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起業を考えている人へ

このマガジンは海外に単身赴任している僕が、空き時間を使ってプライベートでWebサービスを開発・サービス提供開始するまでの過程を書き残しておきたいという動機で始めました。本編とはズレますが、実際にシステムの開発を昨年の10月に開始して7ヶ月(サービス仕様書を書き始めた頃から数えると16ヶ月)が経過した現時点で思うことを一つだけ書きたいと思います。

それ、本当に会社を辞めてからじゃないとできない?

本当にこの問いかけって重要だなと思います。もしも僕が起業を志して会社を辞めていたとします。持っている構想に最初からお金を出してくれるパトロン、エンジェルがいるというケースは非常に稀なため、当然最初は自己資金で始めざるを得ません。そうすると、よほどちゃんとお金を貯めていた人でも拠出できる資金は、まぁ2,000万円くらいが限界でしょう。2,000万円といったら今の日本人の給料からすると相当な金額ですから、実際にこのくらいの資金を準備できる人はほとんどいないはず。仲間を共同創業者として迎えたとしてもこのくらいが限界ではないかなと想像します。

でも、もしも起業のネタがWebサービスやネット系だった場合、システム開発には相当の時間がかかります。それは開発会社に委託するか自分たちで開発するかに関わらずです。短くて3ヶ月程度、長いとやはり僕のように1年くらいかかる場合もあるわけです。そうすると、その間は何も収益が生まれませんから、ひたすらに資本を食いつぶすことになります。

仮に自分が今作っているサイトで起業したくてそのようにしていたらどうなっていただろうと考えるとゾッとします。ひたすら減っていく軍資金。追加でお金は全く入ってこない。いくら急いで開発したとしてもシステム開発の時間を0にして今すぐサービスを始めることはできない焦燥感。これらに耐えながら日々を過ごすことは相当なストレスに違いありません。

だったら、僕のように会社に勤めながらできるところまでやっておいた方が良いのではないかと思います(僕は今のところ起業しようとはしていませんが)。副業として、または趣味の延長としてシステム開発を始めることはそんなに難しいことではありません。平日の夜や土日の休日を使ってサービス仕様は書けますし、システム開発だってちょっと考えれば安く始めることができます。自分がエンジニアだったらもっとハードルが低いでしょう。これらのことを全くせずにいきなり起業というのは絶対におすすめできないというのが、今僕が伝えたいたった一つのことです。

スタートアップ界隈でよく言われるのは、「アイデアには価値はない」ということです。自分のアイデアがいくら優れていると思っても、それを口で説明するだけでは誰も見向きもしてくれません。仲の良い友達や、もしかしたらVCだって話を聞いて「それはすごいアイデアだ」と言ってくれるかもしれませんが、それだけで資金を出してはくれないのです。自分は実際にどういうものが作れるのかを証明することが必要です。有名な話で、MITでは「Demo or die」というくらいです。

とはいえ、それでも実際に日本の企業に勤めている人が平日夜や休日をフルに使ってサービスを作るのは大変だという人はいると思います。日本企業では遅くまで残業があるし、休日だって持ち帰った仕事をしているという人は結構います。でも、それを言い訳に何もやらないのであれば起業なんてしない方がいいのではないかなと思います。本当にずっと仕事しているの?という質問を自分にしてみるべきなのではないかと。確かに単身赴任で海外にいる自分は時間がたくさんあるんです。海外の企業というのは日本の企業のようなむちゃくちゃな残業はしませんから、始めやすかったというのは認めます。でも、起業すると誓って会社を辞める決意ができるくらいなら、忙しい中でも時間を作って準備は始められるのではなですか?ということです。忙しいのを言い訳にしていませんかということです。

今回わかったことは、バグが山ほどあっても、ニーズがあるサービスであればそれなりにお金を出したい、あなたに代わって運営したいという人・会社は結構いるということです。というか、自分のプライベートな時間を切り崩してでもサービスを作っているという人間は相当に面白がられます。変なやつというのも一部あるのでしょうが、時間をそういう将来に向けた投資に使える人というのはやはり魅力的に見えるんだと想像します。やはり、どんな形であれ、成果物の一旦を見せられるくらいまで作ってからあなたの夢に向かって起業するのがいいのではないでしょうか。


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