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ジャングルの夜

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小説ともエッセイともつかぬ物語の詰め合わせです。 虚か実かは読んでくれた人の判断にお任せします。
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『ジャングルの夜』最終第十三話

『ジャングルの夜』最終第十三話

 しばらく千多が前を歩くことになった。舗装されていない場所を登る場面があり、前後を入れ替わるのは演出のためだけではなく、安全面での配慮のようだった。

 ばかでかい葉を持つ植物をかき分けて進む道があり、その手前までは千多が前を歩いた。もうツアーは終わりに近づいていた。ぽっちゃりは早く家に帰りたいだろうが、千多はなんとなく寂しい気持ちになっていた。 

 チューバーズトンネルと名付けられた、大葉に覆

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『ジャングルの夜』第十二話

『ジャングルの夜』第十二話

 谷を下りきると小川が流れていた。
「ここからはこの川の中を進みますが、いつもより水かさが増して、流れも急になっていますので――」と、ここでも気をつけるようにと注意された。とにかくずっと気をつけていなければいけないのだ。

 条件がよければエビやウナギが見られるという川の中をいくらか進んだところで、ぽっちゃりは立ち止まり、
「本来ならさらに奥にある、魔物が住むと言われていた洞穴まで行くのですが

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『ジャングルの夜』第十一話

『ジャングルの夜』第十一話

「こんな天気でもツアーはやるんですね」と千多が言うと、「うちの会社は頭おかしいので、参加者がいるかぎりどんな天候でもやります」と答えた。この時は、ぽっちゃりはそれまでのガイドではなく、ごく普通の二十代の若者のようだった。

 聞くと今までツアーが中止になったことは「無い」そうだ。「ただ、今までで一番条件は悪いですね。昼間と比べると雨は弱くなりましたけど、風が強いし、やっぱり足場が緩いです。台風が

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『ジャングルの夜』第十話

『ジャングルの夜』第十話

 ガイドは風が強すぎて、なんどもめくれ飛ばされそうになりながら、古地図を模した紙を広げて、今日まわるコースを説明してくれた。

 彼が沖縄の自然や生物についてのことや、注意事項だとかいうことを上手いこと、堅苦しくなり過ぎないようにしながら話し、雰囲気を盛り上げたところでいよいよ出発ということになった。

 ジープの荷台に乗るように言われた。いつの間にか、刈り上げの女と、ぽっちゃりのガイドより、

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『ジャングルの夜』第九話

『ジャングルの夜』第九話

 レンジャーのような格好をした女性スタッフがひとりでいて、あいさつを交わしたあと、キャビンに模した施設内のカフェのテラス席で待つようにうながされた。

 そこにトレッキング用の長靴が一足だけ用意されているのを見て、千多は参加者が自分だけだと悟った。嵐になるかも知れなかった晩にジャングルを歩こうなんて人間はそうそういない。

 危険事項に関する同意書にサインしている間に、副社長から電話が掛かって

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『ジャングルの夜』第八話

『ジャングルの夜』第八話

 こぢんまりとしていて、たいした内装ではないが、清潔な印象を受けるステーキ屋で、店員のおばさんに自家製ソースの説明を受けた。「A1ソースもあるから、そっちの方が良ければ使ってくださいね」とおばさんはテーブルに市販のソースも置いた。そして遠慮がちに、「旅行の人?」とたずねた。千多が、
「仕事で来ている」と答えると、
「地元の人かな~、とも思ったんだけど。お兄さんはどっちか分からなかったわ」と、な

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『ジャングルの夜』第七話

『ジャングルの夜』第七話

 雨に濡れた服を着ていたせいで、体が冷えていた。それで移動中に人の波から外れて、「35コーヒー」というご当地コーヒーを淹れてくれる売店に寄り道した。そんなことをしているせいで、エイサーのショーへも開演ギリギリに辿り着いた。

 スーパーエイサーと名乗る、音楽と演舞を三十分間に出し惜しみなく詰め込んだショーを見た。ショーのあとに、演者が活動費のためにグッズを売るという時間があったが、なにかを表現し

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『ジャングルの夜』第六話

『ジャングルの夜』第六話

 何度か道に迷い遠回りして、ヒヤッとする場面もありながら、最初に予定していた到着時刻より二時間も遅れておきなわワールドまで辿り着いた。  チケット売り場で親切なスタッフのおばちゃんがエイサーやハブとマングースのショーなど上演時刻が決められているイベントの時間割を書いたパンフレットを指しながら、「こういう風に動くといい」と千多のタイムスケジュールを決めてくれた。

 素直にそれにしたがって、千多はま

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