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11/21の日記 (紅茶)

「紅茶って、飲む?」

紅茶について考えていた僕の、朝から唐突な問いかけに、妻は「飲むよー!ほぼまいにち。」と元気よく答える。

へぇ、ほぼ毎日飲んでるんだ!

紅茶ってお土産でもらうことが多い。僕も近隣国へ出張に行くとき、お土産として妻に頼まれるのは紅茶だし、旅行に行っても妻が紅茶を選んでいる姿をよく見る。飲まなければ増える一方なのに、きちんと棚のアルミ缶(そこそこ大きいが)の中に収まっていることが考えると、まぁそれなりに消費されているのだろう。

僕は紅茶を飲まない。男はコーヒー、ブラックという陳腐なこだわりと思い込みから、いつの頃からか紅茶を飲まなくなった。 だから、朝ごはんの後はコーヒーだし、週末のおやつタイムもコーヒー。妻もそれにあわせてコーヒーを飲んでいる。だから、 妻が紅茶を飲んでいる姿をほとんど見たことがない。

「わたしはダージリンとかアールグレイが好きだけど、最近は寒くなってきたら濃い目のアッサムであつあつのミルクティー作ったりもしてる。学校のお迎えの前に紅茶飲むと体がポカポカするから、いまの時期とかすごくいいの。あと、(僕が)出張でいない朝はコーヒーじゃなくて紅茶飲んでるし、夜ひとりで眠れないときにハーブティー飲んだりしてから寝てる。一人のときに飲むと安心するんだよね。」

妻が一気に紅茶の種類とその重要性について説明してくれて、そうか、紅茶は僕が家にいない時の、お守りのようなものか、と途端に紅茶に対して愛着がわく。

そう言われてみると、缶かんに詰められたティーバッグたちはたしかにお守りのような見た目で愛おしい。無駄に種類あるなーと思っていたのも、その一つ一つに役割が違うのかと考えると、頼もしさすら感じる。

単純な僕は、お守りはたくさんある方がいいよなぁ、とかなんとかブツブツ言いながら、今度行ったら一袋多めに買っておこうかなとか考える。勝手に考えておきながら、なんだかまんまとやられた気がする。

「今日はコーヒーじゃなくて、紅茶にしようか?」と妻が聞くので、いただくことにする。どのカップにする?とニコニコする妻。数えるとうちにはティーカップが23個もあった。このカップたちもお守りだろうか。お守りだったら、文句は言えないなぁ。いや、本当にそうか?モヤモヤ。でも、選んだカップで飲んだ紅茶のおかげで、体はポカポカ。心もモヤポカくらいなってきて、これまた、まんまとやられた気がする。

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お蕎麦屋さん開きたい。