アニポケにシゲル出るから新無印の話とかする。

来週の話なんですけど。
ポケモンのアニメにですね、12年ぶりにシゲルが登場するんですよね。

サトシの幼馴染で同じ日に旅立ち、トレーナーとして才覚を発揮するもリーグでサトシに敗れた事をキッカケに研究者としての道を歩み出したあのシゲルがですよ。だのに実力はしっかり高くて恐らく今でもサトシと互角以上の勝負が出来るであろうあのシゲルがですよ。……12年ぶりに登場するらしいんですね。嬉しい。

ちょっと前の話になると、『ベストウィッシュ(2010-12)』で共に旅したアイリスが再び登場したり、『XY(2013-16)』で戦ったコルネが登場したり、果ては2001年に登場したジョウトのジムリーダー・シジマがかつてのサトシとのバトルを覚えていたりと、現行シリーズではちょいちょいかつてのキャラクターが顔を出しています。

今のポケモンアニメ。新無印とも呼ばれてるんですが、舞台が全地方なんですよ。今までの作品のようにジム巡りの旅はしてなくて、サトシは新たな仲間ゴウと共に、クチバシティのサクラギ研究所を拠点にポケモンの生態調査員のような事をしています。それと同時にサトシはポケモンワールドチャンピオンシップスという世界大会にエントリーしていて、各地のトレーナーと勝負したりもする。その関係で、色々な地方のライバルが出しやすいんですね。

ちなみにジム巡りをしていないのは前作『サン&ムーン(2016-19)』からで、もう4年以上は地方巡りの旅はしてなかったりします。そっちの方がスタンダードな子どもも多いかも。

で。昔のキャラクターが色々出るって事は、昔のファンに視線が向いてるのかな?って思っちゃう部分もありますよね。でもアニポケはそういう感じではないです。もちろんある程度のファンサービスはしてくれるんですけど、基本的に今の子どもたちに向けて、新しく関係性を描いていくところがあります。

分かりやすいのが第37話『ただいま、はじめましてアローラ!』で、この回では、ゴウにアローラナッシーをゲットしてもらうべく前作・サン&ムーンの舞台であるアローラ地方に赴き、サトシが島での仲間と再会する回、なのですが。

この回の主役はサトシと仲間たち……ではなく、他全員が知り合いの中に突っ込まれ緊張気味の今作からの仲間・ゴウ。アローラの雰囲気に慣れず戸惑う彼に、「お前はサトシの支えになれるのか?」と勝負を挑んでいくアローラの仲間・カキ。彼との対決の中でゴウが示した答えは……という具合。

サトシと仲間たちの再会はしっかり楽しく描きつつ、それだけに終始せず、ゴウという新キャラクターを軸に新たな関係を描いていく。アニポケでの旧作キャラ客演は、大体がそんな感じで行われています。

サトシがチャンピオンシップスでのバトル相手として旧作キャラと対面する回では、サトシの手持ちポケモンに焦点が当たる。コルニのメガルカリオを見て気持ちを新たにするリオルや、アイリスとの対話で一皮剥けるカイリュー、といった具合に。

客演回を引っ張らず、単体で新たな描写を突っ込んでくるので、同窓会的な思い出語りとしては基本、物足りない。もっと観てたいと思ってしまう。とはいえアニポケの想定視聴者は児童で、児童に向けてそんなに過去語りしても仕方がない。そういう意味では、今のアニポケの描写バランスはとても良いと感じてます。もっと観たいけど。

そんな前提を置いて、シゲル登場回のサブタイトルは『ゴウにライバル!?ミュウへの道!』となっている。ミュウをゲットするのが夢と豪語する、比較的研究者肌のゴウ。そんな彼に対して、既に研究者として活動を始めているシゲルがライバルとして立ち塞がる……と、多分そんな感じだと思う。やはりここでも"サトシとシゲル"の関係に留まらず、ゴウとの関係性を作って新しい面を引き出そうとしているように見える。

20年以上の歴史を持つポケモンのアニメだから、視聴層もかつてより大分バラけてはいると思う。私自身もそうなんだけど、昔からポケモンが好きで見続けている視聴者とかたくさんいるから。で、そういう層の方がネット上では発言力があり(児童はSNS向かないからね)、ともすればそっちに媚びた方が評価される作品にはなるのかもしれないけど、今のアニポケはそうではない。それがなんか、とても好きです。

今のアニポケ、基本的に面白いんですよ。
ネット上だと人気が高いのがサトシやバトル描写のカッコよさに全振りした『XY&Z』なんじゃないかな、と肌で感じていて、それも分かるんだけど、腰を落ち着けてポケモンの生態や人間との関係性を描けるようになった『サン&ムーン』以降のポケモンもまた一味違って素晴らしいんですよね。私個人が一番好きなのは初期の無印なんですけど(あのなんとも言えないギャグの緩さが好き)、サンムーンや新無印がそれに次ぐ感じです。

新無印で特に好きなのは、フシギソウの生態を追いながらサトシとゴウの考え方の違いを描く第3話『フシギソウってフシギだね?』や、ポケモンゲットが主軸のゴウが、サトシのバトルを見てポケモンバトルへの考え方を変える第7話『激闘のホウエン地方!挑戦バトルフロンティア!!』。ホシガリスが大食い大会で大活躍した挙句に進化までする47話『ポケモンチャンピオン!大食い王決定戦!!』に、直近ではフラベベ族の生態から別れまでを描く66話『フラベベの白い花』あたりがお気に入り。

他にも縦軸に関わるチャンピオンシップス回や進化回なんかも色々好きなんだけど、新無印の良いところは単発回がバラエティ豊かなところ。

前述の通り、今作ではサトシとゴウはポケモンの生態調査員として研究所に協力している。なので調査という名目が付けば、基本どの地方のどの町にも飛行機で行ける。その設定を活かして、様々なポケモンの生態を描く回や、それは置いといて地元クチバシティで変な騒動に巻き込まれる回などがある。今週の回とかそれ。

今までのような旅がメインの作品だと、出てくるポケモンや関われるイベントに限りがあったようにも思うんですよね。ポケモンはその地方のポケモンに限られるし、毎回毎回出会った人や町で何か起こらないといけないし。主人公たちが能動的に動ける今の設定だと、その辺りがかなりやりやすそう。

前作『サン&ムーン』ではサトシがスクールに通っていたので、課外授業の名目で似たような事をしてました。それもそれで良かったんですが、新無印はそれを一歩進めた感じですね。

中には縦軸が弱いと感じるのか、単発回の概念を理解していないのか、その辺りで文句言う人とかもいたりするんですけど。自由度がグッと上がって"ポケモンと共に暮らす世界"の解像度がグッと上がったのがサン&ムーン以降のアニポケだと思っていて、だからこそ好きなんです。

まぁもちろん新無印にも弱いというか、ポケモンを描く上での脆弱性みたいな部分もあるんですけれども。何かというと新キャラのゴウ君、めっちゃポケモン捕まえるんですよね。彼の目標、「すべてのポケモンをゲットしてミュウにたどり着く」という大それたものなので。

大前提としてなんですけど。
"ポケモンを捕まえて図鑑を埋める"って、ポケモンという作品の一番の醍醐味みたいなとこあるじゃないですか。なんなら私はバトルより大事だと思ってるし、ゲームでは毎作図鑑完成させてるんですけど。それがアニメで観ると乱獲に見えなくもない……んですね。

これまでの作品だと、登場人物は基本旅してますから、旅する中で世話が出来る限界くらいまでしかゲットしないわけです。その分一匹一匹のエピソードをしっかり盛って、関係性作って、と丁寧に行く。ポケモンを魅力的な隣人として描くからこそ、友人として描くからこその良点です。

ただ、それだとポケモンをゲットする!という喜びや楽しみは作品に表れて来ないんじゃないかな、と思うんです。昔はもっとボンボンゲットしてなかったっけ、とも感じるんだけど、はい。

なので"全てのポケモンをゲットする!"と頑張るゴウ君の姿は、アニポケに置いては一種画期的でさえある。図鑑が埋まって新しいポケモンを手に入れるのは楽しいし爽快感もある。更に今作では研究所を拠点としているので、捕まえたポケモンのお世話もしっかり出来る。

そんな感じで、アフターケアはしっかりしてるし、捕まえられたポケモンも楽しそうに研究所で暮らしてるんだけど、やっぱこう乱獲っぽい見た目に拒否感を覚える人はいるみたいで、これはマジで仕方ないのかなぁ……と思ってます。勝手に捕まえてるのは事実だしね。

でもポケモンって捕まえるのも醍醐味じゃん??

バトル&ゲットの問題点を誤魔化す方法が所謂友情ゲットで、それをしないでボンボン捕まえてるとヤバい感じに見えるっていうの、これはマジでポケモンという作品の難しいところで、突き詰めて考えていくとプラーズマーになっちゃうので、まぁその、上手い具合に折り合いをつけて欲しい。

折り合いを付けられる人には、新無印めちゃくちゃおススメです。

久しぶりにシゲルが出る!と聞いて興味をそそられた人は、とりあえず過去回は良いので来週の回を観てみて欲しい。それでちょっとでも興味をそそられたら、過去回を……タイトルで適当に選んでも良いので……何話か観てもらえたら嬉しいなと思うんですね……

そうそう。

シゲル回なんですけど。
オーキド研究所に預けられてるサトシのポケモン、たくさん出るっぽいぞ。

あのゴウカザルもがっつり活躍するみたいだぞ。


観ような!!!!!


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