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カルティスト・クレイドル

 そして≪偉大なる古き神々≫と同じ境地に達した人類は、善と悪とを超越した自由の世界を悦び、法も道徳もかなぐり捨てて、殺戮の歓楽を満喫する。
つづいて、甦った古き神々が新しい殺戮の方法を教え、地上は大虐殺の焔に包まれ、自由の法悦を味わった信徒たちが狂喜乱舞する。
ーーH.P ラヴクラフト 「クトゥルフの呼び声」

 1999年7の月、世界各国の上空に現れた円盤状の宇宙船は、地球を自らの管理下に置き、世界中の人間は邪神崇拝を行わなければならないと宣言した。
 苛烈だが僅かな抵抗の後、地球人は自らの統治権を手放し、自らの新しい指導者をオーバー・アミール(第零筆頭狂信者)と呼びその指導に従った。

 アミールの統治は理想的なもので、人々は心置きなく邪神に礼拝を捧げ、生贄を供え、飽きることなく輪舞と邪歌を楽しんだ。中でも、アミールの算出する赤子の出産数と儀式生贄への供出数の完璧な調和は、世界中の狂信者から絶賛を受けた。

(続く)

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