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マイルス・デイヴィスのAtoZ「D」「Dr.Jackle」

「B」と「C」はすんなり決まったのだが、「D」が難しい。ダントツの曲がない代わりに、二番目にいい曲がずらりと揃っているのだ。
例えば、初期の快演「Dig」、キャノンボール・アダレイ(as)がいい味を出す「Dancing In The Dark」、 ジョン・コルトレーン(ts)との対比が楽しめる「Dear Old Stockholm」、エレクトリック期の重要レパートリー「 Directions」 などなど。どれを選んでもおかしくない中、敢えて「Miles Davis And Milt Jackson」に収録されている「Dr.Jackle」を選びました。

マイルスのアルバムはとにかくたくさんあるので、よほどのファンでなければコンプリートできない。なので、それぞれの時代の代表作をチョイスするか、お気に入りのメンバーの頃を集中的に聴くか、どちらかである。そうすると絶対に選ばれない一枚が、このアルバムなのだ。

まずジャケットがカッコ悪い。せめてミルト・ジャクソン(vib)と肩を組んでニッコリしている写真とかなかったのか。んー、二人ともそういうキャラじゃないか。スタジオでの収録風景とかイラストでもいいから、なんとかするべきだったと思いますよ。
しかも全4曲収録で合計30分足らずしかない。短すぎる。
更に、ミルト・ジャクソンと組んだ作品には超有名な「Bags Groove」がある。そっちを買えば、似たようなこっちはまず買わない。
更に更に、これまた超有名な「Round About Midnight」の直前の作品なので、どうしてもこっちが霞んでしまう。

試しに、このアルバムをお菓子に例えてみましょう。パッケージも実物も見栄えがダサダサ。量が少ない。他に類似品があって、しかもそっちの方が有名。コレの発売直後に大人気ロングセラー商品が出ている。そんなもん、誰が買うっちゅーねん!

しかしまあ、聴いてみると案外悪くないんですよ、これが。MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)でのミルト・ジャクソンのプレイが堅苦しくてあまり好きでない方、こっちではバリバリにスウィングしてますよ〜。

という諸々を前提に、どうぞ、お聴きください。さあ!
(あと、音がモコモコとこもり気味なのも残念な点ですが、聴いているうちに慣れます。なんせ70年近く前の録音(1955年)ですから文句は言えません。)

https://www.youtube.com/watch?v=d0bPEnbXttw

ちなみにマイルスは、コレの3年後(1958年)のアルバム「Milestones」(超有名かつ人気盤)のオープニングでこの曲を再演しています。改めて聴き比べてみたんですが・・・あら〜、そっちの方が音質はいいし、テンポアップしてキレッキレ、スタイリッシュな仕上がりになってる〜。でも、これだけさんざん書いた後でこっちを選びなおすのも面倒だ。「Milestones」のバージョンはなかったことにしましょう。

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