私がスピったきっかけの話

私という人間の話を少しだけ。

真面目、しっかりしている、言葉遣いが丁寧、やさしい、おおらか、何だか個性的。

人から言われる私の印象です。

そんな私がたまたま読んだ本から、スピを実践するに至るわけですが、また、その本を手に取るきっかけもありました。

社会人半年での休職

休職した当時の私は23歳。新卒で銀行の窓口になって半年たった頃でした。

原因はありきたりな、人間関係。

先輩は能面みたいに無表情な人で、一度教えたら二度と教えないスタイル。分からないことを聞いても「前言ったよね」以上。
後ろの席のパートさんは冷房を自分好みにコントロール。暑くて、周りが汗だくになっても怒って切る。そんな人に「周りを見て仕事してください」という謎の手紙を机に置かれる。
田舎の支店のため、お客様は方言がきつくて、脅すような話し方(に聞こえる)をする方が大多数。気に入らないと、躊躇いなく怒鳴る。

仕事を聞いても教えてもらえず、結果お客様を待たせて怒鳴られる負のループ。先輩に「なにも聞かないで勝手にやるからこうなるのよ!」と呼びだされ「??」となり、翌日に聞いたら「前言った」以上。

その翌日、出勤できなくなり、3ヶ月休職することになりました。

休職しているとき、毎日が不安でした。

人間関係がうまくやれないこと、仕事の覚えが悪いこと。自分なりにがんばったけど無理だった絶望感。先輩への怒り。情けなさ。どうしたらよかったのかも分からない。

何より、社会に適応できない自分への悲しさ。

休職1ヶ月目は何もできず、部屋にこもっていました。

2ヶ月目くらいに、県外の叔母の家に泊まりに行った時のこと。読書好きの叔母には、お気に入りの本屋があり一緒に行くことになりました。

そこは個人でやっている、落ち着いた雰囲気の小さな本屋でした。その頃の私は熱心に読書もしていなかったので、なんの気無しに本を眺めるばかり。

気晴らしに違う土地にいても、自分は自分。

暗い気持ちは常に付きまとい、波のように上下して感情を揺さぶります。とにかく不安定で、ずっと気持ちが曇ったまま。明るい感情は全くありませんでした。

あたらしい自分になる本

そこで、ふと目に入ったのは「あたらしい自分になる本」という本でした。

大型書店では見たことない感じの、不思議な書体と色のパッケージ。「SELF CLEANING BOOK」って大きく書いてある。謎すぎる。

なんとなく手に取りました。

はじめに、著者が最近までボロボロの状態だったことが書いてありました。

からだもよくなければ、こころの状態も決してよくなかった。なにかあればすぐに泣き、ささいなことでもよく怒り、人や社会に対して、不平不満がいつだってあったの。いつもなにかを心配して、将来のことも不安だった。リスク回避型で、考えるのは保身のことばかり。プライドだけはいっちょまえに高いくせに、自分に自信がなくて、誰かに頼ることばかり考えてた。      2011年 アスペクト                服部みれい「あたらしい自分になる本」p5より引用

私がいる、と思いました。

学校で友達の輪に入れない自分にコンプレックスを感じたり、だからといってみんなと同じは嫌だと思っていたり…。なにかをこじらせているというか、素直じゃない、そんな自分を思い出しました。

その後のページには、そんな状態を脱するための知恵がたくさん書いてありました。休職中で時間があるし、試せるものは試したい。

さっきまで波のように不安定な気持ちが、凪のようにすっと静かになりました。

私はその本を買い、真剣に読むことにしました。

職場復帰

それから、この本に書いてあったことをいくつか試しました。当たり前ですが、すごく前向きになるとか、劇的な変化はありませんでした。気持ちは容赦なく沈むし、休職期間が終わりに近づくにつれ「どうしよう、どうしよう」とパニックになる。

ただ、今思うとひとつだけ、びっくりしたことがありました。

本の中にアファメーションといって「私は〇〇しています」とノートに肯定文を書くとそのとおりになる、という知恵がありました。

もともと日記をつけていて、書くことが好きな私は

仕事が始まったら、相手の話を落ち着いて聞き、リラックスして仕事をします。分からないことがあればためらわず聞き、お礼を言います。

と書きました。

そして職場復帰。人事の方から、異動が告げられました(当たり前ですが)。元の支店の支店長にお詫びをして、先輩たちに睨まれながら支店を後に。

意外と平気な自分がいました。地に足がついているというか、変に開き直ったというか。

新しい支店は街中の小さな支店でした。産休に入る先輩の代わりに配属されました。最初に先輩から「ここはお客さんも優しいから、大丈夫だよ」と言われ、すごく安心しました。

その後、なんと、たった1週間で私はすっかり元気になりました。

分からないこと聞いても無視する人はいない。怒鳴ってくるお客様もいない。教えてもらった後、自然にありがとうが言える環境。お客様からもありがとうと言われる環境。

先輩も嫌な人は1人もいなかったし、ミスしても一緒に考えてくれました。休職したヤバい後輩なのに変な目で見ることもしない。

この人たちに恩返ししたい。そんな気持ちで仕事ができました。

その一年後、個人成績が上がり、とある大会で表彰されるまでになりました。

今思えば、アファメーション、効いたのかもしれません。なんだか不思議で、おもしろいと思いました。

まとめ

以上、私がスピるきっかけのお話です。

手に取った本が人生を変えたなんて、そんな大袈裟な感覚はありません。異動後だって大変なことがいっぱいあったし、表彰された大会も出るのが嫌で嫌で仕方なかったです。

ただ、あんなに不安だったけれど職場に復帰できて、しかも楽しく働けた。この事実がすごいと思ったのです。

人間関係は自分ではコントロールできません。どこにでも嫌な人はいるもの、私はそう思っていました。でも、でもですよ。1人もいないことだってあるんだ、こんなに生き生き働けるんだ!と実感できたこの体験こそ、私のスピの始まりだったように思います。

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