーがヨダレを垂らしながらこちらに向かってくる。我々は電撃銃を使いクマ仮面を追い払おうとしたが、これだけでは撃破出来ないのは明確だった。クマ仮面のレベルは4、目は赤く光、爪は鋭利で仮面を付けていなければ腕などすぐに切り落とされてもおかしくないだろう。しかしなんだ、こいつ、どこかで見たことがある気がする。

「グルルララ!お前、クリエイト仮面だな?知ってるぜ、ランキング10位らしいな!俺様は森殺しのクマ様だ!」

「森殺し!?ランキング32位のプレイヤーです!ランキングに入る前から多くのプレイヤーを無惨に薙ぎ倒す事で有名だったはずです!」

森殺しのクマか、変な名前だがこの図体と筋肉を見ればわかる、戦いなれてるプレイヤーだ。その証拠に、こちらの手元を随時確認し立ちはだかっている。まるで今にでも餌にされんばかりだ。お前に本物のクマの様に息も荒く、呼吸する度に彼が人間であるという事を忘れてしまう。

「グルル。俺様を知っているなら話は早い。クリエイト仮面、ずっと探してたぜ、お前を倒してスコアをゲットだぁ!」

クマ仮面は大きな手で思い切りこちらを引っ掻いてくる。私とロッフは避けるが、図体の割に動きが軽やかだ。私は銃を向けたが奪われた後、突進で倒されてしまう。なんとか起き上がるが、銃は噛み砕かれていた。

「グルルララ!不味い、不味いぃ!グラァ!!」

不味い、アルベドと系統が似ている。理性を犠牲に身体能力がより強化されているのか?

「グルルララララララララ!!」

クマ仮面が私に襲い掛かろうとしたその時、クマ仮面に何かが巻きつけられた。クマ仮面は解こうとするがびくともしない。最初はロッフはの持っている蜘蛛仮面と思ったが、巻きつけられている紐のようなものは光を帯びており、ロッフの仕業ではない。そして振り向くと3人のプレイヤーがライフル銃を持って高速で移動してくる。走っているのではない。靴をよく見ると気流のようなものが出てほんの少しだけ宙に浮いている。ホバー移動なのか?ロッフは慌てて私を抱えて姿を隠す。クマ仮面は光の糸を解いたが、3人のプレイヤーはホバー移動とライフル銃を駆使してクマ仮面を翻弄する。クマ仮面が手を振りおろそうとした瞬間、3人のうちの1人が爪を撃ちクマ仮面がもがき苦しんでいた。すかさずもう2人が電撃を帯びた警棒のようなものでクマ仮面を殴り、そのままその巨体は地面に倒れる。私とロッフは陰からそれを見る。彼らの見た目はジャンパーやパーカーなど、普通の格好だ。3人とも男で、仮面のレベルは全員レベル2。

「何なんだあいら?」

「ランキングに入っている奴らでは無さそうですが、かなりの連携力。見た感じ犯罪を行なっている様子は無さそうなので、あちらから手を出して来ない限りは、、、。」 

私とロッフの足下に何か転がった。手榴弾だ。私たちは急いで外に出て攻撃を回避したが、次の瞬間銃撃が我々を襲う。ロッフはそのまま銃弾に当たり倒れた。私も何発か食らったが雷の仮面の力で助かった。私は煙玉を投げつけロッフを抱えて退避する。ロッフはもうダメだ、息しか出来ていない。私は物陰にロッフを寝かせ、単身プレイヤー達の前にでる。

「待ってくれ!話をしよう!私はクリエイト仮面だ!」

私は両手を上げながら彼らの前に出る。すると2人に銃を向けられるが、もう1人がそれをやめさせる。

「ほぉ、プレイヤーにしては珍しいな。まさか降参してくる奴がいるとは。」

「TGFの名を聞いた事はあるだろう!我々がそうだ。私たちの目的は仮面を悪用し街の平和を害すするプレイヤーを倒すことにある。だが、君たちは純粋にゲームの参加者として戦ってるとみた。そこで提案だ、今回攻撃された事はもう咎めはしないし、TGFが君らと戦う理由もない!味方が重症なんだ、もう争いはやめよう!」

「なるほど、停戦協定か。大人しく引き下がるのも悪くない、なんせランキング10位のあのクリエイト仮面様がわざわざ両手を上げているんだからな。」

「わかってくれたの、、、!」

私はその瞬間、ライフルで撃たれてダメージを負った。

「その手には乗らん。」

ダメか、ならばしょうがない。こっちだって本気で戦ってやる。

「わからずやー!!」 

私は手榴弾を投げつけすぐ様逃げる。3人のプレイヤーは焦るが、爆発はしない。私がデザインの力で作ったダミーだ。バレた瞬間すぐに追って来るはずだ。私はデザインの力を使い壁を作りそこに隠れた。


3人のプレイヤーはクリエイト仮面に投げつけられた手榴弾に驚くが爆発しない。おまけに壁まで用意して待ち構えられてしまった。

「アルファ!あいつ壁なんか作りやがったぜ!」

「厄介だな!さっきのクマ野郎よりは頭が良さそうだ!」

「ベータ、ガンマ、ひとまず落ち着け。あいつの動き、どう見ても変だ。」

「変?たしかに銃もあまり効かないし壁だって作るし、、、!」

「能力だけに惑わされるな。さっきの降参の申し出、俺は最初罠だと思っていた。ランキング10位だから敵の前に出ても大丈夫という確信があったのではないかと。だが、結局俺の銃撃を避けるどころかまともにくらい、手榴弾のダミーを使い逃げた。おまけに、壁まで用意してこちらを迎え撃つ作戦、どう見ても変だろう。クマの時は最後まで抵抗されたのに、向こうはその逆、逃げる事に重きをおいた。能力は物を生み出す、電撃銃への耐性、ランキングに載っていた情報通りだ。にも関わらずこの戦い方、、、。」

「すると、何だよ?」

「あいつは、おそらく強くない。降参も、どうやら本当に申し出て来たようだな。手榴弾のダミーを使うということは、武装もおそらく近接武器しか持っていない。壁に隠れたのは、単に逃げれないと判断した為だ。つまり、ランキングに入ったのは奴にとってアクシデントだ。」

「そうだったのか!アンペインや詐欺師を倒したという噂はデマだったのか!なら壁の横まで接近して挟み撃ちにしようぜ!」

「焦るなベータ。2大勢力との戦いで、奴は手から光線を放てると聞いた。電撃銃から得た電気を糧にしてるんだろう。さっきダメージが少なかったこともこれで理解できる。迂闊に近づいたら黒焦げだろうな。見たところ、奴には仲間がいる。援軍が来た時の事を見越して、無傷で奴を倒したい。アクシデントとはいえ、10位に変わりはない。」


私は壁の裏で、デザインの力を使い自身を模した人形を何体か配置し準備していた。これならどこから来ても敵を撹乱しつつ攻撃できる。壁の上から来ても空中に攻撃し撃破できるし、壁以外の場所から攻め込まれても人形を盾に攻撃できる。敵は3人、フルパワーモードは最後までとっておきたい。通常のカウンターで放てる光線はどうあがいても2発が限界。この戦法で最低でも1人倒して、残りをフルパワーモードで叩く。さぁどこからでも来い。


ジコマンキングは旅の商人である。しかし旅の道中、様々な事件に巻き込まれる事が多くデザインの力を使い脅威を退けてきた。今回も凌げる。そう考えた矢先に来た敵による第一の攻撃は壁の上からだった。ジコマンキングはすかさず光線を放ったが、異変に気づいたのは光線が何かに当たってすぐ。光線で攻撃したのは先程の敵達ではない、気絶した森殺しのクマであった。そう、敵は気絶したクマを壁の上に投げ囮に使ったのだ。ずしんとクマが落ちてきたその瞬間、同じように2人の敵が壁の上からジャンプしてくる。一撃で仕留めたいと考えていたジコマンキングは揺らぐ、どちらを倒すべきか。そして気を取られたその刹那、もう1人が側面から銃を構えている。それに気づいたジコマンキング、後ろに下がり側面の敵に狙いを定める。だが、この構図は敵に囲まれているのと同じ事である。おまけに、人形の陰に隠れて戦っているはずなのに、敵は的確にジコマンキングを撃ち抜いた。最後は、アルファが警棒で思い切り彼を殴りつける。仕掛けられた人形には一切触れずに接近し、ジコマンキングの戦法をことごとく突破した。クマでの囮、光線の制限を見越した上での頭上に2人と側面から1人による突撃、そして配置された人形をかき分け本体を迅速に撃破。この3人は、ゲームを知り尽くしている。


痛い。鼻から、血が出てるのか?温かい、そして気持ち悪い。仮面は、壊されてない、、、。倒れてるのか、早く、起き上がらないと。

「諦めろ、お前に勝ちはない。」

そう言うと敵は私の腕輪を足で踏みつけ破壊した。当然、腕輪をつけていた左腕も足で折にかかってくる。

「ぐああ!」

「物を生み出せるといっても所詮子供騙しだったか。お前が名のあるプレイヤーを倒したという話はどうやら嘘だったようだな。どちらでもいいか。どうした?もう一度命乞いでもしてみればいいじゃないか?へへへ。」

そういうと敵のリーダー格の男はタバコをふかし始める。

「ちなみに、俺たちの仮面の能力は仮面をつけているプレイヤーの位置を広範囲にわたって把握出来ること。プレイヤーのダミーは、俺たちに通用しないのさ。地味だが、俺たち3人の戦法には欠かせない代物だ。あばよクリエイト仮面、次会う時は裸踊りで見逃してやるぜ。」

負けてしまったのか、悔しいもんだな。いや、こう思うということは、私もすっかりプレイヤーなのか。相手はTGFが追うターゲットじゃないのに。こんな姿、友人が見たらなんて言うのだろうか。

「随分ボロボロだな相棒。運動にしちゃ激しすぎないか?」

不思議だな、声が聞こえる。声、いや、いる。倒れてる私の横に、黒いローブを纏った男がいる。さっきの3人もそれに気づいた。

「ああ?なんだお前?仮面はつけてないようだが、、、。」

「仮面?泣きべそを隠すためのか?お前らに必要でも、俺にはいらん。うちの相棒をこうしたのは、お前らか?」

私は、この声の主を知っている。身長190センチ以上、大柄でほんの少し顎髭をはやし、丸刈りに近い短髪の魔法使い。親愛なる我が親友シドである。

「返答によっては、そのタバコが人生で最後の1本になるかもだぜ。」


ジコマンキング英雄伝〜仮面武踏会:第二十九話〜

第三十話に続く。



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