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訪問リハビリの役割

訪問リハビリの役割とは何でしょうか?

僕の中での役割とは、「選択肢を与える」ということです。

動けるようになってとりうる行動の選択肢を増やす。どんな症状を改善したいかというきっかけとして取り組む。リハビリを通して自分の能力を知る。リハビリを家族が見ることでどのような生活を今後送っていきたいか考えるきっかけとする。

手段はあくまで手段です。何を具体的に提供するかというのはあくまで手段の話。手段を通して何を相手に提供するかというのが役割です。僕はそれを選択肢を与えると定義しています。

これは勘違いされがちですが、リハビリ職には生活の決定権はありません。どんな生活を送るかという決定権は、あくまで相手にあります。

動かないと動けなくなりますよというような脅しは、脅しにしかなりません。それで動くなら苦労はしないです。こんな介護保険サービスがありますよという情報提供はできますが、利用するかどうかは相手が決めること。実際ケアプランを立てるのはケアマネージャーです。餅は餅屋というように、リハビリ職はリハビリ職がすべきことをすればいいのです。

リハビリ職ができる具体的手段は、マンツーマンの関わりと情報提供です。どれくらい動けるのか、どうすればこの動きは動きやすくなるのか、どうすれば今の状況を変えることができそうか。人によって様々ですが、訪問リハビリ利用者さんはこんな疑問を抱えています。利用者さんやその家族は、自分がどんなことに悩んでいるのか、どうなりたいと考えているのか、はっきりと自身の問題を把握している人はとても少ない。リハビリの関わりの中でそんな自身の問題と向き合うということもとても大切なことです。

もしかすると歩けるようになりたいのではなくて、もっと動けない私のことを家族に気遣ってもらいたいのかもしれません。もしかすると痛みの話を通して、こんなに大変な私の話をもっと聞いてもらいたいと思っているのかもしれません。もしかすると、介助法を教えて欲しいという要望を通して私の介助の大変さを誰かに知ってもらいたいと思っているのかもしれません。

リハビリ職のするべきことは単純に手段ではありません。その手段の先に何を相手に与えるのか。

僕は選択肢を与えたい。それが相手にとっての、より良い生活となるきっかけとなればと思っています。

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