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中国最大級のイノベーションエコシステム【スタートアップサラダ】を取材してきました

はじめに

中国のシリコンバレーと呼ばれ、多くのイノベーションを生み出してきた深セン。
テンセントやHUAWEIなどの大企業が本社や研究機関を構えておりますが、イノベーションや社会改革は目指す場づくりというのは、様々なコミュニティが重なり合うことによって誕生しています。

今回は深圳発で、イノベーションが生まれるコミュニテイづくりを中国国外でも展開しているスタートアップコミュニテイ、【スタートアップサラダ‐STARTUP SALAD】をご紹介いたします。
中国語では、【创业沙拉-創業沙拉】と書きます。

吉川:今回はスタートアップサラダで、日本市場を担当されている加藤さんと、対談形式でお話をお伺いさせていただきます。
加藤さん、よろしくお願いいたします。

加藤勇樹さん
スタートアップサラダ‐STARTUP SALAD 日本市場担当
FIND ASIA所属
2015年より中国華南地区のコンサルタント企業に入社し、中国広東省で勤務を開始。
2017年より広州・深セン・香港でコンサルタントサービスを拡大しつつ大湾区の企業や人材を、日本と結びつける為に、创业沙拉-創業沙拉に参画。

加:よろしくお願いいたします、吉川さん。
今回はご機会をいただきありがとうございます。

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スタートアップサラダとは?

吉川:早速ですが簡単にサラダさんについてご説明をお願いいたします。

加藤:はい、サラダですが深圳発のイノベーションアクセラレータコミュニテイです。
スタートアップサラダはコミュニテイ名であり、運営の会社名は【立即行动科技】といいます。
人材‐企業‐メンターを結び付けることで起業家の育成、企業内のイノベーション促進を通し、イノベーションのエコシステムを目標としています。

野菜が個々の味を保ちつつサラダという料理を生み出すのと同じように、個人の強みを生かしたコミュニテイづくりということから、命名されました。

吉川:なるほど、活動内容についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

加藤:はい、活動としてはまず52時間のHackathonイベントがあります。Hackathonイベントでは通常200名の方が参加し、金土日の3日間でチームビルデイングから最優秀ビジネスアイデアの選抜を行います。

今までフィンテックやハードウェア開発、5Gネットワークなど、様々なテーマに基づいてイベントを行ってきました。
活動時の動画をよろしければ御覧ください。

吉川:どのような方がHackathonイベントに参加されるのですか?

加藤:すでに起業されている起業家、大学生、企業に所属している社員などあらゆる層が参加します。
またイベント進行中には、テンセントグループや、中国建設銀行のマーケテイング部長やCTOなどが参加し、52時間のイベント中にメンターとして助言や提言をくださります。

また私を含めて外国人の参加者もおり、中国語‐英語両方でHackathonイベントが進行するので、コミュニケーション力も強化できますよ。

図3


企業と起業家のカケハシとして

吉川:なるほど、イベントを通してコミュニテイの結束と、ビジネスパートナーを見つけることが出来そうですね。
コミュニテイ参加者は、その後どのような経験を積めるのですか?

加藤: Hackathonイベントはスタートアップサラダコミュニテイ、中国イノベーションへの入り口にすぎません。
【イノベーションマラソン大会‐创新马拉松大赛】でチャイナドリームをつかみ機会に、ご紹介させていただきます。

吉川:なるほど、 Hackathonイベントが予選、イノベーション大会が本選なのですね。
本選と予選はどのように違うのですか?

加藤:本選では、サラダコミュニテイに参加していらっしゃる企業がスポンサーになっており、各企業の課題解決やイノベーション事業の育成のためのイベントとなっております。

吉川:何社か具体例をご紹介いただけないでしょうか?

加藤:はい、サラダは中国最大手の銀行グループ中国建設銀行様とパートナーシップを結ばせていただいております。
建設銀行様では社内でフィンテックを用いた新規事業の創設が難航しており、サラダコミュニテイに所属する300名の起業家と建設銀行で3日間にわたるイノベーションマラソン大会を開催いたしました。

最終的に9つのビジネスアイデアと新規事業が採用され、現在中国建設銀行様と起業家の方がジョイントベンチャーとして事業を進めております。
いわば、企業のイノベーション力強化のためのイベントです。

*中国建設銀行は中国4大銀行の1つで、他は中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行があります。

図4

吉川: なるほど、イノベーションマラソン大会ではほかの目的もあるのですか?

加藤:はい、中国国内で外資系企業の中国進出をお手伝いする目的もあります。
丸紅様とのパートナーシップイベントがこれにあたります。
丸紅様の中国におけるEC部門の課題解決のために、サラダコミュニテイに所属するWEBマーケテイングやデータアナリストを招いて、イノベーションマラソン大会を主催しました。

建設銀行様と同じく、ビジネスアイデアが採用され、丸紅様と起業家チームで現在事業が継続しております。

吉川:日本企業もサラダコミュニテイに参加されているのですね。

図5

チャイナドリームを共につかむ

加藤:はい、ほかにもマレーシア企業や、ドイツのシュナイダー様ともパートナーシップを結んでおります。
また事業化という点では、ほかの例もございます。
脸萌‐Faceuという名前を聞いたことはございますか?

吉川:はい、Tik Tokなどで採用されている動画編集機能の開発元ですよね。

加藤: FaceuはサラダのHackathonイベントで出会った起業家が立ち上げたプロジェクトで、サラダはプロジェクトチームの支援を行ってまいりました。
最終的に3億米ドルでTik Tokと統合されることになりました。

Hackathon各企業のメンターに見いだされたビジネスアイデアがそのまま出資に結びつくということもよくありますし、合計2500のビジネスプロジェクトが現在も稼働中です。

吉川:サラダ単体でも、ベンチャービジネスの支援をしているのですね。
サラダコミュニテイに参加している企業や、起業家はどのくらいの規模になるのですか?

図6

広がり続けるコミュニテイ

加藤:30万人の方が、オフライン‐オンライン問わず参加しております。
日本の起業家‐Hackathonコミュニテイ参加人数は平均して3000人ですので、規模感がよくわかると思います。

またStartup-grind, simple work、アリババグループさんをはじめとするスポンサーや協力企業数は350社です。
昨年度のイベント開催数は40回を超えています。
深圳だけではなく、広州や北京,上海,香港,さらにはシンガポールやカナダ、アメリカでも活動をしています。

図7

吉川:それだけイベントが大きくなると運営も大変でしょう。どうやって管理しているのですか?

加藤:各地のオーガーナイザーと協力しております。
私は日本市場担当ということで広報やPRを日本市場向けに担当していますが、サラダのオーガナイザーとしての活動です。
私自身はFIND ASIAという会社で中国広東省を中心にコンサルをしています。
サラダの組織としてはパラレルワークとしての活動が認められています。

吉川:今後のサラダとしての目標はどうなっていきますか?

加藤:中国国内はもとより、世界でイノベーションコミュニテイを広げていくことです。
日本とのビジネスパートナーシップも徐々に増えてきましたが、日本の起業家や夢を持った方の参加はまだまだ少数です。

日本以外でも起業家の方がアイデアをもって資金調達できる場所があるということをお伝えするとともに、企業のイノベーション強化を中国深圳発でお手伝いできるように邁進していきます!

吉川:加藤さんとしてはどのような形で、今後頑張っていかれますか?

図8

(日中のイノベーション交流時の写真、写真左端前列が加藤さん)

加藤:18年‐20年の間、中国イノベーションをご紹介する活動をさせていただきました。
まだまだ広州市や香港のイノベーションや、大湾区の可能性をお伝えできていないので、日本の皆様へ注目度を上げていきたいです!
現在オンラインイベントも開催しておりますので、ぜひとも下記のリンクからご参加を!

図9

https://salad.co/event/detail/452
また日本語資料やご紹介の際は、私へご連絡ください!

吉川:お話しありがとうございました!

終わりに

深センでのイノベーションをいかに有効活用していくか、日本のイノベーションや日本企業にとって一つの課題といえるでしょう。
その中で、イノベーションを実現化する、中国の起業家とコミュニテイを共有するという点でスタートアップサラダは成功例を紹介してくれています。

深センや中国イノベーションをお考えの皆さんはぜひともスタートアップサラダにご注目ください。
加藤さんが全力でサポートをしてくださいます。

メールアドレス:kato@findasia.com.hk
WECHAT ID: Yukikatou888
Facebook: https://www.facebook.com/profile.php?id=100004295732853
サラダホームページ:https://salad.co/

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