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無心とゾーンに入るための表現を知ろう 言葉を減らすメンタルトレーニング

以前、スポーツにおいて言葉を使いすぎることがプレーをぎこちなくさせることについてお伝えしました。これは、スポーツに合わない言葉を使っているからです。

プレーする上で、身体が動ける声かけをしていくかで、パフォーマンスはまったく変わってきます。

前回の原稿はこちら
https://note.com/zen_akano/n/nfc6f7d0caa07

スポーツ選手の中にも、プレーを言葉で表現するのが得意な選手と苦手な選手がいます。

言葉以外で自分のプレーをどう表現すればよいか悩んでいる選手も多いです。

スポーツにおいて、力が発揮できる声かけと逆に混乱を招いてしまう声かけがあります。


ちなみにあなたは、プレー中にどんな声かけをしているでしょうか。


ある女子プロゴルファーは、試合中に突然身体が動かなくなることが課題でした。

イメージが湧いてきたときはすごくスムースに身体が動くのですが、一旦違和感を感じ始めると身体が動かなくなり、大きなミスになってしまうのです。

いろいろなメンタルトレーニングをしていく中で、自分のイメージが上手く言葉に出来ていないことが分かってきました。

たとえば、あなたはパッティングでラインを読むときにどんな表現をしているでしょうか。

・カップ2個くらいスライスしそう。
・カップ際ですごく左に切れそう。
・下りなのですごく早いから、タッチを合わせないと。
・3パットしたらどうしよう
・返しが不安なので、なるべく寄せておきたい
・このパット絶対にいれたい

実は、あなたが思っている以上に、プレーの最中にはさまざまな言葉が浮かんで来ているのです。ただ、この言葉が長くて多いほど、身体は混乱していることを知っておく必要があるのです。

この選手の場合も、迷った場面では、言葉がすごく多くなっていました。言葉でプレーを決めようとした結果、逆に身体が動けなくなってしまったのです。

まずは、自分がどんな言葉を使っているかを知ることが最初のステップです。そして少しずつ言葉を減らしていくことにトライしていきます。

このゴルファーの場合は、ただ、カップに入っていくイメージだけで良かったのです。言葉ではなく視覚的にイメージすることで、言葉を最小限にすることに成功しました。そして実は、フック、スライスという言葉も邪魔だったことに気づきました。

ゴルファーは当たり前のように、フックとかスライスという言葉を使います。ただ、プロゴルファーでもスライスは得意だけどフックは苦手。上りは得意だけど下りは苦手という選手がいます。

特に苦手と感じている場面をプレーしながら、どんな言葉を使っているかを観察してみましょう。

恐らく苦手な場面は、得意な場面に比べてたくさんの言葉を使っていると思います。苦手な場面は言葉とプレーのイメージが合っていないのです。これでは、いいフィーリングは生まれません。

いかに言葉を減らしていくか。先程のように、言葉を映像のイメージに切り替えていくのは有効な方法と言えます。

また、別のプロゴルファーは左右のOBが迫っているホールでドライバーを打つとき、ホールがいつもより狭く見えるときがありました。

このとき、どんな言葉を使っているでしょうか。以下のような感じではないでしょうか。

右には行ってはいけない。でも、左に引っかけるのも嫌だ。なんとかフェアウェイに打ちたいが、どうやって打てばよいだろうか。クラブを短く持ってコンパクトに打ち抜こう。

言葉は分析や説明には適しています。過去の失敗や成功を思い出させてもくれます。また、未来に先回りして危機を回避する働きもあります。しかし、今この瞬間のプレーを表現するには、適していないのです。


今この瞬間を表現するには、擬音語や擬態語が適しています。


選手らと擬音&擬態語に変換するゲームをよくやります。先程のケースでは、あなたはどう変換するでしょうか。

「スパンと振り抜く」もいいでしょうし、「ポーンと打つ」というのもいいかもしれません。

この選手は、「ピシッ」でした。これはヘッドがボールに当たる音だそうです。長い文章ではなく、こうした音で表現すると、身体は動きやすいです。

ちなみに、先日歌手のあいみょんさんが、「イチャイチャという言葉を最初に発見した人はすごい。自分もそんな言葉を発見したい」とあるテレビ番組のインタビューで語っていました。

確かに、イチャイチャという状況を詳しく説明しようとするほど、温度感や空気感は失われていきます。

イチャイチャという表現は、私たちの中の空想の世界を刺激してくれます。

こうした言葉選びの癖は、人によってかなりバラツキがあります。

身体が動きやすい表現を探していくことがメンタルトレーニングなのです。

言葉をいかに選ぶかはコーチとして関わるときも大事なポイントです。私も熱くなっていろいろなことを伝えようとすると、自然に言葉の量が増えていきます。これは、逆効果になる場合も多いです。

また、イメージ派の選手に、どれだけ言葉で修正ポイントを伝えても、身体が動いてくれません。感覚優位の選手には、擬音語に変換していくことも心がけています。

逆もケースもあります。論理派の選手に擬音語で伝えても分かりません。まさに野球の長嶋茂雄監督の指導法ですね。スッとバットを出す。シュッと打腰を回す。バシッと球を捕まえると言われても理解できない選手も多いのです。

私自身も、以前は選手とイメージの共有が上手くできずに苦労しました。上手く理解できないというのはお互いにとって大きなストレスになります。もし、コーチの言われたことがよく理解できないようなら、表現方法の違いに起因しているかもしれません。言い方を変えてくれるように頼むことをオススメします。

身体が動きやすい映像のイメージや擬音語のような感覚的な表現。一方でしっかりと考え抜いていく論理的な表現。どちらが良い悪いではありません。

人によって、得意不得意があるようです。まずは自分自身の特徴を理解することからはじめてみましょう。当たり前と思っている声かけを疑ってみる。そして、さらにあなたの個性を伸ばすために表現を磨いていくのです。


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