ざわけん

一般社団法人ぼくみん 理事・ファシリテーター/境界・線引きを問い直す/【断想】シリーズ…

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一般社団法人ぼくみん 理事・ファシリテーター/境界・線引きを問い直す/【断想】シリーズで、わからないことをよくわからないまま文章にしています/写真も撮ります

最近の記事

息が詰まるような渦から抜け出す、そんな数年と仕事の話の「書きかけ」

 恵まれた大学時代だったと思う。これ以上のぞめないほどの出会い、機会をいただいた。行きたいところに行き、会いたい人にも会った。大いに語り、大いに学んだ。ところが、大学生活が終わりに近づくにつれ、ぼくはなぜか、行き詰まりを感じるようになっていた。  数ある仕事や職種のどこに身をおけば、自分の存在は最も役立つのだろう。無数の可能性があるなかで、いかに一つに絞り込んでいけばいいのだろう。はてさて、ぼくは、何を選びとり、生きていくのか。  一年の休学というモラトリアムは、人生のテ

    • 【活動】無名のひとりに "SPOT" を

      豊かさや幸せを選び直す時代。福祉を見つめ、自分を見つめる。 Interview Project "SPOT" はじめました。 福祉に赴き、福祉に面向く(=向き合う)。 “SPOT” は、福祉という豊かな世界で働く無名のひとりにスポットをあてるインタビューを通して、これからの暮らし、わたしたちの生き方を探索するプロジェクト。 プロの編集者からのレクチャー、参加者みんなでのワークショップ、チームでの滋賀県内の福祉の担い手たちへのインタビューなどを重ねながら、多様な同世代とと

      • 翻訳の研究について

        翻訳(translation)は、外交、貿易、布教、統治、文化・思想・学問・技術の伝達や受容など、多種多様な場面で、様々な担い手によって行われてきた。歴史上常にその実践が先行してきた翻訳は、必ずしも研究の対象として重要な位置を占めてきたわけではない。 もちろん翻訳の議論の萌芽は確かに古代にまで遡ることができる。 ミカエル・ウスティノフの翻訳史を筆頭に、翻訳学の入門書において近代以前の研究史を扱う際、精神的な始祖として必ず言及される人物は、キケロー(前106-前43)とヒエロ

        • 【活動】陽だまりのような場

          「陽だまり」のように、 「光」の心地よい温度を共有しながら、 みんなで、悩み、語り合う、溜まり場。 〈HIDAMARI 〉という場をはじめました。 以前、一人で鬱々と悩んでいた時期について言葉にするとき、 「溺れる」という言葉を使ったことがあります。 海に沈み、光が徐々に薄れ、途絶える。 そういう時間もとても大事だと思います。 いまでもしばしば僕は、海に身を投げ、深みへ潜ります。 暗さや闇はとても尊いものです。 でも、その中でずっと生きていけるかというと、そう

        息が詰まるような渦から抜け出す、そんな数年と仕事の話の「書きかけ」

          【活動】福祉の境界が溶けるとき、世界は彩りを取り戻す

           鮮烈な2時間だった。  僕自身も企画運営に携わっている SOCIAL WORKERS TALK 2020「福祉の周辺」。3回にわたるこのトークイベントの初回「まちづくりと福祉」は、〈福祉〉という言葉が生色を取り戻す再生の瞬間かのように僕の目には映った。  建築をやっていて「気づいたら福祉にいた」という建築家の岡山泰士(⼀級建築⼠事務所STUDIOMONAKA )さん 趣味として始めたパーソナル屋台が「事実上の福祉」だったという田中元子(株式会社グランドレベル)さん

          【活動】福祉の境界が溶けるとき、世界は彩りを取り戻す

          【活動】福祉の境界、本当にそこにありますか?

          福祉には、 ときに3Kのようなネガティブなイメージ、 ときに「優しさ」「思いやり」といった尊いイメージ、 いずれにせよ、その内実を説明せよと言われると多くの人は言葉にできるわけではないのに、広く共有されている固定化した認識が存在します。 そのイメージが福祉を狭い檻の中に閉じ込めている。 そして、私たちと福祉との微妙な距離を生んでいる。 そんな風に僕には思えてなりません。 僕の周囲にも、「福祉なんて興味ない」「福祉なんて自分には関係ない」と考え、福祉を遠ざけている人も

          【活動】福祉の境界、本当にそこにありますか?

          【断想】地元で生きたグランドレベルを見てみたい

          地元で見たい景色のことが書かれている本に出会った。 2017年に出版された、田中元子さんの『マイパブリックとグランドレベル』(晶文社)だ。 僕もメンバーである SWLAB というプロジェクトで、今度開催するイベントのゲストの一人が田中元子さんに決まり、事前学習のために手にとったのだが、面白いのなんの。 僕自身、これまで地元滋賀で「まちづくり」に少々関わってきたのだが、田中さんのことを知らなかったのが恥ずかしい(もちろん「喫茶ランドリー」の名前くらいは知っていたが、ちゃんと

          【断想】地元で生きたグランドレベルを見てみたい

          【断想】母校には特別支援学級がなかった :僕は恵まれた環境に育ったのだろうか?

          京都教育大学附属小中学校で、特別支援学級を廃止しようという案が出されているそうです。 特別支援学級をなくして普通学級と一緒にして、インクルーシブ教育をはじめるの?と思われた方もおられるかもしれません。 残念ながら、そうではありません。 NPO法人 Swing の木ノ戸昌幸さんに、若い世代の意見も是非きかせて欲しいと言っていただき、僕も思うままに書きました。 自分の過去を振り返り、一人の人間として感じることを書いています。 「附属京都小中学校支援学級廃止撤回を求める会 事

          【断想】母校には特別支援学級がなかった :僕は恵まれた環境に育ったのだろうか?

          【断想】人は死ぬ。 あなたも、僕も。

           人は死ぬ。 死は、 いつなんどき訪れてもおかしくはない。  突然の訃報だった。 それほど親しい間柄だったわけではない。お世話になっている方の弟さんで、お会いしたのは旅でお住まいのある地域を訪れた今年の3月の一度だけ。 それが最初で最後の対面となった。  別のご縁で、また来年の3月には近くを訪れる予定があり、その折にまた友人も連れてご挨拶にあがれればなんて呑気に思っていたら、昨日、悲しい知らせを耳にした。 人は死ぬ。 あなたも、僕も。 「会いたい」という思いに

          【断想】人は死ぬ。 あなたも、僕も。

          【断想】隙間も意外と悪くない?

          隙間があいていると隙間風が吹く。 隙間に落ちたものはなかなか取りづらい。 心の隙間にはつけ込まれる。 隙間は困りごとを引き起こす「ない方がいいもの」。 なんとなく隙間に対して良いイメージを抱いていない人も多いかもしれない。 他方、隙間は可能性だと言う人もいる。 マーケティングの世界で、隙間=ニッチ(niche)は頻出の言葉。 ニッチ市場(隙間市場)といえば「潜在的な需要がありながら、これまで誰も手を付けずに隙間になっていたような分野や市場」のことで、ポジティブな意味合い

          【断想】隙間も意外と悪くない?

          【断想】それをやらなければ生きてゆけない

           「どんな問題をやるにせよ、それをやらなければ生きてゆけないというテーマを探すのですね」 阿部謹也(1935-2006)の『自分のなかに歴史をよむ』(筑摩書房、1988)の一節だ。  阿部といえば、『ハーメルンの笛吹き男』(1974、平凡社)や『中世の窓から』(朝日新聞社、1981)といった著作がベストセラーとなり、日本中世史が専門の網野善彦(1928-2004)などと並んで、日本における社会史ブームの火付け役と位置づけられる、著名な西洋中世社会史の学者。 その阿部が一橋

          【断想】それをやらなければ生きてゆけない

          【活動】境界線とダイアローグ :対話のWSやります

           一週間ほど前のnoteで書きましたが、筆者ざわけんの最大の関心事は「境界線」です。  境界線に考える際に、鍵になると考えている概念が幾つかあります。自己紹介で多用した「境界線の二面性」もその一つ。そして今回取り上げる新たなキーワードは、「対話(ダイアローグ)」です。  境界線とダイアローグに一体どんな繋がりが? そう思われる方も少なくないかも知れません。 ですが、世の中の境界線や線引きに実際に向き合っていく際、多くの場面でダイアローグは、重要なプロセスになるように思い

          【活動】境界線とダイアローグ :対話のWSやります

          K、喪失と回復:学ぶ意味を問うて

           「なんで勉強しなきゃいけないの?」 あなたの周りの大人達はこの問いに正面から答えてくれているだろうか。 あるいは、もしあなたはこの問いを子どもに投げかけられたなら、自分なりの答えを語ることができるだろうか。  勉強する理由を疑問に思ったことのある人は、恐らく少なくないんじゃないかと思う。他でもない僕が中高生の頃、その意味がよくわからなくなった一人だった。  今日はそんな僕の目を真っ直ぐに見つめて勉強する意義を語ってくれた、ある大人との出会いについて書いてみたいと思う。

          K、喪失と回復:学ぶ意味を問うて

          境界線の二面性の狭間で葛藤する: ざわけんの自己紹介

           「境界線の二面性の狭間で葛藤する」  僕、大澤 健(ざわけん)という存在を煎じ詰めるなら、いまはこう表現できるように思います。  こんにちは。はじめましての方もおられるのでしょうか。 今日は、この文字を介した一期一会に感謝しているこの他でもない僕という存在について、できる限り言葉にしてみたいと思います。 1 境界・線引きを問い直す境界・線引きを問い直していきたい。 僕はそう思って生きています。 境界・線引きという言葉が頭から離れなくなったのは、新型コロナウイルスに

          境界線の二面性の狭間で葛藤する: ざわけんの自己紹介

          IUの23歳、僕の23歳

          23歳の誕生日にFacebook に投稿した文章を、少し引用する機会がありそうなのでnoteにも転載しておこう思います。 ※ 一部修正 ===========  23歳になりました。  お祝いのメッセージをくださった方、一緒に一日過ごしてくださった方、サプライズでケーキをくださった方、独唱でバースデーソングを歌ってくださった方(笑)、みなさま本当にありがとうございます。  自分の人生について考えるとき、一つの区切りとして考えている年齢があります。 33歳です。  僕の

          IUの23歳、僕の23歳

          標準語を話し始める友人と関西弁にこだわる僕の話

           標準語では極力話さないようにしている。 東京でしばらく過ごした際にも、特段意識していたわけでもないが、決して標準語を使うことはなく頑なに関西弁で話し続け、周囲に関西弁を伝染して得意げに帰ってきたのを憶えている。  ところが皆が皆僕のように方言にこだわるかといえばそうでもないように思う。 大学生になると、関西の大学に通っているというのに、高校の友人の数人が標準語を話すようになっていったのには驚いた。どうやら様々な地方から来る人がいたり、異年齢との付き合いが多くなったりする

          標準語を話し始める友人と関西弁にこだわる僕の話