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会いたい。

お盆は「ご先祖様の霊が現世に帰ってくる期間」と言われていて。
僕は霊的なものも宗教も特に信じていないけど、お盆は「もう会えなくなってしまった人に思いを馳せる時間」だと捉えている。

皆さんには「もう一度会いたい」と思う人がいますか。
ちなみに、僕には思い当たる人が2人います。

一人目は、4年前に亡くなった祖父。
世界で一番尊敬している人で、僕に色んなことを教えてくれた。
すごく強い意志を持った人で、穏やかな中にも凄みがあって。
あんな風に年齢を重ねたいと思わせてくれる、僕の目標でもある。

もう一人は、認知症を患って施設に入ってしまった祖母。
まだ健在ですが、もう僕のことをまったく覚えていなくて。
それに、今はコロナで面会することも許されない状態。
小さかった僕の背中に、指で扇風機の絵を書いて遊んでくれたり。
得意だった裁縫で僕に通学用のカバンを作ってくれたりした。
もう一度、ちゃんと話せるうちに会っておけば良かったと思う。

でも、どんなに願っても時間が巻き戻ることはない。
記憶は少しずつ薄れていく。
「会いたい」と願っても、それが叶うことはないのだ。

記憶を少しでも維持するためには、毎日その人のことを思い出すべきだけど。
そうするには、僕らの日常は忙しすぎる。

だからこそ、僕はお盆は実家に帰ってもう会えなくなってしまった人たちに想いを馳せる。

それに、お盆に実家に帰れば母が待っている。
母はまだ元気で記憶もしっかりしている。
だから、お礼の言葉も伝えることができる。

いつか、母に会いたいと願っても会えなくなる日が来る。
まだ会えるうちに。想いを馳せなくても良いうちに、感謝の気持ちを言葉にして伝えられるように。

お盆というものは、もう会えなくなってしまった人に想いを馳せるために。
そして、まだ会える人に想いを伝えるためにあるんだ。
僕はそう思う。

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