『ハクソー・リッジ』
原題「Hacksaw Ridge」
◆あらすじ◆
第2次世界大戦中、米国陸軍に志願した青年が、武器の使用を拒否する。子どもの頃の経験から、彼は人を殺めないという固い信念を持っていた。上司や他の兵士からの嫌がらせに遭いながらも、彼は衛生兵として丸腰で沖縄の激戦地へ赴く。
とにかく後半の戦闘シーンの凄まじさは過去に例を見ないものだった。
この作品は忠実な信仰心を背景に描いてはいるが主人公のデズモンドに感じるのは信仰心を更に超えた自分の経験から学んだ人間の尊厳と言うか信念である事。
それにしても愛国心を抱き従軍する一方、銃を持たず殺さずの信念との共存がここまでの作品の主題として凄まじいエネルギーで描かれている事に圧倒される。
上官を演じたヴィンス・ヴォーンはじめ俳優陣も良かった。
日本人としては沖縄やそこの住民、日本兵の感情に殆ど触れられていないのがとても残念だが切腹シーンだけは感情的な描写がされている。
そう言う如何にもメル・ギブソンらしいシーンが随所に見られる。
だが前半のデズモンドの信仰心を構築するシークエンスが丁寧に描かれるからこそ後半の銃を手にしない彼の頑なまでの信念に納得がいく。
その信念を目の当たりにした他兵士たちがまるで彼がキリストであるかの様に扱うシーンは非常に印象深かった。
人の心に変化を齎すものはゆるぎない信念だとこの作品の主題を見せつける。
戦闘の残酷な描写はメル・ギブソン監督なりの反戦表現なんだと思わずには居られなかった。
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