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キノコを求めて丹沢を彷徨う

秋のとある日、kさんからキノコ採りのお誘いがありました。kさん、Uくん、相方、ぜいぜいのコラボです。

札掛で待ち合わせて出発、タライ小屋沢沿いの道すがらは、残念ながら紅葉は精彩を欠いていまひとつです。
まあ、きょうは「キノコ採るど」な日ですから、”花より団子、紅葉よりキノコ”です。

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ヤゲン沢出合で、キノコのありそうな沢沿いをちょっと探索してみますがないので、行者岳の北東尾根に取り付きます。
相変わらずの急登ですが、踏み跡がしっかりしてきていて、結構入る人も増えたのかな。

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左手から沢型が入ってくる辺りは、赤土が剥きだしな崩壊地になっていて、こんなに歩きにくかったかなあという感じ。
ちょっと慎重に歩きます。
そこを過ぎると、若いブナやカエデ、ミズナラの気持のいい尾根になります。

900m圏より上は、沢沿いの枯れっぷりとは裏腹に、良い感じに色づき始めています。

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きょうはキノコ採りが目的なので、尾根をあっちへ行ったりこっちへ行ったりと、縦横に歩き回ります。
この何かを探すという行為が、いつもの山歩きとは違ってほんとに楽しいのなんのって。みんなてんでに探し回ります。

「今年は、どんぐりがたくさん落ちているね」とか、熊さんの真新しい足あとにおののいたりとか、もちろん熊さんの落ちしものとか発見はいっぱい!
それでもキノコはないかなと目を皿のようにです。

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がまあ、ほとんどはなんだかわからんものばかりです。。。
さらに尾根を歩き回りますと、やっとこお吸い物1回分くらいのナラタケをげっちゅ

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ナラタケは瀕死のミズナラに生ていました。
ナラタケは木を枯らす原因のナラタケ菌を有するそうなので、
採ってあげた方が木のためにいいらしいです。

尾根の紅葉も上がるに従って鮮やかです。

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ほんとうに自然林のなかは気持ちがいいです。
もう山頂も間近な平らな日だまりで、少し早いランチにします。
すぐそこには登山道を歩く人達の声が聞こえます。
かと思えば、下の方からは、猟犬を呼ぶハンターの笛の音。。。
お山はそこに生活の糧を持つ人、遊ぶ人、ごったなもろもろを飲み込んだフィールドなのだなと。

さて、行者岳の山頂は狭い。が、展望はすこぶるでした。

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薄墨のような広がりの中に、富士山~愛鷹山塊~箱根連山~遠く大島までが、雲の海の上に浮かびます。
めったに見られない光景でした。

ここからは登山道を三ノ塔まで向かいます。
するとどうしたものでしょう。kさんが急に浮き立ってきます。
何かと思えば「山ガールだ、山ガールだ」と、とってもうれしそうです。
私なんかまったく視界に入っていないみたいです。
「ごめんね、おばさんで」って言ったら
もう「山ガールってもんじゃ。。。ごにょごにょ」とフォローもへったくれもありません。
実に直球です。来季は先発ピッチャーです。
でも、Uくんの笑顔がいいので許すことにします。

さてさて三ノ塔へのひ~こらな登りを終わると、左の踏跡に入ってヨモギ平に下って行きます。
夏の台風の影響か途中は若干倒木が目立ちます。

ヨモギ平のブナも数本の枝が折れていましたが、一本の倒木もなくみなそろった姿を見せてくれました。
いつか100年の後、ここのブナたちはどんなにりっぱにお互いが競っていることでしょう。
そんな姿を見てみたいものです。

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あんなにいいお天気だったのですが、予報通りヨモギ平に辿り着くあたりからポツポツと雨が落ちてきます。
休憩もそこそこに急いでよく手入れされた杉の植林の中を下っていきます。
最後の難関タライ小屋沢の渡渉は、みんな思い思いの場所を探して対岸の札掛の駐車場に戻りました。

ほんとうに楽しい1日でした。
目的のある山歩きはいつものお山と違って、ちょっと視点が変わると見えてくるものも違ってきます。
歩き慣れた場所もとても新鮮に見えました。
いろいろな角度からお山と向き合える楽しさを味わえる幸せでした。

                            2011.10.30

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