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令和の天才〜コンポーザーAyaseとは

はじめに

 筆者は、80年代に「レベッカ」、90年代に「globe」を好んでいたが、2000年代からは台湾のC-POPや「9Muses」や「T-ara」のK-POPに傾倒していた。
 C-POPは仕事の付き合いで、夜の街で接待で歌うために中国語の歌を覚えるために聴き始め、K-POPはAKBなどのような口パクではなく、本気で歌う一部のK-POPアーティストへの共感から聴いていた。台湾の夜の街の話やC-POPについては過去の記事を参照してほしい。
 コロナ禍でYOASOBIのコンポーザーAyaseが作るボカロ曲や「夜に駆ける」に出会い、衝撃を受けて再びJ-POPに戻り、現在は世界もJ-POPを認識するようになった。
 今回は主にYOASOBIのAyaseのYOASOBI以外の曲を紹介したい。

Ayaseについて

 Ayaseについては色々なところで経歴は今更という感じだが、簡単に紹介すると、山口県出身の30歳、幼少からピアノを習い、コンクール出場経験もある腕前で、高校中退してバンド活動していたが体調問題で断念、その後ボカロPとしてヒット曲を出したのがYOASOBIのコンポーザー就任のきっかけで今に至る。
 意外にもドラムも叩けるようでなかなかの腕前である。

Ayaseの音楽作り

 筆者は、Ayaseを「令和の小室哲哉」と考えている。小室哲哉は90年代に「小室進行」と呼ばれるコード進行でJ-POPを席巻し、筆者もglobeやTRFを愛聴していた。Ayaseは「王道進行」と「丸サ進行」を組み合わせた「Ayase進行」を確立し、ほとんどの曲がこの進行に基づいている。彼の音楽は、安定感と緊張感を同時に表現し、都会的なジャズやクラシック、ラテンの要素を巧みに取り入れ、曲中で自在にテンポやリズム、キーを変化させ、さらに独特な終止法「Ayase終止」で従来の音楽の枠を超えている。

下の動画は、曲調が違ってもYOASOBIっぽいのはAyase進行が使われていることによる事がよくわかる。

 J-POP年代ごとにどんなコード進行をしているのか調べてみた。
Ayase進行はAyaseがオリジナルではなく、2019年にボカロPや夜系と呼ばれているヨルシカ、ずとまよで使われ始めていた。この後、AyaseはボカロPとして活動始めて取り入れたものと考える。Ayaseの曲はほとんどAyase進行であるが、一部それに加えてカノン進行と言うクラシカルな手法も取り入れた曲もある。常識にとらわれず色んなテクニックを取り入れる姿勢が支持につながっていると考える。

コード進行とJ-POP代表曲の推移

 Ayaseの楽曲でよく使われる転調は中国でも有名で、転調があると「祖传升调」(伝統の転調;伝家の宝刀)とコメントがつけられる。ちなみにコメントの「kksk」とは「ここ好き」を表している。

中国のニコニコ動画ことBilibiliで配信されているアイドルのライブ映像

Ayaseのボカロ曲

 YOASOBIは「小説を音楽にするユニット」で歌詞の元になる原作小説があるが、それ以外の曲は、YOASOBIとは違うAyaseが感じているその時のストレートな情感が歌詞に込められている。

 「幽霊東京」の歌詞は、東京での孤独感や自己の存在に対する不安を描いており、輝く東京の中で自分が透明で幽霊のような存在に感じられる様子や、理想と現実のギャップに悩む姿が表現されている。また、「失うことに慣れた中で忘れた願い」を思い出す場面では、過去の夢や希望が再び浮かび上がる瞬間が描かれ、内面の孤独と希望が交錯する様子が強調されている。この曲はセルフカバーの他、たくさんの人が歌ってみたをYoutubeにアップしている。ここでは、くろくも☁️がカバーしたものをピックアップする。

 「ラストリゾート」は、絶望と諦めをテーマにした楽曲で、「死」を背景に、逃げ場のない世界での孤独感や絶望的な状況が描かれており、歌詞には、助けが届かない中での逃避行や、全てを諦めてしまう心情が表現されている。Ayaseはこの曲を通じて、自身が感じた絶望と後悔を反映し、そこから抜け出そうとする意図を示している。ここでは神田沙也加がカバーしたのをピックアップする。彼女が最後の瞬間にこの曲が浮かんだのか、なぜこの歌をカバーしたかは今となってはわからない。

 「よくばり」は大人の恋愛をテーマにした楽曲で、浮気や不倫といった公認されていない関係が描かれており、歌詞には、正しさだけでは解決できない複雑な感情や状況が表現されており、Ayase自身も「少し大人な恋愛を描きました」とコメントしている。倫理的には許されない関係の中で揺れ動く心情が、リアルに反映されている。なんとAdoがこの曲をカバーしており、最もこの曲に合っているためピックアップする。

Ayaseの楽曲作品

 Ayaseはさまざまなアーティストに提供しているが、「Ayase節」は効かせつつも、それぞれ歌い手側に立って作曲していると感じられる。

 この曲はCreepy NutsとYOASOBIのボーカル幾田りらが歌っているが、YOASOBIと全く違う感じで新鮮である。

 AyaseはYOASOBIではコーラス以外、歌っていないが、セルフカバーなどで歌っている。元々バンドのボーカルだったので上手いと思う。「シネマ」はAyaseの人生を描いているような感じで好きな曲である。

 YOASOBIやアーティストの楽曲提供以外に、ボカロP活動も継続しており、5周年を記念して楽曲をリリースした。原点を見つめ直すことと5年の進化を感じられた。

Ayaseの楽曲提供

 最後は、本人は認めていないが、Ayaseに転生する前の曲と思われる。
この頃からピアノのリフレインとかハードなギターの旋律などAyase節が散りばめられており、天才ぶりを垣間見た。今は多忙と思うがいつか歌っている姿を見たいものだ。

まとめ

 AyaseはAyase進行の他、毎回常識薮りな手法でみんなを驚かせ続けており、YOASOBIは世界的にヒットした。日本政府やオールドメディアはもっとYOASOBIなど新世代のJ-POPアーティストを世界に売り出す事をすべきである。
 K-POPは2000年代から全く進化しておらず、ビジュアルも量産型で何の面白みもない。テレビでK-POPの露出を無くして、J-POPを盛り上げてほしいものだ。
紅白とかK-POP枠を減らせばその分日本のアーティストが出られる。ただ昨年末の紅白の「アイドル」で賑やかしに踊ってたK-POPグループの演出は嫌いだったが、ある意味「世界よ、YOASOBIがK-POPアーティストをねじ伏せだぞ!」と感じた瞬間でもあった。

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