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Zen2.0 2021 A NEW EARTH 〜空からの開花 Space to Flourish〜

<運営スタッフによるセッションレビューをお届けします>

2021年9月18日 DAY-1

2021年のZen2.0 DAY1は、あまり前例のないコースを辿る台風がもたらす強い風雨の中、雅楽奏者の音無 史哉様・佐藤 愛美様による笙と横笛の演奏で、荘厳に幕開け。配信会場である建長寺龍王殿の空気が、演奏の音色でキリリと引き締まります。

音無 史哉様・佐藤 愛美様

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そしてこの演奏につづき、昨年同様に建長寺派 宗務総長である長尾 宏道様による般若心経・講話・座禅の時間です。

長尾 宏道様(建長寺派 宗務総長)

「思うようにならない」

冒頭、長尾様ご自身がコロナ禍において、建長寺の掲示板に「諸行無常」のことばを揮毫されたエピソードが紹介されました。「世の中は変わっていくもの。あと少しで変わっていく。あなたは大丈夫」そんな想いを託されたとのこと。長尾様自身、「ここまで長く影響が長引くことはないのでは」と考えられていたようですが、現実は依然、長く暗いトンネルが続いています。「生活が一変した人や、心が疲弊した人も多くいる中、たくさんの人が『思うようにならない』と強く感じているであろう、そこにどうにか癒しの世界観を伝えたい」との想いを吐露されました。

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「祈りの力」

建長寺の開山は約750年前に遡ります。当時の世の中は戦国時代の真っ只中であり、争いが絶えなかったことに加え、ちょうどそのころ日本中で疫病が蔓延し、これらに苦しむ人びとを救い、弔うことが開山の大きな目的だったそう。でも、当時できたことは何だったのかと言えば、ひたすら「祈る」こと、「祈り続ける」こと。いわば「祈りの力」で、人びとの心を癒そうとしていたのだそうです。

今の建長寺においても、行事の縮小など止むを得ない制約が生まれている一方、「祈り」や「清掃」など、変わらずに続けていることも多々あることが紹介されました。


「受け入れること、気づくこと」

多くの人が抱えているであろう「思うようにならない」そんな気持ちにどう向き合えば良いのか。長尾様はこう語りかけます。「まず受け入れること。全てはそこから始まる。そして、日常を振り返ること。それによって、『今、何ができるか』が見えてくる」。さらに、「『元どおりにしなければ』という視点は苦しくなる。まず受け入れて、できることに気づく。このことが大切」とメッセージが続きます。


「禅は一行三昧」

では、気づくにはどうすれば良いのでしょうか。「清掃」を例に取ると、その過程で季節の花々の移ろいや変化に気づけるか、「また落ち葉が増えた」と捉えるかは心次第で変わります。「お茶を淹れる」行為でも、もっと良いお茶を淹れようというプロセスの試行錯誤を淡々と繰り返します。これらについて建長寺で実際に行われている例を引きつつ、「一行三昧」つまり、座禅の時は座禅に、清掃の時は清掃に、お茶の時はお茶に、しっかりと集中する姿勢がとても大切になる、と強調。このような心のあり方・姿勢で日常を振り返ることが、「気づき」につながると指摘されます。

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まず受け入れる。そして日常を「一行三昧」の姿勢で振り返り、できることに気づく。

イベントを通じてこの世界観が多くの人に伝わることへの期待を感じられる、このメッセージでZen2.0は幕を開けました。

(text by Joe Okouchi)

<登壇者プロフィールはこちら>

音無 史哉 様(雅楽奏者 笙)

佐藤 愛美 様(雅楽の横笛(龍笛・高麗笛・神楽笛)、楽琵琶奏者)

長尾 宏道 様(建長寺派 宗務総長)


<Zen2.0 公式ウェブサイト>

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