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マミさん、どうか成仏してくださいよ


マミさんが空き教室で手首を切って死んでいるのが発見された。

「探偵、結論から述べてくれるか?」
 探偵と呼ばれた少女は癖毛を漉きながら話し始める。
「会長のご指摘通り、自殺ではありません。手首に躊躇い傷は無く、硬直の様子などから判断しても、他殺の可能性が極めて高い」
「警察に知らせる前で良かった」
 机がダンッ、と叩かれる。
「お前ら、人情ってモンがねえのかよ」
「不良に言われたくはないな」
「不良言うのは止めろ。アウトローくらいにしとけ」
「人情家のわりには、マミの売春を黙認していたようだが」
 場がざわめく。
「俺は止めたぞ。だがなぁ、アイツは……カネじゃあないんだよ。口の堅い相手に縋りたかったってところだ。止めりゃ、もっとマズい方に行きそうだったからな」
「アウトローさんの言うことは正しいです。マミさんは祖父母からの遺産があり、お金には不自由していませんでした」
「だとすると、動機で怪しいのは痴情の縺れか?」
「ここに男性が入り込むのは厳しいのでは?」
「真実、売春は男だけとは限らんだろう」
「確かにウチの新聞部はカップル疑惑記事とか出しましたけどね……」
「調査の限りではマミさんに同性愛的傾向は発見できませんでした」
「あの」
 今まで黙っていた少女が突然手を挙げた。
「未来、どうした?」
「私が占ったところ、マミさんの命脈は未だ尽きていません。念のため何種類か併用しましたが、結果は同じです」
「ふむ。未来がそう言うなら、マミは生きているな」
 探偵は立ち眩みを起こした。
「ちょ、ちょっと待ってください。じゃあ、あの死体はなんなんですか?」
「知らん。それは探偵が理由付けをしてくれ」
「は?」
「未来の占いは確実に当たる。だから未来と呼んでいるんだ」

探偵への挑戦状
以下の条件を満たした上でこの事件の結論を出せ
・マミは空き教室で自殺に見せかけて殺害された
・マミの死体は空き教室にあり、本人であることは確認済み
・マミは生きている

(続く)

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