見出し画像

日本のドラマもようやく転換期?Netflix革命 Part3/3

『Followers』を爽やかな春風のそよぎに例えましたが、『全裸監督』は逆に強力なパンチのようで、驚きで体が震えるほどの喜びがこみ上げたシリーズでした。

始めに言わせてもらうのですが、今作は刺激に弱い方にはお勧めできません。こんなにセックスシーンの多い、エロさが溢れ出す日本のドラマを今まで見たことがありません(笑)情熱的なキスシーンはキモイ、エロは汚い、刺激的過ぎと思う方はこの作品を避けた方がいいかもしれません。

『全裸監督』は評価すべきか、批判すべきか、意見が分かれると思うのですが、賛美すべき点は間違いなくいくつかあります。撮影技術のクオリティの高さに視聴者はすぐ気付くでしょう。『全裸監督』は非常に質の高い映像に仕上がっています。80年代の街並み、衣装、ヘアメイク、小物など、徹底的に当時の狂乱の雰囲気が再現されていて、「昭和」の‘‘裏社会’’の様子もリアルに感じ取れることもシリーズの見どころの一つです。また、「昭和」から「平成」へと移り変わる瞬間を追体験できるという物語の構成も新鮮です。

更に、もう一つとても印象に残ったことは俳優陣の凄まじい演技力です。やっと痛々しくない、感情を大げさに表現しすぎていない、自然な演技が見られて喜びにテンションが上がりました。主演の、自信やカリスマ性が溢れる山田孝之を始め、新人女優とは思えないぐらい視聴者を圧倒させる森田望智、汚職警官のリリー・フランキーに至るまで、俳優一人一人の演じるキャラクターの性格は強気なのですが、皆はハーモニーで繋がっているかのように演技が非常にスムーズです。ほかの日本のドラマでは見たことのないリアルな魅力と熱気に満ちあふれていて衝撃を受けました。撮影はきっと自由で楽しかっただろうと、シリーズを観て強く伝わりました。

自由。そうです。これが今作の制作に関して一番重視された点かもしれません。50,60年代の昔の日本映画業界において撮影と制作における自由なアプローチ、自然な演技が”普通”だったのですが、いつの間にか作品にかかったお金、イケメンのタレント、宣伝広告の方が重視されてしまい、日本の映像業界そのものに魅力が失われていたのです。特に昨今では、テレビ業界ではコンプライアンスを重視した作品が多すぎて自由な作品は生まれにくくなりました。だからこそ、『全裸監督』のような作品は今の日本の映像業界において非常に重要なのです。制作が変わるだけでこんなに違うんですね。

『全裸監督』は間違いなく日本のドラマ業界の転換期となる作品の一つに違いありません。Netflixは世界中で観れるので、今作も世界中の人々に日本の作品として認知されるでしょう。こうして、日本発のグローバルコンテンツが増えていき、もっともっと制作が自由になっていくことが期待できるでしょう。『全裸監督』旋風はまだまだ止まりません。日本のNetflixはまだ始まったばかりです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?