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おまえの芯はなにか?


生物は基本的に肉体によって他者と区別される気がする。
けど、何者かであろうとするなら、自分の中にしっかりと芯が無いと区別され得ない気もする。



私は螺子巻ぐるり。
小説書きで、小説を生業にするため努力する者です。


ご存じの方にとっては何の変哲もない自己紹介でしょうし、ご存じなくても特別奇妙なことは言っていない自己紹介でしょう。

でもこれ。私の書いた小説だのTwitterでの呟きだのを見知っている人間とそうでない人間では、受け取り方が違うと思うんですね。
知らない人間が「私は小説家志望ですよ」と言い始めた所で、それって多分私という人間(もしくはこのアカウント)へのイメージには直接繋がらないと思うんです。

私を知らない人間がこの自己紹介を聞いた所で、思ったことはこんな感じじゃないでしょうか。

ああ。小説家志望ね。よくいるよねSNSに。

脳内で想起されるのは、「螺子巻ぐるりという人間はこういう性質を持っているんだな」ではなく、「こういう性質を持つタイプの人間なんだな」。

もっと言うと、「小説家志望というふわっとしたイメージの群体の中に、螺子巻ぐるりという名前が埋もれた状態」なのではないでしょうか?

そういった思考の中で、私=螺子巻ぐるりという人間は、残念ながら微塵も興味が持たれていない。仮に今この文章を続けて読んでいたとしても、イメージの実態はやはり「小説家志望」という属性の方が主体となっていて、螺子巻ぐるりそのものではない。

まぁそれは、別に悲観することでもないですよね。
普通のことです。アイドルグループのメンバーの区別がつかないとか、最近人気のヒットソングが聴き分け出来ないとか、仮面ライダーの種類が分からないとか、初代マンとジャックとゾフィーの見分けがつかないとか。興味のないモノを見分けて区別することは難しいし、必要も無い事です。


けれど、それでは困る人間もいる。


そう……私、螺子巻ぐるりです。


「名前だけでも覚えて帰ってくださいねー」とか、とにかく名前を連呼して覚えてもらうCMとか、そういうのって個を区別するキッカケとして必要なことなんですよね。

私こと螺子巻ぐるり以外の小説書きの皆様がたも、似たような悩みは抱えているのではないかな、と思ったり思わなかったりします。
情報溢れかえる現代社会で、自分の表現物に目を付けてもらうにはどうしたらいいのか、という悩み。イラストやマンガなら目につきやすいけど、文章だとそうもいかないぜ……という僻み。


ぶっちゃけ、認知度を上げていく良い方法なんてものは、この螺子巻ぐるりには提案出来ません。出来たらやってるはずですし。

でも、もし。
パッと情報の海の中で我々の事を誰かが見つけた時、『誰かの群れ』ではなく『単一個人』として判断されやすい方法が、一つ……あります。


ジャンルを絞ることです。

その人間が何をやっているのか?
それがパッと見て理解出来て、かつ見た人間が興味を持っているジャンルであれば、認知時の個体識別度は上がっていくのではないかな、と思うのです。

……けれど、それは具体的であればあるほど良いのでしょう。
小説書きを名乗るなら、おそらくは『特徴的な何かの要素』が必要になって来る。文体だったり、世界観だったり……具体的な小説の内容だったり。
その部分がふわふわしていたら、やはり見る人間は個人の実態を掴むことが出来ず、曖昧模糊とした群体の中に我々を沈めてしまうでしょう。


と、ここまで思っておきながら……
私こと螺子巻ぐるりの書く小説は、方向性がバラバラだったりします。

このマガジンに収められているのはまだ四つの短編のみですが、それだけでも若干ジャンルがバラけていますし、カクヨムでは児童向けの小説を載せたりもしています。おお、分からねぇ。一体それでどうしてさっきのような事が言えたのだ、螺子巻ぐるりよ。


そこの所が、実は螺子巻ぐるりの悩みであったのです。
自分の芯が自分でも掴めない。創作的文章の作成は大好きだが、ジャンルへのこだわり意識がもう一つ薄い。特化力が無い。とっかかりが無い。

悩みつつ、児童向けの小説賞には毎年出したりしているのですが、今の所成果も無く、またネット上での活動においてはそのジャンルはあまり有効ではない。いよいよもって何をすべきか分からない。


と、まぁ。似たような悩みを抱く方もそれなりにはいらっしゃるのではないでしょうか。残念ながら、上記のマガジンや最近の螺子巻ぐるりの投稿を見れば分かる通り、実際の所この問題は解決していません。


する気も、ありません。


芯が曖昧であるならば、高速回転によって真空を生み出せば良いのだ。
一つジャンルに力を注げない性質なら、思うがままにやり続ければ良いのだ。とりあえずはその果てに、螺子巻ぐるりという個体の特性や活かすべき何かも見えてくるであろう。回せ回せ!


同じような考え方を、誰かに勧めるつもりはありません。
ジャンルは絞れ、具体的にやれ。そっちの方が絶対に良い。
だが螺子巻ぐるりはそうはいかぬ。矢鱈に回転し文章を吐き出させまくることにする。時には貴方の好きな周辺を通りがかることもあるだろう。そんな時にはちょっと注意を向けて見て欲しい。過ぎ去っていくように見えても、いずれ彼は……螺子巻ぐるりは戻って来るのだから……


そうして私こと螺子巻ぐるりは、深みを目指す事にした。

話はここでおしまいです。


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