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氷山の一角にはどれくらい支払えるだろうか。

フリーで仕事をしたい。いつの日からかそう思うようになっていた。根底の思いは前回の記事通りなんだけれども、具体的にどうしたらいいのかぼんやりしていた。

そこで片っ端からWEBデザインやフリーライター関連のホームページを見つけては無料カウンセリングや体験講座を受けてみることにした。率直な感想として、脱毛エステと一緒だな。というものだった。

大学3年のとき、少しお金もたまって友人に紹介された脱毛エステに体験に行った。もともとほとんど毛が生えていないといわれているが、自分の中では気になっていたし、年ごろの女の子はそりゃあ気にしないほうが難しい。結論として私はここで50万円の負債を負った。語弊があると困るが、借金をしている相手は親であり消費者金融や銀行といった公的機関には世話になっていない。無利子の優良銀行「ママ銀行」にはそろそろ全額返済したいと思う。

友達に誘われ、体験をして、長々と話しをされ、今じゃないとめちゃくちゃ高いみたいな感じで囲われて、サイン。マルチ商法、エステとかそういうのにはあるあるだと頭ではわかっていたのにいざ自分になるとサインをしていた。その後その店とはトラブルがあり、誠意が全く見えず支払っていた料金分さえも消化せずに途中で行くのをやめた。人生で数えられる程度の最低のサービスだったことは間違いない。

そして去年、ちょうど美意識に目覚め肌の改革をしたいと思った。もともと肌がきれいと言われているもの日焼け止めを塗る習慣もないし、ファンデーションを塗る習慣もない。さらに日本より厳しい紫外線にさらされている肌をいたわらないとやばいと思った。ここでまたタイミングよく友達に「全世界展開しているブランドがあるよ」と言われ話を聞く。もうわかるでしょう、完全にマルチだった。

怪しいな~と思いつつも、確証になったのはその化粧品ブランド名。品物自体が悪いとは言わないものの、こうやって身内のネットワークを食っていくのか、、、とがっかりしたことはつい昨日の話。のらりくらりで契約はしていないし、商品も買っていない。変わらず無印良品LOVERで生活している。一時期「人当たりが悪い」「近づきにくい」と言われたからなるべくニコニコしていたらこのざまだ。ふざけないで欲しい、二度とそういう類の誘いをしようとも思えないように尖って生きていくことをここに誓う。

そしてリモートワーク、副業、女性の働き方が叫ばれる世の中になっている今。ご多分に漏れず私もその一人、会社に依存しない自分のスキルを身につけたいものの独学よりは近道そうなセミナーなどを探す。どこも人当たりはいい、値段のことは言わず特典を言って顧客を囲う。直近3つくらいの体験したオンラインセミナーはすべて同じ手法だった。

「あー、またこの手法だ。人の心に漬け込む、ムカつくやつ。」

友達伝いではないけれど、人が困っているものに対して手を差し伸べるやさしさには確実に煽り(あおり)が発生していた。困っている私たちは、一種追い込まれているからこそクリックをしてしまい、クレジットカードの番号を入力してしまうのではないか。

相場はだいたい10万円~、高いものでは50万円程度のものもある。購入するものはスキルを伝達してもらうことだから、目には見えない。たとえスキルを習得してもマネタイズできないかもしれない。しかも似たようなサイトが乱立する中で自分にあったサイトを間違える可能性もあるし、ベンチャー企業ゆえに分割払いが終わる前に会社が倒産するリスクもある。

あなたは大金を払えますか?わたしは尻込みをしてしまいました。それならば自習したほうが良いと感じたのです。

ついこの前、9in1という深めのお鍋ホットプレートを買いました、フリマでだけど。買ってから意味があるのかないのか悩んでいるものの、支払った対価は実感できます。これが形あるものを購入するということ。多少の後悔をしても気持ちを消化できるのがいいところ。サブスクリプションはじめ形ないサービスに対しての課金は後悔したときに、後戻りが出来ないほどの絶望に包まれやすい。その絶望さえ感じさせないというものがあれば、快く払うだろう。

情報の伝達サービスに関しては、見えないリソースが多くかかっていて、設定価格が必然的に高くなることは理解できる。ピカソがかつてこんなエピソードを持っていることは有名である。

女:「この紙に絵を描いてくれませんか?」
ピ:「この絵の値段は100万ドルです」
女:「この小さな絵をかくのに、あなたは”たったの30秒”しかかかっていないではありませんか」
ピ:「お嬢さん、それは違う。30年と30秒だ」

目に見えるものは氷山の一角でしかないけど、もう少しオープンでクリアにはできないだろうか。クリエイティブ職の価値基準が非常に複雑で長い積み重ねであり、判断が難しいことが分かる。しかしWEBデザインやライターのことを学びたいのに、そのWEBサイトでお金の流れなどがクリアにならないというのは非常に信頼性に欠ける。

あぁ、結局は本とにらめっこする日々になるのだろうか。自分で習得した知識のほうが記憶には残るかもしれないが、効率は悪い。情報スキルの販売がもう少しお手頃価格にならないものか、もしくはもっと明確なものにならないだろうか。
すべての人が所詮は会社の犬、そんな時代はもう終わりにしたい。

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