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大学入試英語、レベル別学習スタート法②(レベル2)

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

今日は、レベル別に分けた「英語の受験勉強スタート」についてお話ししたいと思います。3〜4月のこの時期に現役浪人とわず多い質問が、現状の到達具合に合わせた勉強の始め方です。ある程度勉強してきてる人(たとえ部活がめちゃくちゃ忙しくてもやってる人はこっちだったりする)の場合と、全く勉強してない(ゼロ〜とりあえず定期試験の時だけやってた)人とではスタートの時点でやることが違います。

今日はそうした「レベル別の英語勉強スタート」についてお話しします。

レベル2:高校レベルは「ある程度」クリアできているが、難関大レベルまでなぜか到達していない自覚のあるレベル

このレベル、レベル1ほどは英語ができない自覚がなく、レベル3ほど英語の実力がない(ただし自信はある)という、狭間のレベルです。

このため、レベル3に相当するような練習や、このレベル2の後半にあたるような「とにかく本番レベルで訓練」のような、実力不相応な勉強をしがちです。現役時下手に点数が取れてしまう分、浪人して一番成果が出にくい層にあたります。ポテンシャル自体はあるので、やり方次第で圧倒的に伸びる層でもあります。

以下、分野別に分けて、

①「できない理由」の典型例の紹介
②その克服のためにできることの紹介(レベル1の話まで戻る場合もある)
③中堅〜難関大レベルまで引き上げるためにやる教材や訓練法

を紹介していきます。

<英単語>

①英単語で課題がある場合、抜けがちなのは「高校入門レベル」に相当する部分であり、決して難関大レベルの差がつく英単語ではない、ということを肝に銘じるべき。ある程度得意意識があるのに、中学レベルの英単語が抜けているということはほとんどないが、心配ならそこからやり直すのがよい。

間違っても、難易度の高い単語帳を買ってさらに強化するぞ!と意気込んではいけない。スタートは「高校入門レベル」なのだ。間違えないで欲しい。

また、おそらく暗記の仕方が雑な場合が多いだろう。単語帳に記載してある全てを覚えようとするのはもちろんだが、なるべくイメージに落とし込むところまでやって欲しい。訳は参考になるが、その単語の核のイメージを抑えるのに適切でない場合がある。イメージ系の単語帳を別に用意するなどしてそうした有機的な暗記を心がけて欲しい。

有機的…有機体のように多くの部分が集まって一つの全体を構成し、その各部分が密接に結びついて互いに影響を及ぼし合っているさまのこと

②コンパクトにこのレベルが復習できるのは、STOCK3000や東進センター1800、ターゲット1400など、センターレベルや共通テストレベルに相当する単語帳である。

③まずこのレベルを仕上げて(テストをして頭に入れ直す)から、必要な大学レベルまで上げていくのが良い。高校入門レベルから始まる章立てになっており②と兼ねられるような、システム英単語を最初から使っても良いだろう。速読英単語(必修編)といった多読教材を使ってさらなる定着を促すのも良い。

難関大レベルまで見込む場合には、高校入門レベルが終われば鉄壁で一冊で済ませるという使い方もありだ。鉄壁はイメージ系の説明に強い。ただし鉄壁は読み込むのに時間がかかるので、そもそもの日本語読解力が高い人が使うべきだ。そうでないならまず英文法・英文読解で論理的に思考することを学んでからにした方が良いだろうが、そこまでして鉄壁を使う理由もあまりない(ほとんどの大学で、システム英単語で十分)。

最上位大学については、単語で覚えていくというより速読英単語シリーズの上級編やリンガメタリカなど、長文読解の訓練を兼ねて覚えていくことをお勧めする。なぜならこのレベルから復習している場合、時間が足りなくなる可能性が大いにあるからだ。

<英文法>

①そもそも英文法が単なるパターン暗記に成り下がっている場合がこの段階の生徒では多い。このために、読解において構文が読み取れず、単語頼りの場当たり的な日本語訳を頭に浮かべることが英語でやることだと自覚なしに思い込んでいる。英文法を学ぶ意義も理解せずに、下手にできてしまっているのが始末が悪いのだ。

私が書いた英文法の学習法の概論を読んで、英文法を学ぶ意義を捉えて欲しい。問題集の選択は本記事向けの読者の方(これから浪人、これから受験生の方)は本記事の方がより適切なので本記事を参考にして欲しい。

②まず、覚えているはずの英文法を有機的に繋ぎ直していく必要がある。具体的にやることは、日本語訳で覚えるのではなく、文法を項目ごとに「どのような意味・役割を持つものなのか、なぜそのような形で使えうのか」を説明可能にしていくことだ。そのため、総合英語の参考書の中でも、使うことに重点をおいた「一億人の英文法」または同作者の「Factbook 総合英語」を読み込むことをお勧めする。

国公立志望者の場合、本格的な文法問題を出す大学は限られる。難関大では東大ぐらいだろう。また地方大でも、高知大などは文法問題の出題が特徴的だ。こういった大学を目指す場合には、ネクステージやビンテージなどの網羅的な文法問題集をやっておく必要がある。東大対策についてはもう少し掘り下げた文法の理解が必要(英文解釈と絡めたもの)なので、英文解釈系を手厚めにするのが良いだろう。

それ以外の国公立大学を目指す場合、文法は「理解」だけで基本的には十分。総合英語のテキストを一通り読み込んで、日栄社の小さい問題集や、英文法ポラリスのレベル1で確認して、すぐに英文解釈に進むのが良いだろう。

中堅以上の私大を目指す場合には、英文法ポラリスをレベル1から初めてレベルに応じて上げていく他、ネクステージのような網羅的問題集をやるのも良い。どちらをやるかはお任せする。個人的には解説が詳しい、なぜそのように選べるのか?という問題分析が中心になっているものをお勧めする。自分がそうだと思うものを選べば良い。

上記いずれの場合でも、英作文の出題がある場合には、そちらでも英文法対策(和文英訳練習)を行う必要があるので、最後まで文法問題演習だけにならないように注意。

<英文解釈>

このレベルでは、そもそも英文読解をやっていないか、単に和訳の教材とみなして、やり込めていない場合が多いだろう。構文を見つけるために注目すべきポイントを見つけなくてはいけないが、それを見つけるための方法論を入れていくところまで持っていく必要がある。

②英文法の復習が一通り終了した後(総合英語のテキストを読み終わった段階でOK)、必ず「富田の英文読解100の原則」や、古い本だが良書として「英文解釈教室」などの、講義系でかつ「どうしてそのように読めるのか」を中心に解説してある本を読もう。なるべく2〜3周はして、思考方法を叩き込み、長文読解で実践するのが良いだろう。

それ以外には、レベル1で紹介した「例文和訳系」「マクロ系」の英文解釈の本をやるのもお勧めである。時間があればなるべく取り組んで欲しい。

難関大〜東大・京大レベルなど、高難易度の英語長文や和訳問題があるような大学までやり込む場合には、これらの書籍に加えて、富田の構文把握編、英文読解の透視図、ポレポレ、といった高難易度の英文を解釈する目的の問題集を仕上げとして使うのが良いだろう。

<英語長文>

英語長文については、英検2級〜準1級のリーディングの教材を中心に使い、英検対策を単語や文法・解釈の学習と同時並行で行なってほしい。英検準1に合格するまでは以上の教材を使い続けるのがよいだろう。それ以外の入試対策長文問題集を使いたい場合、英文解釈の訓練のために、読解の問題集もなるべく短文和訳型と論理構造説明型とを交互に行うのがよい。

入試問題集(私がお勧めすることが多いシリーズ)

<リスニング>

リスニングについても、このレベルからは英検準1級対策としてかなり意識して取り組んでほしい。音読も取り入れて、聞き、話すことに慣れよう。入試でリスニングが課される場合でも、余程ボリュームのあるリスニング(東大など)を課される場合でない限り、ギリギリまでこれで訓練しよう。準1級がキツかったら2級から練習しても良い。

入試でリスニングがない大学を志望する場合でも、やって欲しい。共通テストのリスニングが難易度が上がることもあるが、むしろ、リーディングでの読解・解釈のスピードを上げていくのが目的だ。語彙問題に比べれば、語彙や熟語が難しすぎるということはない。文法や解釈が進んでくれば、意味は取れるようになるため、あとは瞬時にそれが把握できるように、言語野を働かせていく練習をしていくだけである。

このため、別に多読用の問題集で長文のリスニング音声を聴きながら音読するというシャドーイング訓練でも全く構わない。リスニングテストをするのが億劫になりそうだという場合にはこちらが良いだろう。

スライド3

<英作文>

英検準1級の自由英作文が書けるようになるために、和文英訳の完成度(意味に対応した英語表現の的確さ)を上げていく必要がある。もうスラスラ書けるようになっているのではない限りは、このレベルからやり直してもらう方が良い。簡単そうに見えるが侮らないで欲しい。

それ以外は英検準1級を教材として自由英作文の練習をしていくのが良いだろう。2級と比べると、内容が充実しており様々なテーマで書くことになるので、この過程で、世の中で一般的に語られる常識のレベルもわかってくるだろう。英文読解にも役に立ってくる。

<到達度評価>

英検準1級がクリアできることがこのレベルの到達目標だ。特に難関大学を目指す場合には、準1級をクリアして欲しい。様々な事情で、時間的にそれが無理そうなら、途中からは過去問演習中心に切り替えるのが良いだろう。

なお大学別対策については、本記事ではほとんど触れなかった。これは、英語総合問題については入試問題演習が必要な場合が多いが、そういうことは放っておいてもやるだろうと思ったからだ。どうせ秋ぐらいになればやるでしょう。

<次のステップ>

特になし。英文解釈の方法論が頭に入った状態で、多読・作文の練習をして、準1級突破が叶えば、このレベルからでも難関大突破も目前だ

レベル3については、現役時で既に勉強がある程度うまくいってしまっていて、準1級も受かっていたり、受かるレベルだが受けていなかった、というレベルの人に対してのスタートアップ指導です。なるべく効率的に維持・かつ精度を上げていく、という話になる予定です。

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本日は以上です。

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