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【若手ビジネスマンの登竜門】コンサル流の議事録作成のポイント

この記事の概要・目的

議事録作成に苦戦し、議事録作成スキルを伸ばしたい若手ビジネスマンの方向けに、議事録作成スキルのポイントと、それらの伸ばし方を纏めています。

この記事を書くきっかけ

最近、自分のプロジェクトに新卒入社メンバーが参画してきた。現在は主に会議の議事録作成を依頼しているが、議事録初版を見ると「箇条書きで記載されていて、一見それっぽいけど、これはクライアントに出せないな」と思った。(これは普通で最初は誰でもこうである。別に悪い事ではない。むしろ、新卒入社後すぐにクライアントに成果物を提示出来る方が稀。)

では、どんな所を見て、クライアントに出せないと判断したか。主に次の部分が挙げられる。

・会議での議論量に対して、記載量が少ない
・文言が口語中心、稚拙
・箇条書きの記載が、情報の羅列である(意味ある類型化、並びではない)
・議論の内容を把握できていないため、記載が曖昧、不明確

こんな事があり、Twitterで下記ツイートをした所、想像以上に反響があった。

このツイートへの反応を踏まえて、議事録作成に苦戦している/した事のある人は多く、もう少し詳細にこの内容を記載すべきではと思い、この記事を書き始めている。

そもそも議事録とは?なぜ必要なのか?

一口に議事録と言っても、幾つかのパターンが存在する。下記リンク先に主なパターンが綺麗に整理されている。

【議事録の種類】
 (1) メールで送ってもよい議事メモ:プロジェクトのチーム内で情報を共有するもの
 (2) 発言した内容をすべて書き出す議事録:発言の一字一句を正確にすべて書き出す報告書。これは官公庁系組織でよく見られる。
 (3) 発言をまとめた議事録:発言の要点をまとめただけのもので、構造化の厳密性は無い。
 (4)コンサル的な成果物としての議事録:構造化をして要点を簡潔明瞭に、MECE(もれなくだぶりなく)に決定事項を記載する。「決定事項が無い」というのは原則ありえない話で、そうなった場合は会議の運営にだいぶ問題があると考えた方がよい。
(出所:構造化、決定事項、To-Doリスト・・・コンサル的な議事録の書き方&理科系実験ノートからのヒント 中澤康人)

私がクライアントに提示するのは、主に(4)の議事録である。そのため、ここでは(4)の議事録作成を前提に話を進める。

では、そもそもなぜ議事録が必要なのか?実を言うと、私もこの1-2年程、積極的に議事録を作成していなかった。当時の私は、「議事録は、作成に係る労力の割に、結局読まれないのでは」と思っており、他作業を優先していた。(ただし、これは他作業量が多く議事録作成に時間を回しきれなかった&関係者が少数だったため、ある程度意思疎通がしやすかったという事情もある。)

しかし、ここ最近、関係者の多い案件への参画やあるツイートの記載(参照出来ず...)等により、忙しいクライアントのために簡潔に会議の決定事項・ToDoを伝える事の重要さ・議事録の必要性を改めて実感した。

では、如何にすれば、そのような効果を発揮する議事録を作成出来るのだろうか?

なぜ議事録で苦戦するのか?議事録作成の重要4要素

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そんな議事録作成だが、多くの人が苦戦する。私も新卒で入社した時には、毎回上司に真っ赤に指摘事項をもらっていた。そう、誰しも最初から上手く出来る訳ではない。では、議事録作成の速度・品質を左右する要素は何か?私は次の4つに分解されると考えている。

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①入力速度(メモ速度)

入力速度(メモ速度)とは、議論の内容を素早くメモする、PCへ入力する技術の事である。議論の内容を議事録に整理する上で、情報量は可能な限りそのまま残す必要がある。その際、メモが取れていないと、幾ら言語化・構造化が上手く出来ても、不十分な議事録になってしまう。

一方で、「音声を録音しておけば、メモの取り漏れがあっても問題ないのでは?」と思う方がいるかもしれない。確かに、超重要な会議や一発勝負のインタビュー等、相当正確に議事録を残す必要があれば、音声を録音する事もあるが、基本的には議事録を書く時は、音声に頼るべきではない。

録音した音声を聞く=もう一度、会議時間と同じ時間を文字起こしに使う事になる。作業時間が無限にあれば、そのような方法も考えられるが、様々なタスクに追われる中では得策ではない。そのため、会議内で如何に議論の内容をメモできるかが非常に重要になる

②言語化

議論の中では、主語や目的語が省略されるケースや、文脈等から発言の意味が読み取れるケースも多い。その内容をそのまま文字に起こしても、後から読むと、「これってどういう意味だっけ?」という事になりかねない。また、多くのクライアントや管理職は日々忙しいため、ダラダラ記載された議事録は読ませてはいけない。そのため、議事録はなるべく適切、かつ、簡潔な言葉で記載すべきだと思う。

③構造化

構造化は、議論の内容を適切、かつ、意味ある分類・順序に整理する技術である。会議の議論は時として、行き来を繰り返す。一旦収束したと思ったら、再度議論が始まり、別の結論になる。そのような議論の行き来を議事録にそのまま記載すると、読み手としてはかなりのストレスを感じる。「要は何なの?」と常に思いながら読む必要があるためだ。

それらを回避し、読み手の理解を促進しやすい議事録にするために、構造化は非常に重要である。

④業務知識

業務知識とは、議論の背景や前提となる業務・テーマに関する知識の事である。業務知識なしでも、①~③の要素があれば、何とか議事録を書く事は出来るが、兎に角大変、かつ、時間がかかる。記載内容の妥当性等の検証を一々確認しながら作成しなければならないためだ。

そのため、会議の前には、当日議論される内容の背景・前提情報は勿論確認しつつ、会議における論点と想定される議論の内容等をある程度シミュレーションしておくとよい。シミュレーションの過程で業務知識への理解が深まり、かつ、不明点も明確になる。特に若手のうちは、経験も少ない中でサバイブする事が必要なため、このような工夫が特に求められるはず。

4要素を鍛える方法

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では、この4要素を如何に向上させていけばよいか。

まず、「①入力速度(メモ速度)」は、タイピング速度向上、手書きメモ速度向上に効く手法が求められる。タイピング速度は下記ページ等で高めると良い。

また、メモ速度向上は私は下記書籍が大変役に立った。

次に「②言語化」、「③構造化」だが、これは、戦略コンサル転職希望者の”道場”である「考えるエンジン」に様々な書籍が掲載されており、これを読むと良い。

もし時間がないということであれば、最低でもこの2冊は読むべき。

そして「④業務知識」であるが、これは、業務に関連する書籍や資料を会議前に読み込む事、疑問点等は出来る限り事前に解決する事が求められる。特に、ただ書籍・資料を読み込むのではなく、「何が重要なのか?」「要はどういうことか?」「それはなぜか?」等の視点や、自分なりの論点を持った上で読み込むと、理解度が向上しやすい。

最後に、上記に纏めた4要素の向上施策(理論)を取り入れつつ、実際の会議にて議事録を作る(実践)。この理論と実践の繰り返しにより、議事録作成のスキルが定着する。

まとめ

議事録作成は大変である。しかし、一度身につけると、様々な場面においてその能力を発揮する。また、多くの人が大変と思うからこそ、若手ビジネスマンのうちに出来るようになると差別化する事ができる。(正確には、コンサルの場合、議事録書けることが最低限求められるのだが。。。)

とはいえ、一足飛びに4要素が身につくことはない。日々の研鑽の積み重ねが非常に大事である。

画像出所:Pixabay

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