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【禅をビジネスにいかす】 魂の修行とエゴに出会う旅

食堂のオープンから二週間が経ちました。

いろいろなことがありましたが、あっという間の二週間でした。

毎日、分からないことの連続。傷つくことの連続。不安と緊張でいっぱいの日々。

ご飯も喉を通らず、気がつけば3キロ痩せました。

なんでこんなに苦しいのだろう。

予想以上のお客様も来てくれていますし、スタッフの皆さんも協力して頑張ってくれています。私が成すべきことはやれているのでは・・・


もともと楽しむことが大の苦手なのですが、今回の試練は私の課題を浮き彫りにしてくれました。

とにかく怖いのです。

人が怖い。
未来が怖い。
傷つくことが怖い。

繊細で、臆病で、弱くて・・・

そんな自分が嫌になります。
周りと馴染めない自分が嫌になります。

なんでもっと素直に楽しめないのだろう。喜べないのだろう。

コーチだけやっていれば良かったのではないか。
無謀なことをやったのではないか。
向いていないことに手を出したのはないか。
見通しが甘すぎたのではないか。


これは私の心の癖と言えます。追い込まれたときに姿を現すおなじみさんたちがいます。コーチになって15年、最近は落ち着いた生活をしていたので、顔を見ることが少なくなっていました。しかし、食堂をオープンしてから、オールキャストのおなじみメンバーが次々に登場してきます。

いつもか弱い心が震えています。無意識のうちに深いため息が何度も出ていたようです。

そんな私を見て、さすがに妻も心配になったみたいです。

「そんなに辛いのなら止めたら・・・」

目には涙が浮かんでいました。余計な心配をかけてしまって、申し訳ないなと思います。

ただ、私の場合、ここからが本当のスタートなのです。

あるとき、禅の師匠である藤田一照老師が「禅の修行の目的とは、悟りを得ることではないのではないでしょうか」とおっしゃっていたことを思い出しました。

仏教の修行の目的は、涅槃の境地にいたることとされています。私のような凡夫には、悟りの境地など、とても到達できないだろうとは思っていましたが、心のどこかでは苦しみを滅していけば、悟りに近づいていけるのではという期待がどこかにはあったのだと思います。なので、仏教の修行の目的は悟りではないと言われたときは、まったく意味が分かりませんでした。


今は、少しだけ分かるような気がします。悟りを目指しては、決して悟りはやってこないのです。


無心という境地について、一つだけ言えることは、「無心になろうとすると、無心はやってこない」ということです。


では、悟りではなく、何が修行なのでしょうか。


禅の修行とは、エゴに出会う旅と言えます。そこには、悟りという何か尊いものなどありません。目指すものもありません。

ただ、生きることに懸命なのです。
そういうとき、人は「初心」になっています。


オープンから3日目、厨房に入って、仕込みの準備を手伝いました。

タルタルソースを小鉢に盛ったり、出来上がった料理にラップをかけたり・・・。

料理はできないので、大したことはできません。

でも、みんなといっしょに協力して作業している瞬間、無になっていました。

一瞬でしたが、すごく心地よい時間でした。


「初心」とは、巷で言われるありがたい教えでも、心構えでもありません。嫌というほど自分の中から湧き出てくるエゴに出会い、それを受け入れ、心震えながら今というこの瞬間をドキドキしながら生きることと言えます。

エゴというと、悪い印象をお持ちの方も多いと思います。

確かにエゴが増すほど苦しさも増えます。あるいは、周りとの摩擦も増えます。

しかし、自分の中にあるエゴに出会うということは、自分を知るということです。試練のときこそ、普段は気づけないみずからの真実に出会う機会です。

だから、追い込まれたときが本当の自分を知るチャンスです。

といっても、自分について分析するだけが、自己を知ることではありません。

そこで、やはり坐禅に戻るのです。

先日、朝、坐っていると、頭の存在が消えていることに気づきました。

身体は確かにあるのですが、頭がないのです。

そのとき、「頭は1人ぼっちで寂しいのではないか」という声がしました。

1人ぼっちの頭は、叫ばないと声が届かないと思っている。それもありったけの大きな声で。それは、自分が寂しいことを大声で訴えているのではないか、と。

私の癖のひとつは、考えすぎてしまうこと。考えすぎてしまっていると、頭と身体が切れてしまいます。

頭もいっしょに坐ってあげようと思いました。

そのとき、温かい気持ちになりました。


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